リーマン・ショック直後の2009年初頭からひたすら上がり続けるアメリカの株価。昨年11月以降は、米ドナルド・トランプ新政権の根拠なき(?)政策期待を受けてその上昇ペースはさらに加速し、3月1日にはダウ工業株30種平均が21115.5ドル、5月10日にはS&P500種が2399.63の史上最高値をつけ、現在はいずれもこのピーク付近を上下している状況です。いまさら指摘するまでもありませんが、この株価、いかに非常識なバブル水準にまで高まってしまったか、について数値を示しながら以下に綴ってみましょう。
アップルの終値ベースの時価総額が9日、アメリカの企業として初めて8千億ドルの大台に乗りました(8029億ドル)。ブルームバーグによれば、iPhone新モデルが売り上げ回復をもたらすとの期待が投資家の間で広まったほか、同社幹部が自社株買いプログラムの規模を昨年の1750億ドルから2100億ドルに拡大したことが好感されたため、とのことです・・・が、これは後付けの理由に過ぎず、本当のところは「北朝鮮」の地政学リスクや「フランス」の政治リスクが和らいだ(?)ことで、「市場はリスクオン・モードに転化するよね!みんなリスク投資するよね!なら自分も!」といった感じで欧米投資家が一斉に株に買い向かったため、といったあたりでしょう。実際、アップルに限らず他の米株そして日本株に至るまで、ほぼ全面高の様相を呈しているわけですからね・・・
さて、このアップルの時価総額8千億ドル、日本円で90兆円あまりというスケール、これがいかにスゴイかを示すのが以下のグラフです。これは5月9日終値ベースのアップル、フェイスブック(FB)、テスラモーターズ(テスラ)、そして日本のトヨタ自動車の時価総額を比較したものです(トヨタは日本市場終値、1ドル113円で計算)。
これを見るとあらためてアップルの突出ぶりが際立っていることが分かります。フェイスブック(米市場上場企業中で4位!?:3559億ドル)そしてグラフにはありませんが同2位のマイクロソフト(5330億ドル)のそれぞれ2.3倍・1.5倍、さらに・・・日本の時価総額ナンバー1のトヨタの何と!4.5倍というデカさです。こう比較すると、独VWと並んで生産台数世界一の水準を誇るトヨタがけっこう小さな会社に感じられてしまうのはわたしだけではないと思います。
ところで・・・ここに登場させたFBおよびテスラ(同161位)も、これまたスゴイことになっているといえます。FBはご存知SNSの「フェイスブック」の運営会社、そしてテスラはベンチャー的な新興電気自動車メーカーですが、後述する業績に照らすと両社ともにすさまじいほど時価総額が膨張している様子が窺えるわけです・・・