(前回からの続き)
前回、上記のグラフを示しつつ、米アップルの時価総額(米企業で初めて8千億ドルを突破!)が、トヨタ自動車のそれ(本邦企業で1位)などと比べていかに突出しているかを綴りました。
で、時価総額がこんな感じに超高騰している米企業はアップルばかりではありません。上記で登場させたフェイスブック(FB)そしてテスラモーターズなども、以下にご紹介するデータに照らせば明らかにその企業価値がスゴイ規模にまで膨らんだかが分かるというものです・・・
まずはFB。9日終値ベースの時価総額がトヨタのほぼ2倍、米上場企業中で4位という超巨大会社に成長(?)しています。ということは、売上とか利益もさぞかし「4位」にふさわしいスーパーなスケールなのだろうな・・・とつい想像しがちですが・・・
以下のグラフはアップル、FB、テスラ、トヨタの直近の一事業年度の売上高を比較したものです(アップルは2016年9月期、FB・テスラは同12月期、トヨタは2017年3月期)。これを見ると時価比較とは様相が異なり、トヨタが一番。トヨタの売上高が約2.5千億ドル(28兆円余り:1ドル113円)と、アップルの約2.1千億ドルを上回っています。いっぽうでFBは276億ドルとトヨタのわずか1/10程度に過ぎません・・・。生産台数で世界一水準にあるトヨタの2倍もの市場価値があるとされる(?)企業にしては、収益があまりに少ないのでは?とは感じられないでしょうか・・・
たしかに下記のグラフで分かるように、FBの営業利益は124億ドルと、トヨタなどと比べて売り上げに対する利益率はけっこう高いため、同社はそれだけ効率的に儲けを出している会社とみることもできそうです。しかし、そのビジネスモデルを考えると、やはりいまのFBは超過大評価されているとみなすべきでしょう・・・
ご存知のように、FBはSNSの「フェイスブック」の運営会社です・・・が、株式市場では「インターネット広告企業」に位置づけられているといえます。同社が収益の大部分(9割以上)を当該事業から得ているからです。でも、ネット広告、それも主としてフェイスブックという個人サイトに限定された広告ビジネスの将来性とか成長性が・・・まああること自体は認めるとしても、それがこの瞬間のFBの市場価値=トヨタの2倍!に見合うほどあるなんて、常識的には考えられないのでは・・・?
「FBの高い株価は足元の業績ではなく、未来の期待を反映しているんだ!」―――きっとそういうことなのでしょう。現にFBは、稼いだ利益の多くをVR(仮想現実)とかAI(人工知能)といった先端分野に投資しようとしているみたいです。しかし、別の見方をするとこれは、同社の収益モデルに限界があることをFB経営陣自らが認めているからこその動きと捉えることもできます。これら分野の開拓には夢があるかもしれません・・・がFBは、いまの企業価値を保っている間に、せっかちな市場が期待するような、VRとかAIで巨額の利益を生み出す新業態の会社に本当に進化できるのか? 何だか時間切れになりそうな気がしてなりませんが・・・