(前回からの続き)
前述のように、アメリカ・・・経済は、リスク資産とりわけ不動産価額の永続的な上昇が生み出すマネーで回すやり方以外の選択肢はなくなってしまいました。その結果、必然的に過度に低い金利環境の現出すなわちインフレが起こってしまいますが、一見、インフレが収まってきた現局面だからこそ、進路がインフレ方向しかありえない以上、かの国においてはその近い将来の跳ね返り(物価急上昇)が高い可能性で予想されるため、これに備えた金(ゴールド)のホールドが促されて、米政策金利が5%を超えるいまでさえ同ドル建て価格が高止まりになっている、というわけでしょう。
ところで、どうしてアメリカは(とくに、遅くともリーマン・ショック以降)こうなってしまったのか―――インフレ(不動産マネー&バブル)依存型の経済構造になってしまったのか―――ですが、そのあたりは、かの国の国際収支から以下のように説明ができるところでしょう。すなわち・・・アメリカは世界最大かつ永遠の経常赤字国だから、国内は常時、マネー不足なところ、これを充当するために海外(同黒字国)から借り入れをし続けなければなりません・・・が、やがて、その借入額(海外の対米貸付可能額)をも超えて借金をするようになってしまった、であれば「他人」(他国)に頼れない以上、仕方ないので「自分」(自国)でおカネを刷るしかなくなった・・・って、その信認を裏付ける価値を「自分」・・・の地べた(=不動産)にして、という次第。そこは、リーマン…以降の量的緩和を含む米FRBの超緩和的な金融政策が継続されたこととベクトルが合っています。同政策は、上記に沿って捉えれば、米不動産価額の押し上げによって、海外からの調達では賄い切れない資金需要を満たすためのマネーを生み出してやる、というねらいに基づいて実行されてきたといえるでしょう。そのあげくが上記のとおり、そしてこちらの記事を含めて何度も書いている、この瞬間の、そして近未来のアメリカ、です。すなわち、もうインフレ(とりわけ家賃を含む不動産インフレ)の高進以外のコースはない、ということ・・・って、それが最終的に逝きつく先は当然、米ドルの崩壊、そして・・・でしょう・・・
さて、「いまさら」ではありますが・・・ではアメリカには上記の不動産インフレに頼らない選択肢はあったのでしょうか。じつは、あります(正確には「ありました」・・・って「いまさら」遅いけれど?)。そこは、本ブログで指摘のとおり、「金利」こそが、かの国の「アキレス腱」ようするに(自分たち自身では如何ともし難く)どうしても外国に依存等しなければならない国家的な弱点であることにフォーカスすれば見えてきます。この点からすれば、アメリカはこの弱点を素直に認め、外国にひたすら頼る路線に向かうべきだった・・・って、そうすれば自分自身(FRBを含むアメリカ)では絶対にできっこない「金利」・・・って、ようするにインフレのコントロールに案の定こうして失敗?することなんてなかったわけですよ・・・
となると、アメリカにとって救世主となるべき国、つまり、「アキレス腱」の顕在化を防いでくれる、そして不動産インフレへの依存を食い止めてくれる・・・だけのマネーを融通してくれる他国はいったいどこなのか、になってくるわけです。もちろんそれは世界に一か国しかありません。日本です、いや、でした・・・