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木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

どこでもやっていそうで、しかしここまでは・・・

2008年07月18日 | Weblog

大分教員採用汚職事件。
京都旅行中も、帰ってからもこの話題が続いている。
「情実人事」はどこの世界にもあるが、これは組織ぐるみの「不正人事」だ。
「こんなことはどこにでもある」という受け止め方をする人が多いと思うが、40人採用のうち、20人がなんらかの手を加えられた結果だというから度が過ぎている。
思えば40年近く前、私も教員採用試験を受けた。結果、大阪府内で、10年ほど教員生活を送った。
私の時代は、教員大量採用時代で、志望していた人は、大都市では、ほぼ100パーセント採用されたと記憶している。
教員採用試験を受けるためには、まず教員免許を持っていることが受験資格の要件だ。
中学・高校の免許は、大学でしかるべき単位を取って、教育実習を二週間こなせば、もらえるもので、なるつもりはないが、免許だけは取っておこうという学生が殆どだった。
免許取得者がこれだけいるのだから、大量採用時代といっても、中学や高校の採用試験に合格するのはかなりむつかしいことで、ペーパー試験が優秀であることに加えて、何らかのコネがあれば、それに頼るのは常識といえようか。
これに比べて、小学校の採用は、大量にあるものの、免許を取るには、それなりのハードルがある。
まず大学で初等教員養成コースに入っていれば、そのカリキュラムに沿って勉強していけばいいのだが、教育実習は4週間だ。
小学校のばあい、全教科を守備範囲にしなくてはならないから、音楽から美術から体育も「全く駄目」というわけにはいかない。
今回、不正採用された教員も、この免許は取っているわけで、採用試験のわずかな優劣で、「教員失格」というわけでもないが、公正ではないし、しかもその採用にからんで、商品券という現金にほぼ等しいものがやりとりされてきたのだから、これは「贈収賄事件」である。
私達の時代、多くの人が、自分の通う大学だけでは小学校教員の免許は取れないので、通信教育で免許を取り、教員になった。私もその一人。
在学中に免許を取る、というような手回しのいい人はまずいないので、どうしたかというと、臨時教員、たとえば、産休に入る人の代りとか、病気で休職する人の穴埋めで現場に入って、毎日が実習の生活を送り、夏休み中にある採用試験に挑戦し、そして年度末に小学校教員の免許を取得すれば、そこで晴れて、「正教員」になれる。
1970年代、大都市近郊では、こんな形で教員になることが可能だった。
一般教養を問うような、ペーパー試験は受けたが、2次面接はなかったと思う。
すでに現場で働いているのだから、わざわざ面接するまでもない。
高知県臨時教員制度廃止実行委員会編『嘆きを怒りに』という70年発行の本を持っている。
免許を持ちながら、現場で教員として働きながら、何年も臨時教員として、高知県内のあらゆる地域に赴任させられ続ける教師の実態を告発する書である。
今流で言うコスト削減のために、正式採用されない教師達がいた。今もいる。
大分県でも、親が教員だとか、自治体に顔が利く有力者(議員等)のおかげで、新卒で採用される者がある一方、何年も臨時のまま、採用されない人がいるはずだ。
長野県では、田中知事の時代に、教員採用の年齢の上限を上げ、年齢が採用基準を過ぎていて講師待遇だった教員が正式採用されるようになった。
近所にもその制度改革で、正式採用された人がいる。
地方にあっては、教員、役所や農協の職員、警察官、郵便局員などは安定した堅実な職場として、人にうらやましがられて来た。
JRになる以前の国鉄などもそうで、親が国鉄ならその子どもも国鉄に採用されていたから、「情実人事」そのものだったのだろう。
その一方で、未解放出身者や在日朝鮮人、母子家庭など就職差別に苦しんできた人達も大勢いる。
私が以前、パートで勤めていた会社は家族主義みたいなところで、親子、きょうだい、親戚で、その会社に勤めてきた、という人が大勢いた。
民間会社や町工場はそれでいいのだろうが、公務員は、それこそ「皆様の税金」で成り立っている場であるから、公明正大、一部の人がその場を独占し続けるのは間違いだ。
『源氏物語』でも狭い貴族社会で、近親同士で固まっていると、やがて滅びに向かうことになったし、今の政界も小選挙区導入以来、世襲化が進み、政治の劣化という結果を生んでいる。
それにしても、大分の百貨店あたりでは、商品券のお買い上げが収益のかなりの部分を占めていたのでは、とふと思ったが、目立つといけないからと他へ求めに行ったか。



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