安倍晋三の暴走は止まらない。
私は「イスラム国」に日本人二人が殺害予告され、にも関わらず政府が何もせず、しかも昨年のうちに拘束がわかっていたのに、中東へ出かけ、「アラブの敵」イスラエルの首相と握手を交わすという挑発行為をし、最悪の結果を招いたのに安倍晋三の支持率が下がらないというのが本当にどうしてなのかわからない。
安倍の支持率がもし1、2割なのに5割が支持しているとするのはいくら操作しても無理があるはずだ。やはり回答したうちの5割近くが「支持する」と答えているのだろう。
「どちらともいえない」とか「わからない」という回答も用意されているのだから、マスコミ統制がされていたにしてもこの回答がもっとあってもよいはずなのにと思う。
安部が今していることは「自衛隊海外活動まっしぐら」、「日本の武器輸出大国まっしぐら」のアメリカやフランス、イギリスと同じ国になることだが、しかし自主性というものは全くなく、どこまでもアメリカの家来として、アメリカの肩代わりをさせられるための「パシリ」でしかないことが実に滑稽で哀れなことである。
これでは戦前の軍部よりひどい。少なくとも当時の日本はどこかの強国の従属国ではなかったはずだけど。
「戦後レジームからの脱却」という言い分も支離滅裂だ。敗戦後の日本のあり方を大きく決定づけたのは、戦後CIAの協力者となった祖父の岸信介の手になる「日米新安保条約」だったのでは?
それから脱却するというのか?安倍にそれほどの能力があるとはとても思えないが。
いつも思うことだが、これは結局我々一人一人の国民の問題だ。「安倍の暴走」を許している国民が悪い。
「だまされていた」という言い訳はもう通らない。なるほど政府は情報を隠し、国民に真実を知らせないようにしているだろう。少なくとも大手新聞やテレビ報道だけをうのみにしていれば何も見えてこない。
だけど政府発表以外の情報を知る方法が全くないわけではない。
「安倍晋三を支持しない」という意志を持つことはできるはずだ。その意志を持たずに悲惨な結果が起きても誰も責められない。それこそ「自己責任」だ。
亡くなった俳優の菅原文太さんが沖縄に選挙の応援に入って「政府の役割は戦争をしないこと。そして国民を飢えさせないこと。この二つである」と言ったメッセージを心に刻む時だ。
安倍晋三と同レベルの愚かな日本国民が少なくとも半数はいる。
マスコミの報道操作があり、世論調査の操作もある。しかしあの官僚の用意した原稿をひたすら読み上げる、およそ説得力のない男の姿を見て「支持する」と答えるとしたら、それはもう安倍並の愚かな頭と言うしかない。
このようなレベルの人達を説得するのは非常にむつかしいことだ。
日本人が外国の武装勢力の人質や犠牲になった事件の中で、今回の後藤健二さんほど美化された人はいない。
今までの事件では「何だ、そんなところへ勝手に行きやがって。自己責任だ!」という雰囲気が圧倒的だったが、後藤さんの場合はNHKが先頭に立って「後藤健二、立派だ。えらい」のキャンペーンを張った。
しかしそんなに活躍しているはずの後藤さんを私はこの事件まで全くその名を目にしたことはなかった。
フリージャーナリストとして紛争地域の取材をしている人は他にもいるが、そういう人たちと後藤さんはやや立ち位置が違うように感じる。
フリージャーナリストと称する人たちは、以前はそれなりのマスコミ業界に籍を置いた経験のある人が多い。イラクで拘束された安田純平さんは元信毎の記者で、イスラム国への接触を試みようと渡航準備をしていた時に警察の事情聴取のため中東行きの中止を余儀なくされた常岡浩介さんは元長崎放送の記者である。既存の組織に飽き足らずフリーの道に踏み出した人達だ。
後藤さんはユニセフとの関わりが強調されていたが、ユニセフは人道支援とはいうものの国連傘下の組織であり、国連は欧米主導である。
グローバル企業が自分たちの悪行の隠れ蓑に利用している面もある。フリージャーナリストはユニセフなどには近づかないし、お呼びもない。しかも後藤さんの妻はJICA(日本国際協力事業団)という外務省の外郭団体勤務のエリートだ。
後藤さんが何らかの外務省のミッションの一役を担っていた可能性はある。外務省、それは安倍政権につながるものであるかもしれないのだ。
本当だったら「安倍辞任」に追い込むこともできる事件だった。しかし共産党の志位委員長までが、若手国会議員の「安倍打倒」のツィッターを批判したりして辞任させる機会を失った。これに自信をつけたか、沖縄県民の意思を無視して、辺野古の海にコンクリートブロックをぶち込み、サンゴ礁を押し潰して、埋め立てを強行する構えだ。ODAの予算も軍事協力にも使えるようにするという。
農協中央会の社団法人化も押し切った。農協のことはよくわからないが、これでアメリカのいいなりのTPPを決着させ、訪米の手土産にするのだろう。
国民の声も不安にもいっさい耳を傾ける気はない。安倍の頭にあるのはアニメの世界の勇ましく戦う戦士や兵器の絵だけだろう。
現実というものを何一つ見たり想像したりすることのできない人間。このまま許していると東条英機以上に日本をどん底に突き落とした首相として記述されることになるだろう。しかしその時にはもう日本は滅びていて検証することも不可能になっている可能性が高いが。
欧米やイスラエルの大量殺戮(テロ)の大罪には触れない日本の報道。
イスラム国の残虐性ばかり強調し、「テロは許されない」といくら言っても何の役にも立たない。
それを言うなら、21世紀に入ってからでもアメリカのアフガン攻撃、イラク進攻、イスラエルによるガザ攻撃による無抵抗の人々を殺している行動も批判しなければ全く説得力がない。
イスラム国という鬼っ子を生んだのは欧米の身勝手な中東支配だ。欧米の言いなりにならないイラク、リビアに言いがかりをつけて独裁政権を倒したものの、その後もっと住民を苦しめる混乱を作っただけだ。シリアも同じように転覆しようとしたが、反政府軍がお粗末なためにてこずっている間にどうにもならない状況を作ってしまった。これをやめなければイスラム過激派のテロはやむことなく永遠に続く。
安倍晋三は自分の無策の責任を棚に上げて、「テロとの戦いに日本も乗り出すとき。そのためには今こそ集団的自衛権行使を」と持っていきたいのだろうが、何のために戦うのか明白でないから、人々の「憎悪」も盛り上がらない、と私には思えるが、人質の二人殺害で、世論は一気に「テロとの戦いだ」といくのだろうか。
「アベノミクス」にまだ騙されたい人たちもこの「テロとの戦い」に騙されるのはやめたほうがいい。全日本人の命を危険にさらすことになる。
この間の報道番組で、よく言われたのが「イスラム国は追いつめられている」というもの。しかし彼らの基本はゲリラなのだから、不利だと思えば引いて、また機会を見て進出するを繰り返す。彼らが本当に衰退する時、それは欧米が中東から手を引き、イスラエルが入植地の拡大をやめる時だ。
トマ・ピケティというフランスの経済学者の「21世紀の資本」という著書が世界中で読まれ、つい最近日本にもやってきた。
膨大な経済資料を分析して、グローバル資本主義の実相をあぶりだし、だがその結論が「富裕層にもっと累進課税を」と言うなら、「ちょっと待ってよ、そんなこと膨大な資料を使って説明してもらわなくたって当たり前のことでしょ」と思うのだが。
日本でも敗戦後、アメリカ占領下で、シャウプという人の勧告で、高率な累進課税を導入し、小泉政権で税率が大幅に引き下げられるまでは、その税制によって、「一億総中流」と言われるような「富の平準化」が実現した時期があった。
資本主義の仕組みについては19世紀にマルクスがすでに「資本論」で分析済み。ピケティの何がそんなに目新しいのかよくわからない。
と言っても私は「資本論」の翻訳文はよく理解できないし、ピケティの著書も読んでいないで言う勘なのですが。