中国海軍艦船の海自艦レーダー照射とは何だったのか?
二月始め、日本政府は「中国海軍フリーゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃の照準を合わせるレーダー照射をした」と大騒ぎしてみせた。
しかし民主党政権時代にもこうした例はあったという。しかしレーダー照射したのは間違いないのだろうと思っていたら、中国側はレーダー照射を「日本の捏造だ」と反論してきた。
日本の主張を真っ向から否定してきたのだ。普通だったら、「レーダー照射の正当性」を主張してもおかしくないのに捏造とは・・・。
しかし海自護衛艦が照射を受けた海域は、日中の争いの元である尖閣諸島付近の海域ではなく、尖閣からかなり離れた公海上だった。
なぜそんなところに海自艦がいたのか。それが問題だ。
捏造の反論に日本政府は「証拠データを開示する」と言っていたのに、2月18日、「データ開示を見送る」方針を固めたと、新聞が報じた。
その理由が「いずれのデータも安全保障の機微に触れる情報で開示はむずかしい」というもの。これをなるほどとうなずくおめでたい人がいるのだろうか。馬鹿馬鹿しくて笑ってしまう。
中国のこの間の尖閣領有に関する主張を支持するものではないが、海自は明らかに挑発行為を行なっていたと疑う。
見送り方針は対外的に表明せず、証拠を切り札として温存し、中国をけん制する狙いもあるって、記者はそんな政府の言い分をそのまま記事にするんじゃない!
中国人にとって、日本の侵略によって大陸を荒らされ、多くの同朋を殺されたことは大変な傷であり、屈辱であり、たった七十年で忘れられることではない。
それでも中国政府は公式には「日本軍国主義と日本国民は違う」と分けて、友好の道を選んてきたのが、ここへ来て、歴史を正視しない、正視する理性を持たない日本の愚か者によって、この「理性的友好関係」が壊されようとしている事態に対して、一旦ことが起これば、「もう日本を許さないだろう」と思う。
愚か者達が頼みにするアメリカだが、日中の有事となれば「高見の見物」だ。
両方が疲弊して、アメリカが損することはない。
北朝鮮の核実験
各国は一斉に非難して見せたが、打つ手がない感が漂う。
非難するアメリカも中国も核保有国だ。フランス、英国、インドにパキスタン、イスラエルも保有していると言われている。
自分達の保有や実験はよくて、お前はダメというのは説得力がない。
北朝鮮がここまで「核保有」にこだわるのは休戦中のアメリカに体制保障を認めさせたいからで、核放棄をさせるには平和条約を結んで国交を開くしかない。
世界が「核抑止」の悪夢から目覚めるしかこの地球から核兵器をなくす方法はない。
先軍政治で、核開発にもぼう大な予算がいる。国民の福祉は遠ざかる。しかしこれは北朝鮮に限らない。日本だって同じだ。
防衛予算を社会福祉に回せば消費税増税など必要ない。その上米軍駐留のための「思いやり予算」まである。
「ザ・思いやり予算」というドキュメンタリー映画をリラン・バクレーという青山学院大学非常勤講師を務めるアメリカ人が制作中だという。
バクレー氏は米軍機が頭の上を飛ぶ神奈川県厚木市と海老名市で英会話教室を開き、市民共同経営有機農業グループのメンバー。
映画を作るキッカケは4年前のこと。バグダット市民を米兵がヘリから無差別に射殺する映像を見る機会があった。「母国がこんなことを」と怒りで何日間も眠れなかった。その怒りをもっと建設的なことに向けられないかと考えた。
集会で「二十年かけて日本から米軍を追い出す」と宣言してしまった。どうやったら追い出せるのかと考えて「思いやり予算という日本からの支援がなくなったら米軍は帰るしかない」と思い、世論を高めるために映画作りを思いついた。
日本政府が米軍一人当たり1300万円もの駐留経費を負担していることを言うとみなびっくりする。北朝鮮を非難してる場合じゃない。
アメリカは1946年以来40以上の国に80回以上の軍事介入をしている。「自由と民主主義のため」が口実だが、実際はアメリカの言いなりになる独裁国家の維持と資源確保のため。米軍が日本にいる理由は日本を守るためではなくアジアや中東に出撃するためだ。
バクレー氏は日本に来て33年。米軍が実際に行なってきたことを知るためにたくさんの資料を一日中見ていると暗くなり絶望感でいっぱいになる。そこで一時間ぐらい散歩するとまた元気になって、絶望から怒り、そして行動へと動いていけると語る。
日本に住むアメリカ人自らが「これはおかしい」と声をあげることにインパクトがある。
ブラック企業はなぜ生まれるか、そして日本企業の全てがブラック企業になり得る
ブラック企業で働き、疲れきって退職に追い込まれた若者の相談に乗っている「poss」というNPOを主宰する今野晴貴の話をテレビで聞いた。
中央大法学部で学んだ実に弁の立つ迫力ある29才の青年だ。
ブラック企業とは若者の就職が困難な今の時代を悪用して、大量に採用し、長時間労働と暴言で離職に追い込み、社員を使い捨てにする企業のこと。
会社に残れた者は体力があり、どこまでも従順に会社の奴隷になれる精神力の持ち主だが、それもせいぜい30~40ぐらいまでという恐ろしい事態が今進行しているという。
中小、新興の企業ばかりとは限らない。よく知られている大手企業にも広がっている。
今野氏によれば離職に追い込むテクニックはシステム化、マニュアル化されているので個人でなかなか太刀打ちできないという。
こうして離職した若者はすっかり自信を失い次の一歩がなかなか踏み出せず、仕事の技術をみがく機会も失い、ニートや引きこもりになってしまう。
なぜこんな企業ばかりになってしまったのか。それはアメリカ型の「株主資本主義」や「役員資本主義」に毒されてしまったからである。
「会社は株主のためにある」とアメリカの経営者が言っている姿を見て「何を馬鹿なことを言っているんだ」と思ったけど、アメリカで洗脳された竹中平蔵に代表されるような「経済学者」達は「その通りだ」と考えたようだ。
企業はそこに働く社員によって成り立つし、そこで生み出される製品やサービスは社会にとって必要とされるから存在するのだと考えるのが普通だと思うけど。
七〇年代あたりまでの日本企業は年功序列・終身雇用を基本として、社員に安定・安心を与え、その代わりに企業を我が家と同様に考える忠誠心を得ていた。
しかし今この会社に従属する体質だけは残り、終身雇用は破壊されてしまった。最悪の状態だ。会社が要求するように能率よく仕事が出来ないのは自分に能力がないからだと思い込み、会社の体質に問題があるというふうに考えがいかない。
日本型企業風土とアメリカ型効率主義と規制緩和が巧みに悪用され、ここに日本企業の全てがブラック企業になり得るという構図が見えてくる。
以前このブログで富裕層を悪性ガン細胞にたとえたが、まさにブラック企業のやっていることはガン細胞の増殖に等しい。共に死滅する運命でしかない。
しかし希望の風景が全く見えないわけでもない。
年間140日休日・有休40日・70歳定年・年収平均600万から700万
という夢のような会社がこれもテレビで紹介されていた。
岐阜県にある電気設備資材メーカー「未来工業」だ。
社員780名の中企業。1965年創立以来赤字なし。スイッチを一つにまとめる設備で80パーセントのシェアを誇っているというところがこの社員優遇を可能にしているのだろうが、無駄を徹底的に省くというのはどこでもやっていることだろうが、いわゆる「ほうれんそう」という報告・相談・連絡というのはこの会社にはない。自分で考えるというところが他と違う。
放送では触れていなかったが、おそらくこの規模だと株式市場から資金を調達することはしていないと思う。つまり株主の利益を第一にする会社ではなく、経営トップの報酬も社員にくらべてべらぼうに高額というわけではないのだと思う。
NHKの「クローズアップ現代」でも社員みんなが経営者であり労働者である「協同労働」が紹介されていた。目新しいものではなく、昔からある経済活動だが、世界中でこの働き方が見直される機運にあるという。
目的は何よりも地域の雇用を守ることと、地域の必要を掘り起こすことにある。本来の意味での経済活動であり社会活動といえるのではないか。
スペイン北部の巨大協同組合モンドラゴンが紹介されていたが、新しい仕事のための再教育、労働シェア、時に賃金カットも皆で考え、議論して決めるという。
賃金の格差も5倍程度に抑え、地域の実情に合わせているという。
どんな事業にも課題は次々に出てくるが、「アメリカ型資本主義」は病んだ思想なのだという認識を共有したいものである。
参院選に向けて護憲・反原発の結集を。
安倍政権は、参院選勝利まではひたすら経済に集中し、国民の警戒感を緩める作戦のようだ。
国会答弁でも「従軍慰安婦問題」に自ら答えることなく、官房長官に丸投げするという無責任ぶりだ。
憲法改定については96条の、国会議員の三分の二以上の賛成によって、改定の発議ができるという項を、二分の一に引き下げる改定に言及したが、これがいかに危険なことか、大多数の国民はにわかには気づかないだろう。
小選挙区比例併用性という選挙制度が最も鮮やかにその悪意をむき出しにした結果とはいえ、最低の得票率で、自民党に圧倒的な議席をもたらした昨年末の総選挙の結果は衝撃的であった。
自民党とその亜流の圧政を望まない、おそらく本心を突き詰めていけば、99パーセントは安倍政権の目指す、「先祖がえり」の体制は望まないはずだが、国民はどうすればいいのか。
シュミレーションによれば、護憲と脱原発を明確に掲げる社共が選挙協力しても増加するのは一議席程度だという。
これはどうしてももっと幅広い「護憲・脱原発」の参院選統一連合を作らなくては、アジアと日本1000万の犠牲によって得られた、この70年の平和と自由が失われてしまう。
脱原発の大集会を呼びかけた著名人にも参院選の統一候補に名を連ねてもらうことが必要だ。
今参院選では社民党も共産党も自党の旗を降ろしてでもこの選挙に向かい合わなければその存在意義はない。
共産党は戦前のファシズム軍国主義時代に、それに反対して「唯一戦った政党だ」と胸を張る。そう言えるのは、言論の自由も抑えられ、政府の政策に反対する主張をすれば治安警察に連行され、ひどい扱いを受け、実質的には何もできなかったからとも言える。共産党は非合法政党の扱いだった。
もし今このまま、ずるずると言論・報道の自由も制限され、アメリカの属国となってテロとの戦いに狩り出され、それに反対することも許されない社会になってしまった時、それを防げなかったことの言い訳はできないはずだ。
なぜなら合法政党として活動の自由もあるし、新聞や雑誌の発行も自由にできている。なのにその「正しい主張」を人々に浸透させることができないとしたら、それは軍国主義政府のせいでもなく、特高警察のせいでもない。
そんな時代になって、共産党が生き残れるか知らないが、たとえ生き残ったとしても何の意味もない。
あえて党を名乗らなくても人々のために戦う。来たる参院選はその本気度が試される。