木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

欧米が手を引けばテロは終焉する

2015年11月18日 | Weblog

これまでの収奪のツケを一気に支払うことになる欧米
ちょっとバラ読みした本の中に「21世紀はイスラムの進撃の世紀になる」と書かれてあり、フランスパリで起きた同時多発テロはその予言が的を得ていることを証明したようだ。
この事件に対する先進国首脳の反応は「テロには断固屈しない」。まさか「テロに屈します」とは言えないだけのむなしい言葉だ。
標的にされたフランスのオランド大統領は、ISの拠点があるシリアへの空爆を加速させた。直後にそんな判断をするなどISの憎悪をさらに誘うだけの「愚かな策」だが、ヨーロッパを代表する大国というプライドがこういう判断になるのか。
思えば十字軍遠征から始まった欧州の中東(北アフリカも含めた)への侵略と収奪の長い歴史を自身で真剣に反省しなくてはいけない。
そういう潮流がヨーロッパの各国民の側から起きるべきなのだ。
キリスト教布教の名目で乗り込んでいった十字軍の歴史など、私は新書版で読んだ程度の知識だがほんとひどいものだ。
欧米人は野蛮さにおいてはこの地球上でもトップ級である。日本人は文化・文明のヨーロッパという印象を持つ向きが多いだろうが、彼らには「二つの顔」がある。
青い目、白い肌、高い鼻、そうした見かけに騙されるが、だが最初に西洋人を見た日本人は「南蛮人」とか「毛唐」と言って恐れた。正しい直感だったかもしれない。
今、ヨーロッパでは中東・アフリカからの移民排撃の勢いが強いが、そもそも危険を冒して、差別されることを承知で、ヨーロッパ大陸を目ざすのは自分たちの国がとても生活できない状況にあるからで、遠因は植民地として収奪されてきたことと、露骨な植民地支配が終わった後にも経済支配が続いたからであり、直近の最大の理由はアメリカのイラク侵略から始まった中東諸国の政権の流動化だ。フランス・イギリスを先頭に欧州諸国はこれに追随、加担した。
イスラムテロ集団は自身を「イスラム国」と名乗った。よく考えるとこの命名は象徴的意味があると思う。「旧宗主国が自分たちの利益を残す形で勝手に引いた国境線は認めない。新たに自分たちの手で国を作り直す」という意味が込められていると思う。
欧米がこれらの地で利益を主張し、政府に介入することをやめること、それしかテロを終わらせる手立てはない。
私がバラ読みした本には「中東・アフリカでの権益追求をやめれば、ヨーロッパは今より貧しくなるだろうが、それを選択することを決断すれば、21世紀は世界連邦的な世界に変わるのではないか」と言い、それがかなわなければ破滅の世紀になると。

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非正規雇用とトヨタの関係

2015年11月11日 | Weblog

非正規雇用4割の衝撃「クローズアップ現代」
来年の3月末で番組打ち切りと言われるNHKの「クローズアップ現代」。
番組中に「やらせ」があったとして放送倫理委員会に厳しく指弾されはしたが、7時のニュースの後のこの30分の社会報道番組は一般国民に日本社会の問題点を突きつけるという意味で大きな存在意義があったと思う。
そのクローズアップ現代が今日火曜日に取り上げたのが非正規雇用の問題。

非正規労働者増大の背景にトヨタの影(週刊金曜日・7月24日号・武田知広(元大蔵省職員・経済ジャーナリスト)より
vwの排ガス基準不正問題などで、独り勝ち感のある自動車メーカートヨタだが、この日本で最も力のある大企業の賃金・雇用政策がほかの企業のいわばお手本になっている。
2002年から現在までの14年間にトヨタがベースアップしたのはたった6年。特に03年から05年までベースアップを全くしなかった罪は大きいと武田氏。04年に過去最高収益を上げているにも関わらずベースアップがなかったのだ。
また2015年は円安などによる好業績のため4000円という史上最高額のベースアップをしたとして話題になったが、4000円という額は賃金の1・1パーセントにすぎない。これは消費税アップ分に全く届いていない。従業員の側からみればアップどころか実質的には減収となっている。
ところが株主配当額をみると、この十数年間、毎年1000億から6000億円もの配当を支払っている。ベースアップがなかった年でも約3000億円の配当金を支払っている。まさにアメリカ型の「株主資本主義」の典型である。
トヨタ7万人の従業員に1000円のベースアップをするためにはわずか8億円ちょっとの支出でいいのだから、トヨタは株主には平気で数千億円も出すのに従業員には8億円の支出さえ渋ってきたということになる。
このトヨタの賃金政策が日本中の企業に波及した。トヨタのような好業績の企業がベースアップをしないのだから業績ががそれほど良くない企業はベースアップをしないし、悪いところは大手を振って賃金を下げることになる。
「雇用の流動化」を最も求めてきたのがトヨタ。
1999年労働者派遣法改正により一部業種を除外して派遣労働が全面解禁となった。2003年には除外となっていた製造業も解禁され、ほとんどの産業で派遣労働が可能になった。この恩恵を最も受けたのがトヨタ。
トヨタは以前から「期間工」という形で非正社員を製造工場に従事させるというやり方をしてきた。
景気がいい時には期間工の数を増やし、景気が悪くなると首にするのである。90年代から現在にかけてトヨタの期間工の数は最大一万人から最小ゼロと大きく変動している。
トヨタがこれまで出してきた収益や内部留保金はこの一万人の犠牲の上に成り立っている。この雇用による利益調整が03年の労働者派遣法改正によりさらにやりやすくなったのは言うまでもない。
企業にとって派遣労働という雇用調整ほど便利なものはない。しかしそれで悪化したのが国民の生活の安定である。
80年代後半には10パーセント台だった非正規雇用が90年代20パーセント台、2000年代にさらに上昇、4割という時代を迎えているのである。
言うまでもなく非正規雇用の増加は格差社会をもたらし、少子高齢化の大きな要因となり、結婚して子供を持つ青年男女の可能性を閉ざしてしまっている。
今日本社会に起きている企業による不祥事は人を物扱いしたこの20年の結果かと思う。
企業のグローバル化=アメリカ型資本主義というのは自国を限りなく空洞化させるものであると認識したい。
消費税増税はこうした企業の還付金に消えるだけである。トヨタに還付金はいらない。

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日本政府も国民もアメリカに片思い

2015年11月06日 | Weblog

アメリカが日本を守ってくれていると誤解している人たち
なぜそういう勘違いをするのか、政権がそう言い、その政権の意を受けたマスコミがそう報道し、それをそのまま信じてしまうからだが、
あまりの無謀な戦いの果てに自国民300万、東アジア全体では2000万の犠牲者を出した戦争に敗れて疲弊した日本にやってきた占領軍が救世主に見えたことが大きいのだろう。
連合軍に占領された果てには男は全員殺され、女は犯されると刷り込まれていたのに、そんなことはなくアメリカ兵は子供たちにチョコレートやガムをくれた。
しかし連合軍の中心だったアメリカは日本を守るためにやってきたわけでは決してなかった。
中国や東南アジアに侵攻した日本軍と違って、アメリカ軍は現地住民を懐柔して支配するというやり方を知っていた。
そのほうがはるかに支配しやすい。
日本に置かれた米軍基地は対ソ連のためであったし、その後の朝鮮戦争、ベトナム戦争と他国への侵略・干渉のために基地は使われてきたのに。
戦争ばかりしている国アメリカだが、さすがに出口の見えないアフガニスタン、イラクへの侵略によって疲弊し、その肩代わりを日本に求め、その求めに応じたのが今回の集団的自衛権行使を容認する安保法制」だというのに、日本のためにも戦ってくれている国の後方支援ができるように活動範囲が広がった、などと先生の言うことなら丸ごと信じてしまう幼稚園児のような投稿を新聞にして来る人がいる。
その投稿者は「日本が戦争放棄と言っても抑止力にはなりません」となんの根拠も示さず書いているが、それこそ逆である。日本がこの70年曲がりなりにも戦闘に巻き込まれず、犠牲者も難民も出さずに、戦前では考えられなかった生活の向上が多くの国民に実現したのはまさに、これこそは米占領軍の贈り物「平和憲法」のおかげである。
アメリカは世界の覇権を握り、弱肉強食型の経済体制に反対する他国の政権を謀略をもって転覆し、またその企てをしてきた国だ。
中南米の国々やベトナムがそうだし、ウクライナのクーデターも謀略機関CIAの影がちらつく。
「アラブの春」と言われた独裁政権への国民の抗議活動の背後にすらその影があるという。
南シナ海の領海をめぐる摩擦にも、私などは「なんでアメリカがそんなところにまで出張ってくるのか。あんたの国はそこじゃないでしょ」と思うけれど、日本の政府も報道も「中国悪し」の一点張りだ。
この海域の問題はそこに接している国々の問題であり、アメリカが介入することではないと思うが。そのアメリカと一緒になって行動することはおろかな不幸を生むだけだ。
アメリカは中国の政権を転覆させる野望を(少なくともCIAは)持っている。中国がこれを警戒するのは当然で、中国の様々な問題は中国国民自身が解決していく問題である。

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