木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

狙い撃ちと篭絡

2012年04月29日 | Weblog

小沢一郎議員無罪判決。
小沢氏がやって来たような「政治資金管理」のあり方は自民党議員の殆どと民主党議員の一部がこれまでやって来たことであって、政治資金規正法違反罪で強制起訴されたのはやはり「狙い撃ち」されたということなのだと思う。
実業家でもない小沢氏が億を超える資金を動かしていることには不自然さを感じるものの、それなら他の政治家もやってるだろうという感想だ。
自民党の中枢にいた人であり、日本の支配者側の立場に立って来た政治家だった小沢さんが政治家として何をめざしているのか私にはよくわからない。
しかし「狙い撃ち」されたということは支配者側の何かを変えようとしたからなのだろうと思う。
「狙い撃ち」された先輩に鈴木宗男氏がいる。彼もまたちょっとしたスキを突かれて有罪判決を受け服役までした。
「狙い撃ち」されるのは財界側の立場に立ち、かつアメリカに従う位置から国民の側に立つ主張に変わったそれまで保守とみなされていた政治家達だ。
自民党を離党し、その後いくつも政党を結成し、結局それらを潰してきた小沢氏がたどりついた先が2大政党の一方民主党だった。
無理矢理2大政党を装うために議員を寄せ集めた党である民主党。
その民主党が小沢氏の選挙戦略のもと「コンクリートから人へ」、「国民の生活が第一」という社会民主主義的政策に大きくシフトしたスローガンを掲げ、永久与党の感があった自民党から政権を奪ったのである。
小沢氏が説得して候補者とした「小沢ガールズ」と呼ばれた女性達は、これら社会民主主義的政策に親和を感じて立候補を決意したのだと思う。
そして選挙事務所の立ち上げから選挙活動のノウハウを伝授し、かつ選挙資金も用意したのが小沢氏。
市民派と言われていた菅直人も野田を始めとする松下政経塾組もこと今回の政権交代選挙に何も貢献していない、とこれは私の見方だ。
おそらく彼らでは万年野党のまま、やがて解党の運命が待っていたのでは?
しかし国民が期待した政策は、松下政経組やその他ずるがしこい連中の「民主党乗っ取り」によってことごとく潰され、さらに悪化の道をたどることになってしまった。
その乗っ取り劇を可能にしたのが「小沢政治資金問題」だった。
結果として小沢氏は松下政経組の「消費税増税」、「TPP参加」、「原発再稼働」という3悪政策の実現に手を貸すために「国民をだます」スローガンで選挙を仕切ったのかとふと疑ってしまうぐらいだ。

狙い撃ちされるのが右から左にシフトした政治家だとしたら、篭絡されてしまうのが、国民の立場に立つ主張をしてきた活動家や研究者達だろうか。
反貧困の活動をずっとやって来て「派遣村村長」として人々に知られることになった湯浅誠氏。
戦前からの共産党のトップである宮本顕治を父に持ち、スエーデンの社会福祉政策を研究してきた北大教授の宮本太郎氏。
そして在日2世として生まれ、差別にさらされながらも国際政治、特に東アジア政治の研究者として知られるようになった東大大学院教授のカン・サンジュン氏。
彼らを篭絡するのは簡単だ。「金と地位」。
湯浅氏は当時の菅首相に請われて内閣参与になった。本も売れた。
「反貧困」の活動をしてきた湯浅氏は「社会保障のためには消費税増税も必要」という立場になっているとか。
そしてそもそも貧困の大きな原因のひとつである「派遣労働」の法改正、内閣府入りしながら、今までと変わらない骨抜き法の成立に彼はどう対したのか。声が聞こえてこない。
宮本氏も政府の審議委員となって、やはり「消費増税容認」の立場だ。
彼の研究の対象であるスエーデンの消費税は高い。しかしかの国の「消費税」と日本の「消費税」とは中身も仕組みも違う。
「逆進性」を排する形に精査して運用するとでも言うのだろうか。
カン氏も本がバカ売れしてスターになり、NHKが彼を重用すること。
上に上げた人たちは良心的活動家・研究者として世間的に信用されてきた。その人達が「消費税増税賛成」あるいは反アジアの右翼的言論に対して沈黙するとしたなら、普通の人達はそれが世の趨勢かと思う。

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命より金。原発推進の思想

2012年04月22日 | Weblog

一周遅れの恫喝男仙石由人。
大飯原発再稼働をめぐってこの男が醜い言動をした。
「原発を再稼働しなければ、この国は集団自殺状態に陥る」だの「真っ暗な生活になってもいいのか」と、今時こんなデマにも等しい脅しを信じる人間がいるのか?
現時点でたった一基しか動いていないという原子力発電所。それが止まったからといって、真っ暗になるわけない。
電力使用のピークは真夏の午後30度以上になった時の2時間程度だというのに。真っ暗になる夜は電気は足りている。
出力調整ができず深夜になって余る原発の電気を何とか使ってもらおうと電力会社が必死に売り込んできたのが深夜電気温水器で、それでも余るので、オール電化住宅というものを盛んに宣伝していたのが実情。
「大飯原発再稼働」に関してのアンケートによると、地元大飯町と周辺自治体では再稼働に対してどちらかというと賛成が54パーセントだったが、大阪府では反対が60パーセント以上という結果だったと報道していた。
ところが一方「安全性に不安があるか」という問いには地元も大阪も80パーセント以上が「ある」と回答する結果になっている。
大飯町とその周辺の自治体の人々は原発関連の仕事で生活してきた関係上、生活のことを考えれば再稼働してほしいが、とても安全だとは思っていない。まさにこれこそ「集団自殺状態」。しかし仙石はそういう意味で言っているわけではないだろう。
「安全性」、「安全性」と逃げ道にこの言葉が多用されているが「原発に安全性はない」。
そのことを今回の福島の事故で私たちははっきりと知った。
危険な核廃棄物はどんどん溜まるし、定期点検で原子炉中心部に近づく労働者は確実に被曝し、それが何年か後には肉体の不調となって現れる。
もちろん停止すればそれでいいというわけではない。停止は廃炉への第一歩でなくてはいけない。
ここでコストを問題にする人々がいる。エコノミストとかいうわけのわからない連中だ。
この人達は原発に代わる化石燃料による発電のコストを試算して、当面は動かせる原発は動かすべきだという結論を導く。「命より金が大事」というわけだ。
「悪しき文明」を推進してきた愚かな思想だ。

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「泰山鳴動してネズミ一匹」北朝鮮衛星打ち上げ失敗

2012年04月14日 | Weblog

北朝鮮「衛星」打ち上げ失敗。
「泰山鳴動してネズミ一匹」。後追いで言うのも何だが、多分こうなるだろうと思っていたらやっぱり。
日本の騒ぎ方は異常だ。PAC3など沖縄近海に配備して何という無駄遣い。こうした兵器や軍備は税金の無駄遣いの最たるものだと思うけど・・・。
衛星だかミサイルだか知らないけど、情報収集と伝達は必要だとは思うがそれ以上のものではない。各国を招いて発射情報を公開しているのだからそれに冷静に対応すればいいだけ。今の政権は全員頭がどうかしている。
「安保理決議違反」などと言って騒いでいるが、国連決議を無視するのは何も北朝鮮だけではない。アメリカもそんなことは平気で無視して、イラク侵略やアフガン攻撃をしてきたではないか。
イスラエルも国連決議など無視して、パレチスナ攻撃を繰り返している。

韓国総選挙与党勝利。
11日は総選挙の投開票日で、与党セヌリ党が事前の劣勢の予想を覆して、議席自体は減らしたものの過半数勝利。
北朝鮮の「衛星打ち上げ」騒ぎを与党保守政権が最大限に利用したのかと思ったが、必ずしもそういうわけではなかったようだ。
当事国の韓国のほうが日本よりはるかに冷静だった。
かつては韓国の人々は「北朝鮮」のことになると今の日本同様「思考停止」状態になった。それを保守政権は多いに利用してきたのだが。
北の存在が南の韓国にとっても軍事独裁や反共保守政権の存在の根拠になってきた。
日本政府もソ連崩壊以降は北朝鮮を目の敵にすることで、軍備の意義を強調してきた。
北朝鮮が崩壊しては困る両国である。
今回与党で選挙を仕切ったのは、60年代始めにクーデターで権力を掌握し、20年近く権力の座にあった軍事独裁の朴大統領の娘の朴槿恵氏だった。
今の李明博大統領とは大統領候補を争った者同士で李政権とは一線を画す作戦で、勝利に導いたという。但し、首都圏では惨敗。
韓国は日本以上に新自由主義経済に覆われていて格差が激しい。
私は韓国ドラマ・映画の熱心な視聴者だが、朴大統領に関しては繰り返しドラマや映画が描いている。
戦前の満州で日本の陸軍士官学校で学んで軍人の道を歩んだ朴氏。
大統領になってから集会の場で、在日の青年の狙撃で夫人を失ってからは、大統領と側近だけが出入りする別邸に愛人を招きいれる日々だったらしい。
そんな状態の中で、最側近の情報部長に銃殺される。このあたりの事情を描いた映画が「有故」。事故という意味だとか。ドラマでは「第5共和国」が、朴大統領の死後、これも大統領に可愛がられていたという全斗煥がやはりクーデターで権力を掌握していく過程を詳しく描いていた。
また「英雄時代」というドラマでは、日本の植民地、そして朝鮮戦争で疲弊し貧しかった韓国を「漢江の奇跡」と言われた経済政策でインフラ整備と企業育成に力を注いだ一面を描いたが、これには批判が多いにあって(この時はノ・ムヒョン政権下だったか)、短縮されて終わってしまった。
映画やドラマは事実と事実の間を脚色して描くものではあるけれど、事実を全く変えることはできないわけで、「朝鮮の歴史」を理解するのに役に立つという思いで見ている。
時代劇など地域的には北朝鮮が舞台のものが多いので、今の政権が良いとは思わないが、「北朝鮮」を非難していれば正義の味方になったような日本の今の雰囲気はどうかと思う。

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還付金で消費税泥棒の輸出大企業

2012年04月08日 | Weblog

春だというのに「爆弾低気圧」というのだそうだが、大嵐にはなるわ、寒いわ、日本のこれからを暗示しているようだ。
大飯原発再稼働に狂う野田政権。
五月に北海道電力の泊原発が定期点検に入れば、54基もある日本の原発は全て止まることになり、それでも乗り切っていければ「原発はもういらない」が確定してしまう。そうはさせじと、政府と一体になった原子力複合体の見苦しく、かつ浅はかな再稼働の策動。
しかし経済界も米倉経団連会長のような思考停止組だけは「原発再稼働」を主張しているが、目先の利く面々は原子力から再生可能エネルギーに舵を切り始めている。
野田政権が死に体であることはわかっているので、野田内閣の決定がそのまま実行されるとは思っていない。
瓦礫処理の広域化は放射能汚染の広域化。
津波と地震による東北地方のぼう大な瓦礫と呼ばれる粗大ゴミ。福島県の瓦礫は別として、宮城・岩手のゴミ処理を地元だけでなく、日本全体で引き受けていこうという、一見最もな話しに聞こえるが、実は瓦礫を公域処理することは放射能汚染を日本全体に広げてしまうことになるという。
しかも瓦礫処理を他地域で引き受けるというその量は全体の1、2割程度だという。それだったら地元で時間をかけて、処理する方が、震災で仕事を失った人々の失業対策にもなる。
「被災地のゴミを他地域でも引き受けよう」という美しく聞こえることも、実は瓦礫処理という利権がからんでのことらしい。
公域処理は汚染を広げるわ、費用はよけいかかるわ、税金の無駄使いということになる。
消費増税の打撃は医療にも(信濃毎日新聞が報じた消費税の問題点)。
医療機関は保険診療で患者から消費税は取れない。非課税と定められている。その一方で、医薬品や医療用材・器具など医療経営のための購入費用に関しては消費税を払わなければならない。
中小経営や自営業者の「消費税構図」と同様である。医療の場合保険診療価格は国が決めているので、勝手に値上げはできない。
消費税が3パーセントから5パーセントに上がった時、診療報酬が1・53パーセント引き上げられ、税負担をカバーしたということになっているが、しかし調査によると、全国の医療機関が支払った消費税総額は平均社会保険診療費の2・22パーセントにのぼっている。
それでなくても地方の医療機関は医師不足などの理由で経営環境が厳しくなっている。消費増税で、閉科・閉院が増え、命の崩壊が拡大していくことになる。
輸出企業への還付制度がいかに不公平であり、今の消費税が欠陥制度であるかも初めて?見出しになり、記事になった。
東京の税理士事務所長湖東京至(ことう・きょうじ)氏の試算では、大手自動車、家電メーカーなど10社が10年度に受けた還付金の額は計約8700億円になる。
日本の消費税は輸出大企業にただただ貢ぐとんでもない制度になっている。
法人税を下げろと騒ぐのもこれら輸出大企業で、そのお先棒をかつぐ経済評論家は「下げなければ企業が海外に出て行ってしまう」と言う。
税金泥棒は出て行けばいいのでは。多分海外ではこんなおいしい制度は通用しないだろう(輸出戻し税の制度がある国はあるが、日本企業の言いなりになる政府はない)。

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