湯浅誠と堤未果、この二人は貧困という社会状態が日本の国で目に見えて増えている中で、鮮やかに登場した若手の社会運動家とジャーナリストだ。
湯浅氏は昨年から今年にかけての年越し派遣村の村長として一般にその名が広く知られるようになった、今日食べる物にも困ってしまった人たちの相談に乗り、生活保護などの公的支援を受けられるようにサポートするNPO法人「もやい」の事務局長。
堤氏は貧困の形では日本の先を行くアメリカの実態を『貧困大国アメリカ』という著書にまとめたフリージャーナリスト。
その二人が毎年長野県須坂市で開かれている「岩波講座」に登場した。
湯浅氏の講演の要旨は26日信濃毎日新聞に掲載されているが、日本の今の社会状態は、職を失うと同時にあっという間に、住むところも食べるものも失うという「滑り台社会」になっているという見方を示したのが湯浅氏。
それ程ひどい社会になっているのに当事者は中々声をあげて来なかった。「自己責任」の呪縛というか脅しがその背景にあったという。
「そんな派遣社員にしかなれないのは、お前が怠け者だったからだ」という批判を浴びせられると、完璧な人はいないから反論できない。
「おかしいな」と思っても一人では企業とも派遣会社とも渡り合えない。
しかし考えてほしいと湯浅氏は言う。そもそも10人の人に対して8個の椅子しか用意されていないぐらいなら、要領の悪い者がワリを食う、自己責任だという理屈も無理矢理通せないこともないが、これが5個しか椅子がなければ、あぶれた5人を「自己責任だ」と責められるだろうか。
正規雇用のパイがどんどん減らされている時代に、すぐクビにされてしまうような非正規雇用の働かされ方を選ばざるを得ない状態は「自己責任」では済まされない。
どんなにがんばっても、10人のイチローや石川遼がいても椅子が8個しかなければ、5個しかなければ、イチローも遼君もあぶれてしまうわけだ。
今、湯浅氏が特に声を強くして言うのは国として「貧困率」を算出するということ。
経済成長率を高めれば、国民の生活も良くなり、貧困も減るという理屈は実情を反映していない。
それよりも貧困率、その国の平均収入を下回る世帯なり個人がどれだけいるかという数値を示すことで、政策の方向性をを打ち出していくという政治が必要だということである。
経済成長の果実が、働く人に廻っていかない社会は不健全でやがて行き詰まる社会でもある。
堤未果氏のアメリカレポートは衝撃的であったが、それの詳細については次回に譲るとして、イラクでは「アメリカ軍の民営化」がいっそう進んで、その危険な仕事に狩り出されているのは、アメリカ政府の政策によって作られた貧困層であるという。
オバマ大統領は日本で言うなら湯浅氏のような、貧困層を助ける仕事をしていた人だが、2大政党の一方、民主党の議員になり、そして大統領になる過程で、多くのロビイストに囲まれ身動きできなくなっているのが今の現実のようだ。
それを変えるのは、それこそ一人一人の草の根のアメリカ人の忍耐強い行動でしかないと堤氏は報告した。
このようなことは日本の新聞もましてやテレビは伝えない。
湯浅氏は昨年から今年にかけての年越し派遣村の村長として一般にその名が広く知られるようになった、今日食べる物にも困ってしまった人たちの相談に乗り、生活保護などの公的支援を受けられるようにサポートするNPO法人「もやい」の事務局長。
堤氏は貧困の形では日本の先を行くアメリカの実態を『貧困大国アメリカ』という著書にまとめたフリージャーナリスト。
その二人が毎年長野県須坂市で開かれている「岩波講座」に登場した。
湯浅氏の講演の要旨は26日信濃毎日新聞に掲載されているが、日本の今の社会状態は、職を失うと同時にあっという間に、住むところも食べるものも失うという「滑り台社会」になっているという見方を示したのが湯浅氏。
それ程ひどい社会になっているのに当事者は中々声をあげて来なかった。「自己責任」の呪縛というか脅しがその背景にあったという。
「そんな派遣社員にしかなれないのは、お前が怠け者だったからだ」という批判を浴びせられると、完璧な人はいないから反論できない。
「おかしいな」と思っても一人では企業とも派遣会社とも渡り合えない。
しかし考えてほしいと湯浅氏は言う。そもそも10人の人に対して8個の椅子しか用意されていないぐらいなら、要領の悪い者がワリを食う、自己責任だという理屈も無理矢理通せないこともないが、これが5個しか椅子がなければ、あぶれた5人を「自己責任だ」と責められるだろうか。
正規雇用のパイがどんどん減らされている時代に、すぐクビにされてしまうような非正規雇用の働かされ方を選ばざるを得ない状態は「自己責任」では済まされない。
どんなにがんばっても、10人のイチローや石川遼がいても椅子が8個しかなければ、5個しかなければ、イチローも遼君もあぶれてしまうわけだ。
今、湯浅氏が特に声を強くして言うのは国として「貧困率」を算出するということ。
経済成長率を高めれば、国民の生活も良くなり、貧困も減るという理屈は実情を反映していない。
それよりも貧困率、その国の平均収入を下回る世帯なり個人がどれだけいるかという数値を示すことで、政策の方向性をを打ち出していくという政治が必要だということである。
経済成長の果実が、働く人に廻っていかない社会は不健全でやがて行き詰まる社会でもある。
堤未果氏のアメリカレポートは衝撃的であったが、それの詳細については次回に譲るとして、イラクでは「アメリカ軍の民営化」がいっそう進んで、その危険な仕事に狩り出されているのは、アメリカ政府の政策によって作られた貧困層であるという。
オバマ大統領は日本で言うなら湯浅氏のような、貧困層を助ける仕事をしていた人だが、2大政党の一方、民主党の議員になり、そして大統領になる過程で、多くのロビイストに囲まれ身動きできなくなっているのが今の現実のようだ。
それを変えるのは、それこそ一人一人の草の根のアメリカ人の忍耐強い行動でしかないと堤氏は報告した。
このようなことは日本の新聞もましてやテレビは伝えない。