木洩れ日通信

政治・社会・文学等への自分の想いを綴る日記です。

タカリ体質に陥っている輸出大企業

2012年01月28日 | Weblog

輸出大企業だけが利益をあげる消費増税。
消費増税をすると、日本国内の消費は確実に冷え込む。
これは大部分の企業にとってマイナスに働くことになる。しかし非常に熱心に消費増税を政府に要請しているのが、経団連に所属する大企業の経営者達だ。
輸出企業には、「輸出戻し税」という、まるで国民を欺く制度がある。
国内で調達するものには消費税がかかる。しかし輸出する際には相手から日本の制度にのっとった消費税は取れない。そこで輸出した分の消費税が還付される。
大企業になるほどこの還付金は莫大だ。還付金=企業への補助金と言っていい制度。
2010年度の還付金は3兆3762億円。消費税収12兆475億円の28パーセントに当たる。
輸出戻し税で最も恩恵を受けているのはトヨタ自動車2106億円で、2位はソニーの1060億円。上位10社だけで、全体の4分の1に当たる8014億円(09年)の還付金だ。
これらの大企業が国内で消費税を払っているかというと、弱い立場にある納入業者や下請けに消費税分をまけさせている場合が多いので、まるまる還付金が企業のものになっていると推測される。
莫大な利益は役員報酬と株主への配当にあて、残りは内部留保していて、下請けや労働者には回っていないのが今の日本の現状だ。
こうした輸出大企業に対して、消費税を他に転化できず、どころか自らが相手の消費税ををかぶらざるを得ない中小企業や自営業者の苦境はなかなか報道もされて来なかった。
大企業が内部に資金を溜め込めば溜め込むほど日本の景気は悪くなっていくわけで、消費が伸びなければ企業もやがて先細りしていくしかないわけだが、銭亡者になってしまっているこれら企業のトップにはそれも見えなくなってしまっている。
いわば資本主義の末期症状に入っているわけである。
輸出大企業は輸出で儲けるのだから、日本国内の経済状況が疲弊しても関係ない、法人税や賃金の安い新興国に拠点を移してそこで稼げばいいという理屈かもしれないが、つい最近のタイの洪水で被害を受けた日本からの進出企業の例からもわかるように、海外に全てを頼るのは企業にとっても大変なリスクを負うことでもある。
ちなみに日本の法人税が高いというのはウソで、企業の税負担の高低は公的負担(税金+社会保険料)で見なければ正確ではない。
日本の企業負担率は各国に比較しても高いとはいえない。
フランス61・1%、ドイツ52・0%に対して、日本は38・6%だ(08年度)。
だから「日本の法人税は高い」という論者がいたら、それは不勉強か、ウソツキか、その両方かである。
「法人税を下げないと国外へ出て行く」という脅し文句をよく聞くが、中央大経済学部教授の米田貢氏は「たとえばトヨタが愛知県を捨てて、本社がすべて中国に行くということは絶対ありません。トヨタが影響力を持てるのは日本の政治家だけだからです。世界でも自国を捨てたグローバル企業は一つもありません」と言っている。
こうした大企業は規制緩和を、もっと自由な経済活動をと政府に求めながら、いざ自分達の企業が危機に陥ると、政府に救済を要求する。
金融危機の際の銀行、原発事故を起こした東電、エコカー減税なんて、自動車会社を儲けさせるものでしかない。
法人税下げを要求し、自分達の利益になる消費増税には大賛成。そして危機の時の救済は当然の如く求める。
究極のタカリ体質。異常である。だからこのような企業行動に未来はない。滅びる前のやりたい放題、狂った状態と言えるのではないか。

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