新聞は「消費税増税ありき」で固まっていて、そういう論を展開するエコノミスト達ばかりを登場させている。
私はこうした「エコノミスト」達は、株式市況とか、為替市場とか、そんな数字ばかり見ていて、実体経済、現場を見ていない人達なのではと疑っている。
1月11日信濃毎日新聞で、第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生は「消費税は世代間の受益と負担のアンバランスを均すために必要」だと言い、「所得税負担は現役世代と高齢者の負担割合が9対1と著しく現役世代に偏る。消費税ならば7対3とバランスが改善できる」としている。
この論には武田知弘氏が言う、富裕層にもっと税金を払ってもらうという考え方はまるでないようだ。
金持ちからもそうでない人からも「一律」に税を取ることのどこがバランス改善になるのか。
直接消費税への言及ではないが、早稲田大学大学院教授の川本裕子は、アメリカで起こっている1パーセントの人間が富を独占している状況への抗議活動である「ウォール街を占拠せよ」のデモについて、「アメリカでも格差問題が深刻という捉え方には違和感がある」とけん制し、「自由経済の活力によって成長の追求を優先する路線を再度選択するのか、それとも富裕層バッシングというあまり生産的ではないゲームを続けるのかの選択の問題」と、使い古された論理展開をしている。早稲田の学生はこんな川本先生の考え方を了解するのか。
川本教授がまだまだ信頼しているらしいアメリカでは、大統領選を11月に控えたオバマ大統領が一般教書演説で「中間層に公正な機会を」と訴えた。
オバマは最初のデビューが鮮烈だっただけに、その後のウォール街との妥協の日々により口先だけの疑いもあるが、とにかく中・下層の人々の抗議を無視するわけにはいかず、こうした訴えになったのではと思う。
「アメリカは一つに」というメッセージで初の黒人大統領となったオバマが共和党との対決姿勢を示した(選挙向けかもしれないが)。
公平な責任分担に言及し、共和党が反対する富裕層への増税に取り組む決意を強調した。
また持続可能な経済をめざして、海外流出した製造業を取り戻す必要があるとして、雇用を移転した企業に増税し、米国内で雇用を創出した企業には減税する法人税改革を進める考えを示した。
メディアは「消費増税しかない」の論調ではあるが、中央と地方ではやや温度差がある。
信濃毎日新聞では一掃したい人種であるエコノミスト達を紙面に登場させながらも、ようやく末端消費者と共に中小業者にしわ寄せがいく現行消費税の問題点を記事にしている。
しかし「輸出戻し税」の欺瞞性を正面から論ずる記事はまだ目にしたことがない。
大多数の人はこのことを知らないのではないか。
消費税を上げてもその内の何割かは「輸出戻し税」として、輸出大企業のもとへ吸い込まれていってしまっていて、社会保障には回らないのだ。
その社会保障だが、富を独占する強欲資本主義がはびこっているために経済の停滞が起き、リストラ、失業の拡大で、生活保護世帯も急増している。
この生活保護制度だが、全部もらえるか、全くもらえないかという硬直した制度になっていて、保護世帯に対して「働かないで楽をしている」というバッシングの元になってしまっている。
先進諸国の多くでは低所得者には所得の足りない分を補助する制度がある。
イギリス、フランスなどでは住宅費を補助する制度があり、アメリカなどには食費を補助する制度がある。
これらの社会扶助制度は生活全般の面倒を見てもらうわけではないので、受給のハードルも低く、受給者の勤労意欲も保てる。
日本でも社会扶助制度がもっと弾力的であれば、ホームレスに陥る人も減り、絶望の果てに自殺をはかる人も減るはずだと、これも「消費税」の理不尽を主張している武田知弘氏の言っている事。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます