デフレ経済の克服には、超金融緩和政策を継続的に実施する必要があるかもしれないが、それだけでは効果も薄れて弊害の方が大きくなる。
日本の現状も「マイナス金利政策に踏み込む」ところまで追い詰められて、ついに日銀も決断して、アベノミクスの4年目はマイナス金利を実行した。
早速の弊害が金融業の収益悪化に現れて、景気回復にブレーキがかかる有様だ。
企業がいくら低金利の条件でも、需要不足の解消が見込まれず、消費購買力が落ち込んでいく情勢では、低金利でも借り入れて投資をする機運にならない。
経済原則に沿った経営判断をする経営者ならば、日本国内への投資増加はするはずもないのである。
それ故に「政府の介入による賃金水準の引上げ」が、消費購買力の増強に効果が出せるはずだ、との判断は妥当性がある。
問題は、政府経営権に介入して「企業従業員の賃金上昇」と実現できるか。
その具体的な政策と法制度はどのようにすれば可能なのか、を徹底的に検討して、『与野党の合意で実施する』ことが必要である。
与党の自民党と公明党は、「デフレ脱却の経済最優先」では一致しているから、『政府の介入でしか賃金上昇が実現できない』との認識に転換すればよい。
野党の民進党は、以前から賃金上昇を主張していたから、もとより異存はなく、他の野党も政府介入による賃金水準上昇の実現は大賛成であろう。
まずは、取り掛かる課題としては、「現行法で政府所管」となっている『最低賃金の引上げ』であろう。
厚生労働大臣の諮問機関である「中央最低賃金審議会」の小委員会での議論で、引上げ額の目安を決めることになっている。
これを、厚生労働大臣が「物価上昇率目標2%+経済成長率目標3%」を上回るように「各都道府県の地方最低賃金審議会」に参考提示するのだ。
各都道府県の意見を踏まえて「各労働局長」が決めることになっている。
各地の労働局長は、当然、厚生労働大臣の部下であるから、政府介入ではなく、政府そのものが「決定責任部門」である。
民主党政権が「最低賃金目標を1000円/時」を掲げながら、3年もの間、実現できないことが不可解であった。
今は安倍政権の公約が『人への投資』と、「一億総活躍社会」を実現すると転換したので、実行力のある自民党政権であるから、確実に実現できる。
現段階で800/時であっても、毎年5%以上の引上げ額で実現すれば。2020年には「最低賃金目標を1000円/時」が実現できる。
低収入の働く人たちの収入増加は、確実に消費購買力の強化につながり、少しでも地域経済への貢献が可能になる。
当然、「最低賃金での雇用で成り立っている事業者への補助」が必要になる。(続)