庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経済の根幹は働く人の生活を最優先する制度に移行できるかだ。

2016-04-05 | 快適エネルギー社会問題

日本での経済政策で誤った認識がはびこっているのは、アベノミクスの経済効果をいまだに期待している専門家が、旧来の常識に囚われているのが原因である。

それは、経済の基本を生産力が左右し、エネルギー消費の拡大と経済成長を混同する【20世紀の常識を捨てられない】で、何よりも生産部門の企業を優遇する。

つまり、肝心の人の立場よりも【生産企業を中心に据えて考えて】しまう。

これでは、先進国経済に移行した国では、デフレが起きるのは当然の帰結である。

 

確かに、「産業革命以後」の技術革新によって、エネルギー分野や移動機器(交通機関)の面では大きな進歩があった。

これらの技術進歩によって、人々の生活は快適で豊かなものとなり、後進国の人たちに次々に拡大していった。

その普及の原動力になったのは、技術革新と同時に高効率な大量生産技術の進化であったのは間違いない。

日本も高度経済成長時代には、エネルギー分野では「石油依存社会」に転換して、大量のエネルギー消費の生活に浸り、大きな恩恵を受けた。

交通機関の分野では、鉄道の発達と進化、その次には自動車交通社会の到来で、便利になると同時に、エネルギー消費も増加する一途であった。

 

遂に、その流れを転換する必要が切羽詰まった状態で、世界中に突きつけられたのが、「地球温暖化、気候変動問題」への対策である。

化石燃料の枯渇の懸念は付きまとっていたが、それ以前に化石燃料の燃焼による「温室効果ガス」の削減を、全地球規模で実行しなければならない状況である。

先進国の国民は、化石燃料の消費を削減し、エネルギー消費を控える生活に移行することが求められている。

それにもかかわらず、旧時代に経済成長に貢献した「化石燃料産業」と【エネルギー多消費型の産業】が、いまだに基本産業であると思い込んでいる。 

ここで大きな転換を図らなければ、人々の生活の豊かさを維持しながら「省エネルギー、脱化石燃料」の社会に移行することができない。

 

自民党政権も一時期の民主党政権も、この答えを「原子力エネルギー依存度」を上げて、省エネルギーと合わせて「低炭素社会」を目指すとしてしまった。

「低炭素社会」の主力を原子力としたが、いまではだれでも、原子力エネルギー依存度の大幅な拡大が危険な選択であると気が付いている。

この方向の誤りに気がついて、「脱原子力依存」を実行しなければならない。

問題は省エネルギーの課題と『再生可能エネルギー社会』への転換を加速する政策、制度の構築では、いまだに基本方針が定まらないことにある。

それに戸惑いを感じる人たちは、とりあえずの生活防衛には「省エネルギー型の製品」に徐々に切り替えて、節約志向の生活に甘んじる姿勢でいる。

政府がいくら「インフレターゲット」といっても、効果が出るわけが無い。(続)