本気で「デフレ脱却」の対策に取り組む覚悟なら「第2段階のアベノミクス」の公約を実行するべきである。
単なる「参議院選挙向けの姿勢」に終わるならば、公約倒れになった「民主党政権」と同じ実行力欠除で、次期衆議院選挙では政権から退出させられる。
経済界のいいなりに【経済政策を生産者優先】にしてきたことが、日本経済を【賃金デフレの長期低迷】に引きずり込んでいる。
あらゆる方策を動員して、賃金上昇の流れを作り出し、下からの押し上げ効果を最大にするのが、アベノミクス第2段階であろう。
新3本の矢の目玉は、「GDP600兆円目標」を2020年ごろに達成すると掲げた。
2015年の名目GDPは500兆円であり、2013年に安倍政権になってからの名目GDPは3年間で28兆円増えている。
このままの状況で行くならば10年間はかかってしまうが、5から6年間で実現するには、並みの政策を続けていては実現不可能である。
また、希望出生率1.8人を実現して、50年後に1億人の人口を維持する長期の国の目標を定めている。
その政策手段としては、子育て世代の生活水準を上昇させて「安心して子育てできる社会」を作っていくとしている。
そのためにも、まずはデフレ脱却した上で「安定成長の軌道」」に日本経済を離陸させる必要がある。
その覚悟を具体化したのが「一億総活躍プラン」として、5月にとりまとめて「参議院選挙での公約」のベースにする。
それでは、デフレ脱却の目標を数年で達成するには、物価上昇率目標を4%に設定するつもりがあるのだろうか。
また、名目賃金上昇率を全国民平均値で3%以上に引上げることができるのか。
安倍政権の経済ブレーンの浜田宏一氏は、【賃金が上がる前に物価だけ上がるのは好ましい状況ではない】と、3年間の【アベノミクスの失敗】を認めている。
だから、まず賃金が3から4%上がって、物価上昇率2%になっていくのを狙う、と説明しているが、そんなことは初めから分かっているはずであろう。
自分の企業経営のことしか頭にない大企業経営者と、大企業の下請けで四苦八苦の中小企業経営者に、どうやって「年3から4%の給与増額」をさせるのか。
日銀の黒田総裁の出番の前に、安倍首相が「毅然として大企業に賃上げ要請」をしてきたのなら、それに応えない大企業にはどのような罰を与えるのか。
【買い叩きを強いる大企業の強引な取引】に、政府が介入できる方策はあるのか。
政府所管の「最低保証賃金の引上げ金額」でさえ、4%の増額もできない実行力で、大企業の経営権に介入できる法制度を、国民の前に提示してもらいたい。
それが政権運営を委託するに値する政党であるか、が問われるのである。(続)