政府が働く人の賃金水準を引上げていく政策が【総需要不足経済】の対策になる。
長年にわたって賃金水準が低いことが【保育園の待機児童】の慢性的な問題となっていたが、ようやく安倍政権の動きが出てきたようだ。
「保育園また落ちた。活躍できねーじゃねーか!」と安倍首相の怠慢を非難したブログの投稿が話題を呼んで、対応を迫られた格好だが、入り口に立ったようだ。
保育園の設備不足も問題だが、2017年度末までに9万人の保育士不足が見込まれ、待遇改善が急務であった。
保育士の資格があっても賃金水準が希望に合わない、と半数の人が答えている。
安倍首相が2015年初頭の施政方針演説では、保育士の処遇改善を3%実施するとして、これで「待機児童ゼロの実現に全力投球」していくと表明した。
保育士の平均的な給与は「月21万9千円」で、3%改善は約6600円である。
「月22万6千円」に上昇したら「待機児童ゼロを実現」と想定したのなら、いかに現状の認識がお粗末かが、問われるが、これが安倍政権の全力投球の実力か。
2016年初頭の施政方針演説でも、保育士不足が9万人になるのを、「2017年度末までに確保する政策を打ち出します」、と約束していた。
全産業の平均給与よりも【月10万7千円以上も低い】現状の賃金が、慢性的な保育士不足の原因であると自明なのに、例のブログが出るまでは放置していた。
口ばかりが動く安倍首相がやっと、放置できない政治問題として取組み始めて、保育士の給与水準を「月額で1万2千円引き上げる方針」を決めた。
昨年度の女性保育士の「賞与を含む月額で26万8千円」は、28万円に引き上げるが、それでも全産業の女性社員の平均的給与より、3万円も安い。
【保育士の責任の重さ・事故の不安】や、【休暇が少なく取りにくい】処遇改善を、必要としているので、この程度で保育士不足の解消は難しい状況であろう。
今までの対策がお座なりの先送り体質であるから、女性保育士の賃金水準を全産業の女性社員のレベルに引き上げる事を目標にして、その財源を確保すべきだ。
5月にまとめる「一億総活躍プラン」で「具体的で実効性のある待遇改善策を示す」としているが、与党の提言では僅か2%の賃金上昇にすぎない。
1%の賃金上乗せに200億円の財源が必要だとして、及び腰の姿勢でいる。
最低でも5%の賃上げは「デフレ脱却のやる気を示すボーダーライン」だが、その財源の1000億円を捻出する実行力が問われる事になる。
民主党政権の歴代の内閣では、デフレ脱却の取り組みには消極的で、待機児童ゼロの目標も無く、「安心して子供を育てられる社会」を作ると、言うだけであった。
政策目標を立てる能力がなく、財源を生み出す真剣な検討もできていない。
そのような政党の政権公約を信用した国民は、完全に裏切られて【民主党政権を追放した。】
敵失で転がり込んできた政権だが、3年間の実績は落第点で、この先は・・?(続)