安倍政権の経済政策は、第二ステージに移ると「2016年1月の施政方針演説」で宣言された。
「この3年間の大きな実績の上に、いかなる困難な課題にも果敢に挑戦する」と言い切って、国会、国民に約束したのである。
第一ステージの「アベノミクス」の3本の矢は、失敗したことを認めるはずも無く、新たに打ち出して挑戦目標は、「1億総活躍への挑戦」である。
本年にとりまとめる「ニッポン1億総活躍プラン」では、『同一労働同一賃金』の実現に踏み込む考えを表明した。
この基本理念は、従来から野党が主張してきた、「大きな対立する政策」であるが、臆面もなく基本政策に掲げるのは、参議院選挙への論争封じのねらいである。
「非正規雇用の均等待遇に取り組む」と言い出したが、この20年にわたって【臨時雇用的な労働環境を拡大】してきた、誤った基本政策に対する反省はない。
国民を愚弄している安倍内閣の本質が露呈しているが、とにかく、非正規雇用が4割にも拡大したのが、日本経済の最大の弱点であるから、最優先で正すべきだ。
この大きな課題は、正す方向は「与野党一致」で、その具体的な成果がだせる「政策競争」、「制度改革論戦」を活発に展開することで、国民に見えるようにする。
その本気度と政策の知恵比べを参議院選挙で「国民が評価する機会」にするのだ。
この分野では日本の制度は「世界での後進国」レベルだから、先送りは許されない状況である。
しかし、自民党政権の基本姿勢は、いつも大企業よりの都合を優先することで、経団連の要請や反対があると、必ず先送りに逃げ込む。
景気回復の要求に対して、公共事業の拡大や前倒しを叫ぶことはあっても、「保育士の給与待遇改善」は財源不足を理由にして、当面の受入れ枠拡大でにげる。
「時間外労働の割増賃金の引上げ」は、長年の間、日本の長時間労働の原因と指摘されていたのに、【やっと取り組みを言い出した遅すぎる改革】である。
さらに、「有給休暇の取得制度」は、大企業から中小企業まで、取りにくい現状を放置したまま「労働環境の改善」を、政府と自治体が逃げてばかりいた課題だ。
これらの労働環境の後進性が「消費の機会」を奪って、需要不足を招いたのだ。
企業だけ日本国内に引止めれば、生産拠点を国内にとどめて、雇用が守れると勘違いをした、自治体と労働組合も「生産拠点」を優先する志向に囚われていた。
そのような優先認識が、日本の労働環境を長期的に低下するながれを容認した。
気がついてみれば、生産拠点がほとんど海外に移転し、残されたのは、劣悪な労働分配率の弊害であった。
デフレ経済の原因は、【賃金デフレ】であり、【収入格差の拡大による消費購買力不足】による需要不足経済の慢性化である。
アベノミクスの本命を、「働く人を最重視」に転換すれば、経済は動き出す。(続)