グローバル化された資本主義社会では、「資本収益率(r)>(g)経済成長率」が真実であるから、常に最大の利益を求める「資本家のお金」は先進諸国から流出する。
その上に、課税率が極端に低い、【税率ゼロの国を認めてしまう世界】では、先進諸国から富裕層のお金は、「タックスヘイブン」に移して税金徴収から逃避する。
行き着く先は、先進国は軒並み「税収不足に陥り中流階層から税金を取り立てる」羽目になるので、安定した社会を築く中産階級が減少していく。
このような負の循環が起きる構造になってしまったので、「自由競争市場経済」は悪の弊害の影響が増大している。
従来の自由貿易と規制緩和による経済対策は、一度原点に戻ってみるべきである。
金融の自由化が拡大したのは「1990年代の前後」からであるが、この時期から「タックスヘイブン」の逃げ道を利用する【脱税手法が進化】してきた。
大企業や富裕層だけでなく、政治家の友人たちが、格好の脱税手段として【合法的に増やしたお金を隠す】ことが出来るようになってしまったのである。
経済の血液となるお金が地下組織の潜ってしまい、税収不足の原因にもなっているのに、政治家の友人たちが「表沙汰にならない工作」を図って黙認させた。
世界の表の経済では、お金が潜ってしまった分だけ経済活動にブレーキがかかり、不況とデフレの要因が増大してしまった。
これをてこ入れするには、借金による財政出動か、バブルを起こさせるしかない。
アメリカ経済は、次々に【バブル経済を起こして破綻】を繰り返した。
ブッシュ政権下では、サブプライムローンの増加による【バブル崩壊によるリーマンショック】で、世界中に大きな負の遺産をばら撒いてしまった。
EU諸国では、共通通貨による弱点が顕在化して、経済的に弱体な国の財政悪化が慢性化し、国の債務不履行の危機が発生して、経済活動の停滞を招いた。
若年層の失業問題が深刻化している流れを改善することができないで、社会不安を増大させて、最悪の影響が「攻撃的な自爆テロ」となって、悲惨な状況である。
「自由貿易、市場競争至上主義」の経済政策を採用するならば、これらの悪の弊害を取り除く算段ができていることが前提であることに、やっと気が付いたのだ。
しかし、自由主義経済の論者たちは、このような弊害の発生に対して何の責任感もなく、いまだに【自由主義経済の論理的な正しさ】にしがみついている。
政治家の方は、このような弊害を招いたのは、自分たちの判断の誤りではなく、他人のせいにして「逃げ回るだけ」しか能力がない。
一時的な経済活動に活力を与えるには、自国の通貨を大量に市場に供給して「通貨レートの意図的な引下げ」で、一部の富裕層と大企業の利益を増やすのだ。
しかし、このお金は国内には循環せずに、資本収益率が高い地域や国流れて、【所得格差の増大】を加速するだけになる。
政治家の能力不足が、画期的に改善されないと世界の経済は衰退に転じる。(続)