庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

21世紀の経済成長路線は人への投資が始まりである。

2016-04-19 | 経済問題

20世紀型の経済成長の基本は生産力を重視する政策で、「企業活動の支援」を政府が税金の配分で調整をする役割を果たしてきた。

1990年代以降は「企業の生産力はすでに一流国」に達していたが、働き手の労働環境や給与の待遇は、まだ一流国とは言えない状況にあった。

それが「バブル経済の崩壊」という環境悪化と同時に、金融の自由化、貿易自由化、規制緩和の【新自由主義経済の潮流】に流されて、労働環境は悪化した。

生産企業は企業努力を生産性向上に向ける代わりに、働く人の賃金抑制、非正規雇用の導入による人件費抑制に活路を求めてしまった。

 

安倍政権は、このような人件費の抑制によって常態化した「賃金デフレ」の実態に目を向けずに、金融緩和による市場のお金の流動を増やす事にした。

市場でのお金が潤沢になれば、デフレマインドを払拭できて、「消費行動の増加が期待出来る」と、大きな勘違いをして「アベノミクス」のおまじないに専念した。

結局の所、2012年12月の安倍政権発足後に2015年12月までの【実質GDP

成長率は平均0.6%】にとどまっている。

2000年以降の「実質GDP成長率0.9%」よりも下回る成果では、完全に経済政策は落第点である。

 

この期間に「非正規雇用社員」の割合が、働く人の全体の4割を超えるレベルに達して、「アベノミクス経済政策」では増え続ける有様である。

平均賃金の水準は減少して「正規社員の6割しか給料がもらえない」非正規雇用の賃金格差が拡大していった。

年収200万円以下の働き手は2割代半ばまで増えてしまい、GDPの6割を占める【個人消費の冷え込みを加速】してきたのが、安倍政権の実績である。

経団連をはじめとする企業側の要求に沿って「非正規雇用の規制を緩和」して、賃金水準の全体を押し下げた事が「消費購買力不足」を招いたのだ。

消費が落ち込んで、大企業までもが倒産の瀬戸際や企業買収になってしまった。

働く人への配分を惜しみ続けて、結局は国内市場の縮小を招いた、【自分の首を占める行動】を繰り返したのが、【経団連首脳の愚かな実績】である。

 

安倍政権の認識も「3年以上経過して初めて人への投資」に目を向け出した。

「一億総活躍プラン」の中身はこれからだが、掲げるスローガンには、「同一労働同一賃金」を目指すとしている。

「時間外労働の割増賃金の引上げ」も実施すると約束したが、これらは「欧州各国の水準を目指す」としているだけで、情けない状況にある。

これからは、政治で実行できる事は全てやる覚悟を決めて、「経団連の言う事はほとんど間違っていた」と認識して政治的な決断で挑戦するべきである。

国の成りたちの基本は、国民の生活が豊かになることであり、その『始まりは人への投資』を、いの一番に優先する事である。