消費増税を延期して、当面の財源は「国債の追加増発」に依存してでも、人への投資を増やすことで「少子化の流れを転換する」ことに重点を置くべきだろう。
この緊急避難的な政策は、自民党政権の失策を取り繕うしかなく、対抗できる野党が力をつけるまでには、時間が必要になるからだ。
安倍政権に対抗できる基本政策を、出直し新党の「民進党の政権構想」ができるまでには、これしか方法がないからである。
政治がダメだ、官僚が唯我独尊で硬直的だ、と嘆いていても「現実を変えていく力は政治家、政府にしかできない」からである。
民主主義の政治で資本主義経済を維持するなら、「格差拡大」の歯止めが必要だ。
賢人による少数のエリートメンバーが、深い洞察力と公正な判断力で社会をコントロール出来る時代は、すでに過去の理想になってしまっている。
特権階級的な集団による「独裁的な国の支配体制」では、時間が経つと必ず腐敗するか硬直的になって、社会を停滞した活気のない暮らしに落ち込んでいる。
社会主義国家や独裁主義の体制が長続きしないで、腐敗や停滞した経済活動に不満を持った国では、必ず革命が起きて社会を破壊する。
非効率と批判をされていても、「民主主義体制」による、自由な発言、政治参加が基本となる体制が、背かに主流になるのは、人間的に優れているからだ。
経済活動の主流が「資本主義社会」を採用しているのは、技術革新や事業主の自己責任をベースにして。次々に新しい価値を生み出し続けるからである。
19世紀頃から、資本主義体制をベースにした国は、価値を生み出す機会に恵まれて、生活水準は各段に向上して、豊かな社会の富を築いてきた。
先進諸国では、国民の大多数が豊かさの恩恵を受けられるようになって、健康的に恵まれるように進化してきた。
ところが、資本主義社会の最大の弊害は、「富裕層がさらに豊かになる」構造となっていて、グローバル化された世界の経済では、それが顕著にあらわれる。
【世界的な格差の拡大の潮流】を止められない構造的な問題となっている。
この流れを「資本主義体制」のままで、民主主義的に選出された政治家が改革できるか、この難問に【世界の安全と繁栄が左右される】時代になっている。
フランスの経済学者「トマ・ピケティの21世紀の資本」で明確にされたように、資本主義経済でのグローバル化は、確実に【格差拡大の社会】に向かっていく。
そして、富を蓄えた「富裕層は資産を国の管理が及ばない「タックスヘイブン」に集めてさらに蓄積を増やしていく。
現在の世界の不満の対象は、「パナマ文書」で明らかにされたように、主要国のトップレベルの政治家が、身内や友人の名義を使った税金逃れに向けられている。
世界中に40以上にも増殖している【税金逃れ地】が、国際社会から黙認されてきた事実は、政治家の道義的責任のレベルがいかに低いかの証明でもある。(続)