安倍政権の「一億総活躍社会」の実現に向けて、保育士の給与待遇の改善は急務であり、まずは「月額1万2千円の給与増額」は最優先で実行すべきだろう。
それと、2020年代初頭までに「介護離職ゼロ」を目指すとしている対策には、不足する「介護人材の確保」が必要であり、給与増額がその前提になる。
2017年度には、介護士の給与の増額を「月1万円の上乗せ」を実現して、介護士不足の対策が実行される。
その財源の1千億円を確保して、給与増額の継続的な実行を図っていくとした。
保育士の給与待遇と、介護士の給与増額を実行する事は、政府の所管事項であるから、」実現できないという事は無い。
介護士不足の対策には給与水準を増額することは不可欠だが、介護事業を営む側では、「今働いている人は助かるが、1万円で新しい人が介護業界に来るほど甘くない。」と言う。
それでも、財源を確保する算段ができるならば、デフレ脱却に少しでも貢献するように「介護士の給与水準を毎年5%引上げ」を実施すると宣言すべきだ。
「デフレ脱却のメドの物価上昇率2%」を達成したならば、【消費税引上げ10%】を実行して、その税収増を優先的に「介護士不足対策」に回すのである。
それとも、「消費増税はデフレから離脱する流れを抑制」してしまう弊害があるから、『消費増税はさらに先送り』をして、介護士不足対策の賃金増額を「介護保険料のアップ」で賄うことも選択できる。
このようにして、安倍政権のアベノミクス第一段階の失敗を取り繕うには、「一億総活躍プラン」は再挑戦の良い題材になるだろう。
保育士不足の対策には、野党の民進党は早々と「保育士の給与水準を月4万円の増額」を打ち出している。
例によって、その財源の捻出には全く触れていないので、民進党の対策案には「マスメヂィアも世論も冷ややか」だが、保育士の給与水準増額の合意はできている。
与野党で方向が一致しているのだから、「次期臨時国会で増額法案成立」できる。
自民党政権ならば、実行力が不足することはないであろう。
こうして、保育士の給与待遇を改善し、介護士の慢性的な不足対策にも踏み込むことには、社会全体の合意が得られやすいので、早期に実現できるはずだ。
問題は、給与待遇の改善が「保育士や介護士」の給与アップ、そして「最低賃金の年5%以上」の増額を実現した段階で、他の人への波及をどうするかである。
この段階では、デフレ経済を進行させた「非正規雇用社員」の増加で、【平均的な社員賃金の引下げを画策】してきた「大企業経営側からの抵抗」が予想される。
保育士、介護士、最低賃金従業者が、軒並みに5%の賃上げが実現すれば、「非正規社員の給与アップ」は必須の状況になる。
それこそ5%程度の平均賃金の上昇が必要になって、相対的な人件費の上昇が生まれる。
それが狙いなのだ。(続)