庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

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電力料金の値上げは物価上昇率2%目標に近づける方策か。

2013-02-19 | 核エネルギー・原子力問題
電力会社の値上げ申請が今後も続いて、消費者は負担増を強いられる事態になる。
現時点での原発の再稼働は、原子力規制委員会の新基準が導入されて、審査が始まるまでは出来ない。
この審査が始まる時期は、早くても今年の秋以降になる。
ところが、安全基準には、「基準津波の耐える防波堤に新設」や、『第2制御室などを備えて特定安全施設の設置』などが盛り込まれる。
これらの建設期間には、3~5年はかかる見込みである。

この安全基準を満たさない原発を再稼働することは、特例を認める「猶予期間制度」が設けられる必要がある。
つまり、基準を満たす設備にするまでの間は、暫定的に再稼働を認める仕組みになる。
この暫定的な再稼働問題は、昨年の大飯原発の見切り発車時の時に、地元自治体や100km圏内の関連自治体が、大きな懸念を持って反対していた。
しかし、夏場の電力需要のひっ迫時が迫ったために、安全基準に対応できていないままの状態で、2基の再稼働を民主党政権が認めてしまった。

さて、今度の安全基準の暫定的な再稼働容認は、誰の責任で決断するのか。
節電対策はさらに進んで原発の再稼働ゼロでも、供給力不足はクリアーできる状況になっているから、無理に再稼働させる必要はない。
電力会社は、原発再稼働が出来ない状態では、化石燃料費の増加で赤字になるので、電気料金の値上げは必須である、と訴えている。
再稼働出来ない分だけの値上げを認めるか、それとも、暫定的に安全設備の猶予期間でも再稼働を容認するのか、政府が判断責任を持たされるのである。

安倍内閣は、経済再生の最重要目標にデフレ脱却を掲げて、大幅な金融緩和を日銀にゴリ押しをして、インフレ目標2%を掲げさせた。
この結果、円安に転じて「輸入化石燃料の価格が上がる」効果が生み出されて、物価上昇率は急速に上がる傾向になっている。
つまり、経済再生の第一弾は、「物価上昇率2%」にいかに早く近づけるかで、原発の再稼働はゼロにして、電気料金はあげる方が経済効果がもたらされる。

安倍内閣の基本方針は、電力料金の値上げは容認、むしろ歓迎の姿勢なのだ。

もし、原発の再稼働を暫定的に容認したら、アベノミクスの否定につながる。