庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

送電線網の拡充により風力発電産業の雇用拡大効果を。

2013-02-17 | 快適エネルギー社会問題
原子力発電は『発・送電分離制度』が始まって、発電事業が自由化された状態では、【真の発電コストは石油火力並み】のレベルになる。
これでは、電力市場での競争力はないから、電気事業連合会の会長が、「原発を維持することはできない」と言い出すのは当然である。
それでも、既存の原発を稼働させて「化石燃料の輸入をへらしたい」ならば、政府の責任で原発を維持・稼働をさせることになる。
発電コストは割高でも、燃料費を海外に支払うよりも、日本の国益には沿う。

つまり、原発の維持と再稼働は、電力会社に任せるのではなく、確固たるエネルギー戦略にもとずく【国益上の判断】によって、決めるべき問題なのである。
その必要な費用は、もちろん国民負担になるが、政府はキチンと必要性を説明して、国民の納得を得たうえで原発の運転を継続するのだ。

それでは、【発電コストが割高の原発の運転】を続ける理由はなんなのか。
同じ費用がかかるならば、「再生可能エネルギー発電」の優遇に回す方がよいのではないか。

風力発電を大幅に増やして、基幹電力にして行く戦略ならば、国策としてのインフラ投資を拡大すべきである。
特に送電線網の拡充が不可欠であり、将来の洋上風力発電の設置で重要なのは、海底ケーブル送電線の充実が必要になる。

経済産業省は、2013年度予算案にて、「北海道地区」の風力発電拡充の為に、初めて送電線網整備費用として250億円を計上した。
北海道電力に任せているだけでは、せっかくの風力適地なのに【送電線がぜい弱】を理由に、風力発電の増設が出来なくなっているからである。

政府が風力発電の増設を促進するために、税金を投入するメリットは、電力の供給力の為だけではない。
風力発電産業はすそ野の広い事業で、1万KWあたり雇用が160人創出されるという実績にもとずく試算が出されている。
原発50基を順次廃炉にして、風力発電に置き換えるには、2億KWの設備を増設することになる。
10年間で実施するとして毎年2000万KWの増設によって、32万人の雇用創出が期待される。

原発を維持するだけに税金を使うよりも、『賢い国税の使い方』である。