庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

長期展望と国策に沿った新技術育成こそがデフレ脱却に。

2013-02-07 | 快適エネルギー社会問題
安倍政権のエネルギー政策は、全く先行きの展望がない「低空飛行」のままで、「乗客(国民、企業)」はオチオチと旅行(消費、投資)をできる状態にはない。
『デフレ脱却政策』の要は、長年に渡る需要不足であり、国民は消費する意思が委縮し、企業は不透明な先行きに疑心暗鬼で、内部留保に努めてしまう。
日銀に強制して超金融緩和をするよりも、「最小限のインフラ整備」として、「電力政策の長期目標」を的確に打ち出すべきである。

それには、原子力発電は限りなくゼロになることは確実であるから、代替の主力電源は火力発電にするしかない。
その中で、技術的にも発電コストが有利なのは、「天然ガス複合発電」(ガスタービンで発電し、残りの熱で蒸気タービンで発電)を採用する、最新式の火力発電所を早急に増強することである。
ただし、あまりに天然ガスに偏った依存も、すべてを海外輸入に頼る日本にとっては、価格変動のリスクを抱え込む懸念がおおきい。

そこで、石炭火力発電の長期的な展望をしてみると、経済性にすぐれ、備蓄性も優位で、200年以上の埋蔵量があるので、価格変動の恐れも少ない。
欠点は、[CO2排出量]が「天然ガス複合発電」に対して、現在の技術での石炭火力発電は【2倍のCO2排出量】レベルで、劣ることにある。
これを、現在研究開発中の『石炭ガス化複合発電』の設備にすれば、約3割は削減できる。
温暖化対策を重視する立場からは、この2割の排出が多い分も容認できない。
だが、長期的な展望に立てば、燃料の多様化は国益に沿った選択である。

そこで必要になるのは政治の役割で、法的な制度を工夫して、「石炭火力発電」でも『天然ガス複合発電』の[CO2排出量]以内に収めることを条件にして、[次世代型石炭火力発電]の技術開発促進を誘導することにある。
40年以上前に、自動車の有害排気ガスが問題になった時に、自動車の排気ガス規制『日本版マスキー法』を制定して、自動車生産企業に義務付けをした。
それを、クリアーするために自動車各社は、総力を挙げて「排気ガスのクリーン化技術」に取り組んだので、世界一の自動車技術が育ったのである。

火力発電の分野で、この新技術育成のキッカケ作りを、政治力で進めるのだ。
規制を架けると同時に、実現できる事業には国策での優遇制度も併用する。

この様な賢い誘導政策を実現・実行することこそが、デフレ脱却の要なのだ。