庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

核兵器の拡散防止の困難さに対して原発ゼロは可能だ。

2013-02-13 | 核エネルギー・原子力問題
北朝鮮が核兵器の保有を武器にして、「金王朝の軍事体制」の生き残りを賭けた【外交脅迫戦争】をエスカレートさせてきた。
世界で最も危険性のある国が、もっとも危害を加える兵器を保有したら、「外交における影響」は、計り知れない悪影響がある。
核兵器の射程距離内に位置する「日本・韓国」そして、「もしかするとアメリカ」も【窮鼠、猫を噛む】の状況に陥る【想定すべき危機が発生する】と覚悟する時代に突入した。

「外交とは武器を使わない戦争である」との認識を、もう一歩思考レベルを上げて、【外交は、破滅武器を使う脅しによる戦争】だと意識転換する必要がある。
イランや北朝鮮の様な「生き残りを最大目標にする政権」が、核兵器を保有した状況では、外交戦略の駆け引きは【全く未知の世界】に入ったのだ。
従来の様に、「国際的な決議を無視した暴挙だ!」と責め立てて、制裁処置を強化するばかりでは、「脅しによる外交は止めることは不可能」になっている。
外交と軍事専門家でも、有効な手立てはなくなっている、と思われる。

この様な事態に進んでいる時に、日本は何を優先して実行するかを、総智を結集してやるべきことを意思決定して行くべきである。
その中で、優先して取り組むべき大きな課題として、核攻撃を受けた場合の被害を最小限の抑える対応が必須であろう。
攻撃に最も弱い施設は、原子力発電所であることは、言うまでもない。
日本の原発はテロ攻撃に対する備えすらも、不十分であると言われる。
北朝鮮に様な破滅型政権は、「追い詰められた状況での最後の抵抗手段」として、原発に対する核攻撃を想定していることは確実であろう。

小型の原爆による破壊力でも、想像を超える被害が予想されるが、それが原発の近辺に落とされた場合、原子炉の冷却機能は完全に破壊される。
原発そのモノが核兵器以上の放射能を大量に拡散する被害にあって、地域は壊滅的な状態になる。
【世界を敵にする破滅型政権】が今後も存在するならば、早期に原発をゼロにする方が、攻撃に対する危険性は少なくなる。

自民党政権は、原発ゼロへの転換に待ったをかけて、10年間も様子見をしてから将来を決める、と悠長な日和見主義に逃げている。
国民の思いを汲みとるならば、即刻、原発ゼロに向けての実際行動に転換せよ!

自分の産業の将来も開拓出来ない経団連経営者の無定見。

2013-02-12 | 快適エネルギー社会問題
風力発電の将来を見誤った経済界の上層部の罪は、簡単には許されない位の被害を日本にもたらした。
1990年代の初期には、欧州も日本もほとんど差がないくらいの技術レベルで、産業規模も揺籃期の段階にあった。
その後の日本の経済界では「原発一辺倒」で、「風力発電などは好きモノの道楽」程度にしか認めていなかった。
その認識の違いが20年の間に、欧州各国は世界のトップレベルの技術と普及量を達成して、さらに将来に向けた『夢のある技術挑戦』の活発化を生んでいる。

日本では、民主党政権になってやっと「再生可能エネルギー」の技術開発に予算が投じられる様になった。
しかし、民主党の政治家にも、確固たる「グリーン産業育成」の戦略もないために、一部の官僚が進める技術開発予算を認める程度しかできていない。
「洋上風力発電」の研究開発に向けての国の支援レベルは、100億円程度には増加したが、この規模では先行する欧州各国にはるかに及ばない。
最近の中国やインドにも見劣りする【及び腰の姿勢】の低レベルに留まる。

その様な消極的な風潮を作って来たのが、経済界の石頭経営陣であり、再生可能エネルギーの対する「偏見に満ちた軽視姿勢」が大きな原因である。
「再生可能エネルギー」の普及促進に対して常に否定的な姿勢をとってきたのが、鉄鋼業界のトップ経営者たちであった。
「風力発電」は、日本の国内では適地が少ないために、普及量は少数に留まるから、研究開発には協力しない姿勢に終始していた。
しかし、日本は四方を海に囲まれた『洋上風力発電の適地』が、日本中のいたるところにあり、電力供給をすべて満たせる潜在量である。

水深が50m程度までは、海底に土台工事をした上に、鉄塔を建設して発電機と風車を取り付ける。
水深が100mを超える海域では、鉄製のフロート式の洋上風力発電が開発されて、将来は世界中のどこにでも設置が可能になり、普及可能な量は予測も出来ない位に膨大に拡大するだろう。
この土台と鉄塔、フロートには大量の鉄材が必要で、原発50基分を置き換えるには2万基以上の建設が必要になり、大量の鉄鋼需要が生まれる。

この有望な将来需要を鉄鋼業界は、ずっと無視し続けてきた経営者ばかりだ。

将来の主力エネルギーの風力発電産業を潰した経済界の罪。

2013-02-11 | 快適エネルギー社会問題
1990年代の自民党政権と経団連を筆頭とする経済界は、日本のエネルギーの将来を「原子力発電」に託すことを頭に描いていた。
そうは言っても、実際の技術開発は、電力会社と原発関連企業に技術者に依存しているので、克服すべき課題がどれほどの難題かを理解する能力はない。
特に電力業界の首脳陣は、ほとんどが技術開発の困難さを知らない、管理系出身の官僚体質の人間ばかりで占めてしまった。
原発大事故で原子力発電技術は、大変危ういレベルであることを露呈したのだ。

当時から欧州諸国では、次世代電力の主力技術として「風力発電」を国策として取り組んできた。
1990年代前半では、一基の発電能力は2000KWクラスで「羽根の回転直径」が60~80mであった。
2000年代前半には4000~6000KWクラスで「羽根の回転直径」は100~125mと大型化して経済性のメリットが向上した。
この時期になっても、日本では再生可能エネルギーは割高で、風力発電は風任せで当てにならない電力だとして、歯牙にもかけない経済界であった。

今や日本は風力発電の後進国に転落して、技術開発では大きく後れをとってしまったので、今から世界に追い付くのは容易ではない。
2011年には、デンマークでは世界最大級の7000KWクラスを開発した。
EUでは「羽根の回転直径」が160mの超大型風力発電機の研究開発に取り組み中で、1基の発電能力は1万KWになる。

この様な超大型の設備は、遠浅の沿岸に洋上風力発電ファームを建設して、100基を建設すれば、原子力発電に相当する出力になる。
風力発電はあてにならないゴミの様な発電だと、バカにしてきた経済界の大きな判断ミスである。

また、羽の直径の160mは、大型ジェット旅客機のA380(エアバス)の翼長80mよりもはるかに大きい。
構成部品点数も航空機に匹敵する規模で、「大型の総合力」を結集する一大産業に成長する期待の分野になっている。
日本の経済界のお粗末な認識によって、技術進歩と風力発電産業の芽を摘んでしまった罪は大きい。

今からでも、国の総力を結集して風力発電産業の挽回を図るべきなのだ。

電力業界の革新こそが政府の経済再生戦略の要になる。

2013-02-10 | 快適エネルギー社会問題
日本の電力制度改革において、必ず産業界が電力コストを下げることを条件に、改革に抵抗をしてきた。
再生可能エネルギー電力の導入に対しても、発電コストが割高であるから、買取り義務を課せられない様に、経産省と電力族議員に働きかけて、電力会社の言い分ばかりを取り入れてきた。
その結果は、世界で最も近代化の遅れた「地域独占の電力供給制度」を、長期間に渡って許容して来た為に、電力価格を押し上げる非効率な分野を、多く抱え込んだ体質となってしまった。

「発電・送電の分離制度」に向けて、遅ればせながらも2018~2020年には転換すると打ち出したのは、電力会社に味方する財界も見切りをつけた結果だ。
それでも保守的な電力会社は、独占体制の時期に築いた優位な地位を維持しようとして、今後も既得権の維持を図ろうとして、革新には抵抗する。
政府は革新的な新技術を、率先して優遇する助成策を講じて行くべき役割だ。
老朽化した火力発電設備が、故障続出して電力不足になる前に、新規の火力発電設備への置き換えを図ることに、最重点を置く必要がある。

その時に【石炭火力発電】を採用するに当たって、[CO2排出]を抑制する規制を架ける必要がある。
すると保守的な財界の旧時代経営者は、必ず「経済合理性を優先」する立場をとって、排出規制を否定する活動を活発にする。
言い分としては、電力価格が上がることで「経済活動の足かせ」になるから、規制を厳しくするべきではない、と主張する。
しかし、この言い分によって、2000年代の初頭に[CO2排出]がほぼゼロの「再生可能エネルギー電力」を排除し続けてきた結果は、「グリーン産業の育成」にブレーキをかけ続けることで、デフレを長引かせたのである。

財界は、発電コストの高い「再生可能エネルギー電力」の増強を拒否し続けた。
電力価格が上がるから「原発の安全規制」を強化するコトに反対し続けた。
地域独占体制の維持には、「電力族・原発立地自治体」への隠れ補助をし続けた。
自由競争をする改革には反対し続け、環境規制には拒否をする体質の産業界は、昭和30年代から50年代まで、次々に「世論の要求」に背いて抵抗したが、すでに敗れ去って、改革に率先して取組んだ企業が残っている。

電力業界も改革に抵抗し続けるところは、没落の運命にあると覚悟すべきだ。

自民党はやはり官僚依存でエネルギー政策の転換を進める。

2013-02-09 | 快適エネルギー社会問題
日本の経済再生には「エネルギー戦略の転換」が、必須の条件である。
政権交代した自民党は、原子力発電を最優先してきた「電力業界癒着体質」が、未だに残っているために、「原発の廃炉」や「使用済み核燃料再処理路線との決別」が決定できずに、決められない政治の迷走によるブレーキとなっていた。ここにきて、デフレ経済からの離脱をするには、新産業の育成が不可欠であり、その重点分野は「再生可能エネルギーへの研究開発」であることを、ようやく認識した。

例によって「官僚主導のエネルギー政策」の具体化において、「発電・送電の分離制度」のレールが敷かれて、自民党政治家が乗り易い「電力改革案」が、経済産業省の中でまとまった。
ここまでくれば、これにブレーキを架ける政治家は少数派になるので、「安倍政権の迷走」も止まるであろう。
そして、やっと次世代電力の「再生可能エネルギー」の新産業を、どの様にして育成するかの重要な国策に、やっと重点を移せる段階になる。

既存の電力会社の硬直化した体質では、「新規の再生可能電力」の技術開発に取り組むのは、全く心許ない。
そこで、民間の新規投資を呼び込む政治的なメッセージを発する必要がある。

「経済産業省」では、原発重点の縛りから解放される機運で、「平成25年度予算原案」の決定に向けて、「復興」「民間投資の喚起」「地域活性化」の重点課題に結び付けた「再生可能エネルギー」の拠点を、福島県を「先駆けの地」として定めて、重点的に研究開発予算を投じることにした。
自民党政治家が、受け入れやすい重点予算案を作る官僚の腕の見せ所である。

その中でも、福島県沖に、世界最先端の『浮体式洋上風力発電』の本格的な実証事業を計画し、95億円を投じることにしている。
これは、筆者のブログでも、最優先で行うべき研究開発であると、何度も提案して来た課題であり、歓迎すべき方向である。
福島の原発はすべて廃炉にすることで、送電線施設が不要になってしまうが、福島県沖に、風力発電の大規模基地を建設すれば、残された送電線網の有効活用は可能になる。
もちろん、関連産業で福島県の復興に大きく貢献出来る事業となるのだ。

民主党政権時代に打ち出せば、総選挙の結果にも影響したのではないか・・・。

安倍政権の電力改革は既存電力会社を守る護送船団方式?

2013-02-08 | 快適エネルギー社会問題
民主党政権時代から進めてきた【発電・送電の分離制度】が、政府の方針として決定した。
ただし実施の時期は、2018年から2020年頃と5~7年先のことになる。
その前に「発電、売電事業の完全自由化」が進められることで、現在の電力会社の独占体制には、終止符を打つことになる。
既得権に胡坐をかいた【殿様商売の電力事業】の硬直化を破り、新規参入事業者の増加によって、発電・売電事業の競争市場が生まれることで、投資の活性化を生むことが期待される。

この様な明白な経済効果を期待出来るにもかかわらず、電力制度改革が世界最終ランナーに陥ったのは、既得権益を強固に守る電力会社の抵抗であった。
電力会社の独占を打ち破れなかったのは、自民党時代の政官業癒着体質であり、政権交代後も、電力労組の支持を得ている民主党電力族議員の抵抗が強かったからである。
3・11以後の電力危機と電気料金の値上げ攻勢にあって、旧来の電力既得権を維持することは、明らかに国策に反し、国民の不利益であることが明白だ。
エネルギー政策には迷走気味の安倍政権も、さすがに、この動きにブレーキを架けることは得策でないと、迷走に終わりを告げた様である。

だが、安倍政権の迷走姿勢によって、この先に大きな課題を控えているのだ。
新規参入の発電事業者は、発電コストが有利で、安定的に供給を継続出来る発電方式を選択するであろう。
言うまでもなく、現段階の技術では【石炭火力発電】を採用するのが、一番有利になるので、このままでは確実に【CO2排出量】は、増加の一途をたどる。
安倍政権は、気候変動対策の具体的な方針を決めかねて、いまだに、見直しを開始すると言っているだけに留まる。

この国際的、世界的な大問題に対応して行く、国策を決めかねている様では、せっかくの発電事業の自由化も、中途半端に留まったママにおかれる。
つまり、新規に発電事業に参入しても、先々で【CO2排出量】の規制が架けられる懸念が残る状態では、新事業の参入リスクが高い状態のままになる。
これでは、新規投資の「経済活性化効果」は、限定的な規模に留まるであろう。

安倍政権の目的は、新規参入事業者を迷わせて、既存電力企業を守ることを優先している。と見るのが正解なのかもしれない。
(それは、電力族の狙いか?)

長期展望と国策に沿った新技術育成こそがデフレ脱却に。

2013-02-07 | 快適エネルギー社会問題
安倍政権のエネルギー政策は、全く先行きの展望がない「低空飛行」のままで、「乗客(国民、企業)」はオチオチと旅行(消費、投資)をできる状態にはない。
『デフレ脱却政策』の要は、長年に渡る需要不足であり、国民は消費する意思が委縮し、企業は不透明な先行きに疑心暗鬼で、内部留保に努めてしまう。
日銀に強制して超金融緩和をするよりも、「最小限のインフラ整備」として、「電力政策の長期目標」を的確に打ち出すべきである。

それには、原子力発電は限りなくゼロになることは確実であるから、代替の主力電源は火力発電にするしかない。
その中で、技術的にも発電コストが有利なのは、「天然ガス複合発電」(ガスタービンで発電し、残りの熱で蒸気タービンで発電)を採用する、最新式の火力発電所を早急に増強することである。
ただし、あまりに天然ガスに偏った依存も、すべてを海外輸入に頼る日本にとっては、価格変動のリスクを抱え込む懸念がおおきい。

そこで、石炭火力発電の長期的な展望をしてみると、経済性にすぐれ、備蓄性も優位で、200年以上の埋蔵量があるので、価格変動の恐れも少ない。
欠点は、[CO2排出量]が「天然ガス複合発電」に対して、現在の技術での石炭火力発電は【2倍のCO2排出量】レベルで、劣ることにある。
これを、現在研究開発中の『石炭ガス化複合発電』の設備にすれば、約3割は削減できる。
温暖化対策を重視する立場からは、この2割の排出が多い分も容認できない。
だが、長期的な展望に立てば、燃料の多様化は国益に沿った選択である。

そこで必要になるのは政治の役割で、法的な制度を工夫して、「石炭火力発電」でも『天然ガス複合発電』の[CO2排出量]以内に収めることを条件にして、[次世代型石炭火力発電]の技術開発促進を誘導することにある。
40年以上前に、自動車の有害排気ガスが問題になった時に、自動車の排気ガス規制『日本版マスキー法』を制定して、自動車生産企業に義務付けをした。
それを、クリアーするために自動車各社は、総力を挙げて「排気ガスのクリーン化技術」に取り組んだので、世界一の自動車技術が育ったのである。

火力発電の分野で、この新技術育成のキッカケ作りを、政治力で進めるのだ。
規制を架けると同時に、実現できる事業には国策での優遇制度も併用する。

この様な賢い誘導政策を実現・実行することこそが、デフレ脱却の要なのだ。

問題への取組が落第気味の原発代替策と火力発電政策は。

2013-02-06 | 快適エネルギー社会問題
東京電力の再建計画は、保有する原発の再稼働が大幅に遅れれば、成り立たないことは明白である。
それにも拘わらず、東電が再建計画の一環として、火力発電所の新設による供給体制の刷新を、東電だけの判断で進めさせている。
その内容は、2019年~2021年に本格稼働させる火力発電所の「建設・運営会社」を選ぶ入札を開始して、5月までに締め切り落札事業者を7月に決める。
問題は、入札の条件に「上限で9.53円/kWh.」と規定している点にある。

東電の都合からは、電気料金を抑制されている状況では、発電コストを抑えないと、経営健全化の目的から外れてしまうので必須の条件である。
しかし、この発電コストで、実現性のある火力発電は、「石炭火力発電」しか、現状では成り立たない。
これは、国策である『温室効果ガス削減』方針に、大きく違反する。
東電を再建しないと、最終的には国民の税金投入した「資金が回収出来ない」ので、国民負担が増える。
温室効果ガスの削減も、国際的な責務であり、おろそかにしては国益を損なう。

安倍政権内では、官僚の言い分の上に乗せられて、経済産業大臣を環境大臣の言い分が、「すれ違いのママの政治力不在」の状態である。
火力発電所は、いったん建設すれば耐用年数は40~50年稼働される。
火力発電の中でもっとも[CO2排出量]の多い、石炭火力を採用した場合は、『2050年に1990年比で80%削減』という長期の政府目標をナイガシロにする決定となる。
この様な『日本の威信をかけた目標』を軽んじて、【当面の経済性、東電の再建】という、目先の目標を重んじるのか、安倍政権の本性が見える課題だ。

安倍首相は、目先はとにかく【デフレ脱却】であり、経済の活性化策を優先する「アベノミクス」に奔走している。
しかし、肝心の将来の国創りビジョンや、次世代を担う新産業育成戦略は、全くの不勉強ぶりが(野党時代の緩みが原因か)露呈しかねない状況で、ことごとく先送りである。

今のママでは、東電の再建策は迷走したまま、脱原子力政策も官僚と電力会社任せの成り行きになる。
原発の代替としての火力発電政策が、全く出来ていないツケは国民に回るのだ。

アベノミクスのスピード感は原発電力会社には通じない。

2013-02-05 | 核エネルギー・原子力問題
9電力会社が共同で設立した「日本原子力発電」の保有する原発は、もはや【廃炉にする運命】は、免れない。
ところが電力各社は、日本原電の債務超過に陥ることを恐れて、廃炉に抵抗し続けるうえに、日本原電からの発電はゼロが続くにも拘らず、日本原電に支払いをし続けて、電気料金に転嫁してしまう。
結局は、電力料金を払い続けざるを得ない国民に、ツケを回しているのである。
破綻すると判っている企業に、契約条件にあるからとおカネをつぎ込み続けるのが、正常な経営判断といえるのか。

この日本原電を作らせたのは、当時の自民党政権と原子力族官僚である。
発電をしない原発を維持し続けるのは、あきらかに経営判断ミスで、この監督責任は、時の政府にあることは明確だ。
安倍政権は、原発に対する取組を曖昧にして、問題の処理を先送りの日和見に徹している。
日本原電の原発の廃炉を決定して、電力各社が支払う維持費を削減することが、日本のエネルギー政策の進むべき方向である。

同様のレベルの問題点として、【東京電力の再建計画】の行き詰まりがある。
この再建計画は、時の民主党政権が、【東電を破綻処理させない】ために、無理を承知で作らせた、「つじつま合わせのできそこない再建計画」であった。
中身の骨子は、東電の保有する原発を2013年4月から、次々に再稼働をさせて、原発の電源構成を大幅に増やす計画であった。
ところが、「新規に安全基準を作り直す方針」が、その後に確立して「原子力規制庁」がスタートして、新基準は2013年7月以降に実施されるから、原発の安全審査は大幅に遅くなる。

更に、活断層に疑いのある原発は稼働が出来なくなり、廃炉にするしかない。
東電は、電気料金の値上げによって、破綻処理を免れているが、更に電力料金をあげないと債務超過になる運命だ。
東電が支払うべき倍賞金は、今は国から借り入れたおカネで支払っている。
最後は、国の建て替えにして税金投入にするか、電気料金に大幅値上げで東電利用者にツケをまわすしかない。

安倍政権は、民主党政権の曖昧再建策を引き継いで、国民が納得できる【東電の再建策、または破綻処理】を決めなければならない。
スピード感を持って!

電力改革と原子力転換政策から逃げ姿勢ばかりの安倍政権。

2013-02-04 | 経済問題
経済の再生は方向を決めたら既得権益にしがみついていないで、実行出来ることをスピード感をもって、転換を図っていく事に尽きる。
その点で、自民党政権は【デフレ脱却】には、超金融緩和が必要だと方針を決めて、今までの慣例を破って日銀に従来とは違う緩和処置を約束させた。
その影響で、為替は大幅な円安傾向に動き出し、アメリカの株価上昇にも引きづられて、毎週のごとく株高に結び付いている。
反面の円安による輸入製品の大幅高騰の悪影響は影にかくれて、景気回復の気風の好影響ばかりが目立つ様だ。

モノゴトには、必ず良い影響と悪い逆効果が表れるのが当たり前である。
それでも、決断をいつまでも先送りしては、もっと悪い結果が待っているのだ。
民主党政権は、何事も方針を決めかねて、規制緩和も行政改革も無駄な事業の削減も先送りばかりをしてきた。
改革の方向は的確でも、改革のスピードは全くの期待外れの能力不足であった。
政権交代した自民党は、今までの与党経験者の能力が発揮され、方向がどうであれ、決めることと手を打つことだけは、関係者の期待に沿っている。

だが、自民党政権のもっともダメな面は、電力制度改革、原子力族からの離脱に対して、将来方針決定を【10年間も先送りしようとした逃げの姿勢】にある。
典型的なのが、原子力発電専用に設置された「日本原電」の将来に向けての改革が、全く遅れてお粗末な状況を放置していることである。
日本原子力発電は電力各社が共同で設立したが、保有する原発2基は既に40年を超えている。
運転を継続しようと計画した敦賀2号機は、「活断層の可能性が高い」とされ、今後の再稼働は不可能で、廃炉にすべき運命にある。
だが、原電と電力各社は、廃炉に抵抗して「債務超過になる事態」を先送りしたい一心である。

どんなに抵抗しても、日本原電は、廃炉にする原発ばかりであることは明確だ。
それを電力会社の抵抗のままにしていては、ムダな維持費の為の電力料金をいつまでも国民に負担させ、経済再生の足を引っ張る。
誰も責任を負いたくない問題を先送りし続ける「既得権勢力」の抵抗を放置し続けた日本は、経済停滞のお仕置きを受けているのだ。

自民党安倍政権の本当の力を試される、原発廃炉問題を先送りしてはならない。

経団連と金融業の花見酒借金を国民が払うのは笑えない話。

2013-02-03 | 経済問題
日本経済の発展を引っ張って来た「経団連加盟企業」の大部分は、製造業の先行きは発展が望めず、海外生産に移転して海外ビジネスを優先する企業が大部分である。
製造業に従事している人は1000万人を割り込んで、その他の大部分の人は流通や販売、そしてサービス産業の人たちになっている。
日本の先行きは、どの様な経済社会に進展するのが良いのか、専門家の間で確たるイメージが出来ていないのが現状であろう。

本日の朝日新聞(朝刊6面)に【バブルとデフレ】と題して、原真人氏が、半世紀前の論説主幹の笠信太郎氏が1962年に「花見酒の経済」を書いて、1980年代のバブル経済と崩壊を予見する問題提起をしていた、ことを例にして、これからの経済のあり方を論じている。
「花見酒の古典落語」は、多くの人が知っているが、簡単に言うと、熊さん辰さんが、「借金をして酒を仕入れて、花見客に売って儲けようと、行楽地に向かう途中で、自分たちでおカネをやりとりしながら酒を自分で飲んでしまった。
目的地に着いた時には、酒は全部なくなり借金だけが残った。」とオチがつく。

経団連と金融業界で【借金をして自分たちのために使って借金だけが残る経済】は、おカネのやりとりで見かけの経済は膨らんだが、実質はどうなのか。
原真人氏は「花見酒経済」を、これからの経済社会へのヒントとして、熊さん辰さんが、途中の景色や会話を楽しんで酒を満喫した「サービスの価値」を見るべきだと指摘している。
これは良く考える必要のある「見方を変えた、より深い課題」を提起している。
しかし、熊さん辰さんが、経団連と金融業界では、国民は蚊帳の外である。
借金だけを国民にツケ回すのは、到底ガマンならず、ごめんこうむりたい。

儲けたお金を海外事業に持ち出してしまう「経団連」と「グローバル化した金融業界」におカネが回っても、地域経済に滴り落ちるおカネはわずかである。
その上、働く人の給料は、マスマス引き下げようとの経営方針ではたまらない。
「花見酒の経済」の主体は、庶民の代表である「熊さん《勤労者》」と「辰さん《域密着型企業》」であれば、話は違ってくるだろう。

金額は大きくなくても、地域社会に確実にお金が回るならば、働きがいや、地域環境の充実の恩恵を受けられる。
問題は最初のお酒を仕入れる借金を、どう返済するかに懸ってくる。

経団連は率先して事業の海外移転を図る経営者ばかりか。

2013-02-03 | 経済問題
日本は長い間に渡って「ものつくり立国」を目指して、製造業を優遇してきた。
その中で「プラスチックや合成繊維」などの原料となる【エチレン】は、「石油化学のコメ」と呼ばれて、重要な生産品であった。
国内の年間生産能力は760万であるが、国内での需要は500万トンに留まり、残りは海外輸出をしている。
しかし、エチレンの生産は比較的簡単で品質に差が出ない為、人件費の安い中国や中東での生産品に価格では勝てない。

住友化学は、国内にある生産設備で年間40万トンの能力を持っている千葉工場を2015年9月までに、生産停止して海外の工場での増産に移る。
海外には、サウジアラビアとシンガポールに計240万トンの設備をもっているので、海外工場での【生産増強で海外市場のビジネス】に力を入れる。
同業他社も設備の停止を2014年頃に予定している。
住友化学の会長であり「経団連会長」の米倉氏は、コトある毎に、日本の生産では国際競争力が人件費と電力料金が不利だから、と「国内生産の空洞化」の懸念を主張して、製造業、輸出企業を優遇すべきだと政府に要求してきた。

経団連の主要企業は、人件費の抑制を最重要の取組として、賃上げ交渉でゼロ回答を繰り返し、正社員を削減して派遣社員や臨時雇用に切り替えた。
日本の働く人の収入削減に最大の影響力を及ぼして、結果として【国内需要の慢性的不足】を引きおこし、【デフレ経済長期化】の主張原因をつくってきた。
更に、原発の大事故後の停止中には、「再稼働をしないと電力料金が上がる」として、企業の海外移転が増える、と主張してきた。
従来の主張どうりに、国内工場を閉鎖して、海外生産の事業にすべてを回すことで、さぞや本望であろう。

それでこの経営者は、優秀な経営成果を上げてきたと言えるのだろうか。
「石油化学のコメ」と呼ばれる製品を作ってきた業界の代表として、日本を支える将来とも「希望の持て産業を育成、発展」させてきた、と言えるのか。
石油化学のコメ産業が将来とも存続出来るには「TPPに参加」して、日本の「農業の根幹のコメ生産」を犠牲にしても良い、と言えるのか。

結局、経団連の要求を受け入れても、【途上国での生産に勝てない】様な製品を作る産業は、保護して優遇するおカネを投じても、ムダ金になっている。
海外生産に逃げ出すしかない企業を優遇するのは、国税のムダ使いの典型だ。

エネルギー政策の規律を正す原子力規制のあり方。

2013-02-01 | 核エネルギー・原子力問題
安倍政権のエネルギー政策の姿勢が、未だに不明確なのが日本の将来を不透明にしている。
原発の再稼働については、原子力規制委員会の「政治的配慮や経済性を優先することはしない」と厳正な判断を尊重するとしているが、昔のやり方がいたるところに見え隠れしている。
自民党内では、「原子力規制委員会」が安全基準を厳しくしない様にチェックして、政治的な判断を優先させるべきだ、との従来の原子力政策に戻る動きも出ている。

原子力規制委員会では、従来は経済性や政治的配慮で、【想定外として、緩められた基準】を厳正な科学的見地から、『過酷事故を防止することを最優先した新安全基準』の骨子案をまとめた。
ところが、その途中で、原子力規制庁のナンバースリ―の審議官が、原発事業者の責任者に、骨子案の書類を事前に漏えいして、便宜を図っていたことが明らかになった。
不祥事を隠すことは止めたが、処分は出向元の官庁に戻しただけで大甘である。

守旧政治家も原子力族官僚も、事あるごとに安全性最優先にブレーキをかけようとするが、この様な不穏な動きに対して、安倍内閣は何も言及しないで、ただ「3年以内の再稼働も視野に進めている」との逃げ姿勢である。
火力発電の更新さえきちんと行えば、『電力供給力は問題なし』との方向に動いている世論に対して、火力発電の増加による燃料費によって電力会社が赤字になることを、大きくアピールしようとしている。
原発を一基も持たないで経営ができている「沖縄電力よりも電気料金が高くなる」理由の説明は、いまだに一言も触れていない。

原子力発電の安全規制を適正にして、その費用はすべて原発発電コストに入れた『厳正な電気料金の水準』を国民に示さなければならない。
それをあくまでも、民間企業の「経営上の機密事項』だと、電力会社が逃げるならば、『発電・送電の経営分離』をキッチリと進め、適正な民間企業に電力会社が転換するべきだ。

その様な透明性、公平性をはぐらかしたママの、電力エネルギー政策を固執しようとするから、自民党政権はいつまでも業界癒着体質を見られて、国民の政治不信が延々と続くのだ。
もう、この機会に電力族を決別すべきなのだ。