庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

自民党の経済再生戦略ではグリーン産業は視野の外か。

2013-02-26 | 快適エネルギー社会問題
太陽光発電の普及促進策では、まだ優遇すべき段階の『揺籃期産業を保護する』ことが必要である。
「再生可能エネルギー電力の固定価格買取り制度」は、欧州諸国で普及促進の成果を上げている「実績のある法制度」で、それを見習った『日本版FIT(全量買取り制度)』の施行は画期的なことであった。
だが、ドイツの例を示した様に、狙いとは別の弊害が出ていることも、率直に認めて対策を講じる必要がある。
太陽光発電設備の分野では、中国製の設備の法外な安値攻勢が問題である。

この対策には、「伝統的な手法での関税による保護」が最も適切である。
揺籃期の段階の産業を守るために、輸入品に一定期間の間、「関税をかけて国内産業を守る」ことは、国際法上も経済政策面でも認められている措置である。
しかしながら、日本では長年の「日本のモノ作りは世界一」との盲信によって、新たに関税をかける措置などは、メンツに懸けても言いださない。
しかしながら、長い間に渡って日本が関税で守って、産業を育ててきた実例が多くある歴史を思い出すべきだ。
太陽光発電産業を育成するつもりならば、揺籃期の産業が成長するまでは、効果の確実な「輸入関税による保護」を実施すべきなのだ。

ところが、モノゴトを理論と理想主義的妄想により、自由貿易は世界経済の発展に寄与するなど、教条主義に囚われて、関税はゼロにして輸出・輸入を自由にする方が優れていると、思い込んでいる。
アメリカが国益に沿って進めようとしている「TPP」などは、その最たる愚策であるが、対米追従路線をとる必要性から、無碍に拒否することはできない。
そこで、安倍政権は【例外なき関税撤廃が原則】との看板を、書き換えてもらい『例外品目は交渉の中で議論する』との、感触を掴んで成果としている。

アメリカ側も「国内産業の保護」で、関税を残しておきたい分野が数多くある。
その中で、自動車産業は保護の対象になり、SUV(スポーツタイプ小型トラック)は、25%の関税を維持したい意向と伝えられた。
「TPP」交渉の様な多国間での関税引き下げでは、ムズカシイ段階もある。
だが、対中国との貿易問題に留まる範囲で、「太陽光発電分野」の輸入品に25%の関税をかけることは、日本の自主権、国益に沿った妥当な措置である。

だが自民党政権は、新産業の保護に関税をかけることは一切検討もしていない。