庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

問題への取組が落第気味の原発代替策と火力発電政策は。

2013-02-06 | 快適エネルギー社会問題
東京電力の再建計画は、保有する原発の再稼働が大幅に遅れれば、成り立たないことは明白である。
それにも拘わらず、東電が再建計画の一環として、火力発電所の新設による供給体制の刷新を、東電だけの判断で進めさせている。
その内容は、2019年~2021年に本格稼働させる火力発電所の「建設・運営会社」を選ぶ入札を開始して、5月までに締め切り落札事業者を7月に決める。
問題は、入札の条件に「上限で9.53円/kWh.」と規定している点にある。

東電の都合からは、電気料金を抑制されている状況では、発電コストを抑えないと、経営健全化の目的から外れてしまうので必須の条件である。
しかし、この発電コストで、実現性のある火力発電は、「石炭火力発電」しか、現状では成り立たない。
これは、国策である『温室効果ガス削減』方針に、大きく違反する。
東電を再建しないと、最終的には国民の税金投入した「資金が回収出来ない」ので、国民負担が増える。
温室効果ガスの削減も、国際的な責務であり、おろそかにしては国益を損なう。

安倍政権内では、官僚の言い分の上に乗せられて、経済産業大臣を環境大臣の言い分が、「すれ違いのママの政治力不在」の状態である。
火力発電所は、いったん建設すれば耐用年数は40~50年稼働される。
火力発電の中でもっとも[CO2排出量]の多い、石炭火力を採用した場合は、『2050年に1990年比で80%削減』という長期の政府目標をナイガシロにする決定となる。
この様な『日本の威信をかけた目標』を軽んじて、【当面の経済性、東電の再建】という、目先の目標を重んじるのか、安倍政権の本性が見える課題だ。

安倍首相は、目先はとにかく【デフレ脱却】であり、経済の活性化策を優先する「アベノミクス」に奔走している。
しかし、肝心の将来の国創りビジョンや、次世代を担う新産業育成戦略は、全くの不勉強ぶりが(野党時代の緩みが原因か)露呈しかねない状況で、ことごとく先送りである。

今のママでは、東電の再建策は迷走したまま、脱原子力政策も官僚と電力会社任せの成り行きになる。
原発の代替としての火力発電政策が、全く出来ていないツケは国民に回るのだ。