庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

経団連と金融業の花見酒借金を国民が払うのは笑えない話。

2013-02-03 | 経済問題
日本経済の発展を引っ張って来た「経団連加盟企業」の大部分は、製造業の先行きは発展が望めず、海外生産に移転して海外ビジネスを優先する企業が大部分である。
製造業に従事している人は1000万人を割り込んで、その他の大部分の人は流通や販売、そしてサービス産業の人たちになっている。
日本の先行きは、どの様な経済社会に進展するのが良いのか、専門家の間で確たるイメージが出来ていないのが現状であろう。

本日の朝日新聞(朝刊6面)に【バブルとデフレ】と題して、原真人氏が、半世紀前の論説主幹の笠信太郎氏が1962年に「花見酒の経済」を書いて、1980年代のバブル経済と崩壊を予見する問題提起をしていた、ことを例にして、これからの経済のあり方を論じている。
「花見酒の古典落語」は、多くの人が知っているが、簡単に言うと、熊さん辰さんが、「借金をして酒を仕入れて、花見客に売って儲けようと、行楽地に向かう途中で、自分たちでおカネをやりとりしながら酒を自分で飲んでしまった。
目的地に着いた時には、酒は全部なくなり借金だけが残った。」とオチがつく。

経団連と金融業界で【借金をして自分たちのために使って借金だけが残る経済】は、おカネのやりとりで見かけの経済は膨らんだが、実質はどうなのか。
原真人氏は「花見酒経済」を、これからの経済社会へのヒントとして、熊さん辰さんが、途中の景色や会話を楽しんで酒を満喫した「サービスの価値」を見るべきだと指摘している。
これは良く考える必要のある「見方を変えた、より深い課題」を提起している。
しかし、熊さん辰さんが、経団連と金融業界では、国民は蚊帳の外である。
借金だけを国民にツケ回すのは、到底ガマンならず、ごめんこうむりたい。

儲けたお金を海外事業に持ち出してしまう「経団連」と「グローバル化した金融業界」におカネが回っても、地域経済に滴り落ちるおカネはわずかである。
その上、働く人の給料は、マスマス引き下げようとの経営方針ではたまらない。
「花見酒の経済」の主体は、庶民の代表である「熊さん《勤労者》」と「辰さん《域密着型企業》」であれば、話は違ってくるだろう。

金額は大きくなくても、地域社会に確実にお金が回るならば、働きがいや、地域環境の充実の恩恵を受けられる。
問題は最初のお酒を仕入れる借金を、どう返済するかに懸ってくる。

経団連は率先して事業の海外移転を図る経営者ばかりか。

2013-02-03 | 経済問題
日本は長い間に渡って「ものつくり立国」を目指して、製造業を優遇してきた。
その中で「プラスチックや合成繊維」などの原料となる【エチレン】は、「石油化学のコメ」と呼ばれて、重要な生産品であった。
国内の年間生産能力は760万であるが、国内での需要は500万トンに留まり、残りは海外輸出をしている。
しかし、エチレンの生産は比較的簡単で品質に差が出ない為、人件費の安い中国や中東での生産品に価格では勝てない。

住友化学は、国内にある生産設備で年間40万トンの能力を持っている千葉工場を2015年9月までに、生産停止して海外の工場での増産に移る。
海外には、サウジアラビアとシンガポールに計240万トンの設備をもっているので、海外工場での【生産増強で海外市場のビジネス】に力を入れる。
同業他社も設備の停止を2014年頃に予定している。
住友化学の会長であり「経団連会長」の米倉氏は、コトある毎に、日本の生産では国際競争力が人件費と電力料金が不利だから、と「国内生産の空洞化」の懸念を主張して、製造業、輸出企業を優遇すべきだと政府に要求してきた。

経団連の主要企業は、人件費の抑制を最重要の取組として、賃上げ交渉でゼロ回答を繰り返し、正社員を削減して派遣社員や臨時雇用に切り替えた。
日本の働く人の収入削減に最大の影響力を及ぼして、結果として【国内需要の慢性的不足】を引きおこし、【デフレ経済長期化】の主張原因をつくってきた。
更に、原発の大事故後の停止中には、「再稼働をしないと電力料金が上がる」として、企業の海外移転が増える、と主張してきた。
従来の主張どうりに、国内工場を閉鎖して、海外生産の事業にすべてを回すことで、さぞや本望であろう。

それでこの経営者は、優秀な経営成果を上げてきたと言えるのだろうか。
「石油化学のコメ」と呼ばれる製品を作ってきた業界の代表として、日本を支える将来とも「希望の持て産業を育成、発展」させてきた、と言えるのか。
石油化学のコメ産業が将来とも存続出来るには「TPPに参加」して、日本の「農業の根幹のコメ生産」を犠牲にしても良い、と言えるのか。

結局、経団連の要求を受け入れても、【途上国での生産に勝てない】様な製品を作る産業は、保護して優遇するおカネを投じても、ムダ金になっている。
海外生産に逃げ出すしかない企業を優遇するのは、国税のムダ使いの典型だ。