
1990年代の初期には、欧州も日本もほとんど差がないくらいの技術レベルで、産業規模も揺籃期の段階にあった。
その後の日本の経済界では「原発一辺倒」で、「風力発電などは好きモノの道楽」程度にしか認めていなかった。
その認識の違いが20年の間に、欧州各国は世界のトップレベルの技術と普及量を達成して、さらに将来に向けた『夢のある技術挑戦』の活発化を生んでいる。

しかし、民主党の政治家にも、確固たる「グリーン産業育成」の戦略もないために、一部の官僚が進める技術開発予算を認める程度しかできていない。
「洋上風力発電」の研究開発に向けての国の支援レベルは、100億円程度には増加したが、この規模では先行する欧州各国にはるかに及ばない。
最近の中国やインドにも見劣りする【及び腰の姿勢】の低レベルに留まる。

「再生可能エネルギー」の普及促進に対して常に否定的な姿勢をとってきたのが、鉄鋼業界のトップ経営者たちであった。
「風力発電」は、日本の国内では適地が少ないために、普及量は少数に留まるから、研究開発には協力しない姿勢に終始していた。
しかし、日本は四方を海に囲まれた『洋上風力発電の適地』が、日本中のいたるところにあり、電力供給をすべて満たせる潜在量である。

水深が100mを超える海域では、鉄製のフロート式の洋上風力発電が開発されて、将来は世界中のどこにでも設置が可能になり、普及可能な量は予測も出来ない位に膨大に拡大するだろう。
この土台と鉄塔、フロートには大量の鉄材が必要で、原発50基分を置き換えるには2万基以上の建設が必要になり、大量の鉄鋼需要が生まれる。
この有望な将来需要を鉄鋼業界は、ずっと無視し続けてきた経営者ばかりだ。
