庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

官僚支配政治に対峙した民主党は無残な敗北に終わった。

2012-12-16 | 国創り政治問題
総選挙の結果は自民党の圧勝に終わった様だ。
これは、民主党政権があまりにも失政を続けたために、政策の中身を否定したよりも、政治家として出直しを迫るために、手厳しい批判票を投じたと言える結果であろう。
何よりも信頼を失ったのは、4年間は消費税を上げることなく、官僚の無駄使いを徹底的に洗い出して、財源を生み出すことによって、国民生活に本当に役立つ分野の予算を重点的に回すことを約束していた。
シロアリ退治をしてから、民主党の公約を実行するべきであったのだ。

民主党が公約して実現した政策で、経済の活性化に大きく貢献することになる「再生可能電力の固定価格買取り制度」(通称FIT)は、原発事故の起きた当日の午前中に閣議決定していた。
未曽有の国難の中で、とにかく、この制度は菅内閣に最後の置き土産として、成立したことが、唯一の救いであった。
2012年7月から実施に移されたが、再生可能エネルギー産業の活性化には大きな効果がもたらされた。
軒並み行政が停滞し縮小している産業界に、唯一の光を当てている。

では、自民党政権に期待出来るコトは何であろうか。
もはや世論が許さないから、原子力関連産業は縮小の方向であり、「原発廃炉」に向けた動きは、自民党が最も消極的で、経済への貢献はほぼゼロであろう。
自民党の強みは、地域社会に根付いて活動している地方の組織を最大限に活性化させるコトにある。
関西地区では、「日本維新の会」が大きな支持を得て躍進をしているが、これは、中央官僚による地域社会への余計な干渉を止めよ、という選挙民の選択である。

それならば、自民党はもともとの政策に『地方分権』を掲げているのだから、多数派を制した勢いで、中央官僚の権限を任期中に、「地域社会、地方政府の権限を強化」する方向に制度を変えていける。
これは、日本の将来を決める上で,大きな改革になる筈であるが、民主党と同じ様な新米政治家ばかりでは、心許ない。

「日本維新の会」や「みんなの党」とも、地方への権限移譲の政策は一致しているのだから、政策協定を結んで「脱官僚依存」の方向で邁進すべきである。

これが実行出来れば、官僚支配政治への挑戦第二幕が始まると期待される。

国民はメディアの怠慢によって本当の選択をできない。

2012-12-15 | 核エネルギー・原子力問題
原子力発電所を持った国が現実の戦場になった事態はないので、原発への攻撃がどの様な被害をもたらすかは、誰も正確には説明出来ない。
しかし、容易に想像が出来る範囲でも、原発から人が立ち退くことを余儀なくされたら、冷却不能になって「福島原発事故の炉心溶融」を起こすだろう。
原発は攻撃には一番弱い施設であって、好戦的な国が持つことは『全く愚かな選択』なのである。
対外国に対して、声高に交戦権を主張する様なリーダーは、決して「原発を保持する」ことは選択しない。

その一方で、エネルギー供給を中東の危険地帯に依存している日本の現状では、
化石燃料に多くの依存をするリスクも非常に高いのだ。
もし、中東でのイランとイスラエルの紛争が拡大すれば、日本の生命線を維持する石油と天然ガスの輸送船が通行できなくなり、確実にエネルギー危機を引き起こすのだ。
特に原発の再稼働停止により、天然ガス火力発電所はフル稼働の状態にある。
このままでは天然ガスの輸入が停止すると、一カ月以内に、天然ガス不足になり、発電所を停止しなければならない。

その時点において、原発の再稼働が可能になっていれば、不足の電力を補うためには、地元の了解を得て「原発の再稼働」は、許容されるだろう。
つまり、天然ガス発電所のピンチヒッター電力として、いつでも再稼働出来る状態に、原発をベンチに待機させておくことが、当面の安心策である。
しかし、昨日のブログに書いた様に、原発は可能な限り早期に廃炉作業を完了しておくことが、最悪の事態を避ける上で必須である。

この化石燃料の輸入途絶のリスクと、原発へのテロ攻撃リスクと、両方を慎重に検討しながら、『脱原発、卒原発の実行』を進めるのが本来の重要課題だ。

3年間は日和見で、10年後のエネルギーベストミックスを【官僚に作成してもらう】公約の自民党は、この様な安全上の最悪時の想定をしているのか。
この様なリスクも、外務省と防衛省と経済産業省の官僚に検討を依存して、様子見をしながら決めて行くのが、二世議員の集まりの習性ならば、仕方がない。
それを選択した国民の責任に、最終的には回って行くのだから、民主主義の必然であろう。

この様な重要なリスク判断の決め手を、マスメディアは国民に説明していない。

1000年に一度の大災害より100年以内のリスクには?

2012-12-14 | 核エネルギー・原子力問題
北朝鮮のミサイル発射実験は、どうやら成功した様で、人工衛星が軌道の乗ったかどうかなどは、ほとんど話題にもならない。
つまり、アメリカ本土にまで到達できる能力のミサイルを、北朝鮮の様な小国でも持つことが出来る時代に入ったことが、世界の秩序に不安定をもたらす様になてしまうのが最大の懸念であろう。

小国は追い詰められたら死に物狂いで抵抗して、自分たちの威信を守るためには何をするかは、あらゆる想定をしておかなければならない。

3.11の東日本大震災は1000年に一度の規模の大地震であった。
日本の原子力政策関係者は、1000年に一度の確率などは、無視し得るリスクだとして、津波の被害想定を完全にあまくしていた。
その反省もなく、いまだに原子力発電を維持しようと目論む陣営が、日本では多数派を形成する様な勢いである。

だが、想定すべきリスクは、自然災害だけではなく、むしろ、これからは人災、テロ攻撃、テロ国家の意図的な戦術として、原子力発電所の破壊工作が、起き得ることを検討しておくべきである。

北朝鮮の実験段階のミサイルでも、日本国内のどこにでも、小型の核兵器を打ち込むことは、可能な段階になっている。
命中率が低いミサイルでも、核兵器ならば「原子力発電所の近辺」にミサイルが到達すれば、原発は確実に炉心溶融に達する被害を被る。
30km圏内の地域はもとより、100km圏内の地域までも放射能拡散が及び、【軍事的な成果】は、計り知れないレベルの損失を生みだす。
「そんなバカなことが起きる筈はない!」と、日本の平和主義者は言うだろうが、無法モノ国家、独裁国家にとっては、自国の利益にとって害を及ぼす国には対抗する権利と堂々と主張しているのだ。

さて、日本の軍事的な力による安全保障を追求する陣営は、このテロ攻撃、テロ国家の動向を問題としないのであろうか。
都合の悪いことは想定外として、対策を講じないのが「官僚主導主義」である。
自民党は「3年間は原発の再稼働も様子を見る」としているが、その間には、テロ攻撃があっても「炉心溶融に至る破壊」は起こらないと確信している様だ。

それでは4年後以後は、テロ攻撃の心配は一切ないレベルまで、極東情勢は安心出来る様になっているのだろうか。
自民党は安全保障には自信がある様だ。

総選挙の争点はメディアの愚行で、民主主義の入り口に。

2012-12-13 | 国創り政治問題
今回の総選挙の争点として「消費税増税」「TPP交渉参加」是か非か、そして「脱原発」に賛成か、保留か、と問う3点セットの争点を、【マスメディアが浮上させて各政党に問う形】にしてスタートした。
そもそも、ここが大きな間違いで、消費税増税は、もはや不可欠の段階にあり、この後は、増税の時期の適否と財政再建の論議が重要な論争点であるのだ。
ところが「民主党。自民党。公明党」での、国会外の「昔の料亭政治の形」(さすがに料亭の密室ではなく、国会内での会議室だが)が復活して、8%、10%の二段階増税が、国会の議論なしに決まってしまった。

決定してから[総選挙で是非を問う]などと、もっともらしことを言うが、旧来の料亭談合政治を続けて、既成政党の既得権を守る基盤を造るにすぎない。
使い道は民主党を自民党で違うが、財政再建への道を議論出来る状態にはない。

「TPP交渉参加」は、国際的な通商交渉の是非を選挙民と問うことなど、初めから論争点に出来ない課題を採りあげた、【メディアの愚行】である。

そして、「脱原発」に賛成かは、8割の国民が脱原発依存社会を望んでいる。
あとは、「即時」か「10年後」か「2030年代」かの、期間の違いだけである。

もっとも重要な『国の将来のあり方』を、選挙民に提示して信認を得るべき選択肢は、【中央集権の官僚依存制度】を継続して行くか、それとも『地方政府を強化して権限を大幅に移管』した、道州制の様な連邦国家にして行くか、この選択が最重要である。

民主党は、「地域主権」を前回のマニフェストで掲げながら、全く実行しないで、「中央官僚の支配下に甘んじて」大きな政府指向の政策ばかりを優先した。
地方政府の力は、その為に抑圧されたままで、ついに大阪と関西、東京から、民主党政権に対立する政党が乱立することになってしまった。

さらに重要な論争の柱は、自由主義的な活動をさらに重視する【自由化・規制緩和の促進】を図る経済政策をとる陣営と、『自由化による格差の増加を抑制』する社会を目指す陣営の違いを、明らかにして、国民の選択を問うべきである。

今回の総選挙では、民主党内でも議論が整理されず、どの様な日本の将来を目指す政党になるのか、一向に判らないままに解散総選挙に走った。
一方の自民党は3年以上も野党でいながら、どちらの社会を目指す政党なのか、曖昧なママにして、ただ民主党を引きずり下ろすことだけを論じていた。

この様な低俗なレベルの2大政党制など、民主主義の入り口にもなっていない。

決断できない民主党に愛想を尽かして曖昧な自民党に・?

2012-12-12 | 経済問題
自民党の日和見主義は、国民への負担を最大に増やして、旧来型の産業や原子力ムラ、電力事業関係への既得権構造をできる限り長続きさせようとの意図が、基本にある。
これらの利権代表政党だから、本来の意思は、原発はできる限り維持して、新規の増設もコトあらば、復活をさせようと考えている。
しかし、福島の原発事故の後処理も補償問題も、何も片付かないうちに、新規増設の動きでもしようものならば、世論から猛反発を受けるのは確実だから、「3年間は様子をみる」と、責任を一切逃れる態度に終始していたいのだ。

この責任ノガレの方針によって、「原発維持、再処理路線維持」の経費を電力会社に負担させて、3年あけの時期には、電気料金の値上げやむなしとして、国民に負担させる魂胆だ。
もちろん、電力料金の値上げは、原発再稼働が出来なかったので、燃料費が増加してやむを得ない対応だと、ゴマカシの説明を強化する。
3年後くらいでは、電力の自由化による新規参入事業者は、10%程度にしかならないから、競争相手としての脅威はないので、電気料金の値上げは確実に実行出来る。

自民党が、原発政策を曖昧にしたツケは、原発立地の地元に被害が及ぶだろう。
3年間はどうするか決めないのだから、地元におカネが回るのは原発の維持費用だけで、もっとも地元経済が恩恵を受けない方策になる。

原発廃炉の決定をしていれば、廃炉事業が活発化して、停止したまま維持しているよりも、大きなおカネが地元にまわる。
その上に、政府としても地元に『代替の産業を優先的に育成する責任』が生じるから、政府のおカネをフンダンに投資することが可能になる。
この引き金によって、民間企業の参入も相次ぐことで、地元経済は活性化する。

原発立地の地元が、自民党を支持して【再稼働の許可待ち】を続けるならば、30km圏内の他の自治体の反対によって袋小路に入り【政治的な膠着状態】に停滞するだろう。
廃炉事業も起きず、新規の代替産業の誘致も棚上げされる。
もし【再稼働にこぎ着けた】としても、原発の発電コストの高騰によって、電力会社自体が生き残るためには、原発を放り出すことになる。

最後は、地元の経済は置いてきぼりにされて、一番つらい目を見ることになる。

政権公約を曖昧にして国民にツケを回す自民党の無責任。

2012-12-11 | 核エネルギー・原子力問題
自民党の政権公約には、原発は3年間は様子を見るとして、再稼働の是非は決めないで、日和見主義を決めこんでいる。
再稼働が出来ない場合は、停止した状態のママ維持費だけが発生して、電力会社の経費として電気料金に組み込まれて、電力消費者が払うコトになる。

なぜ【決断できない無責任な政党】が、支持率トップとなる不可思議なのか。
それは「マスメディア」が、国民に伝えるべき事実を、アイマイにしか扱っていないで、空気や風潮ばかりを浮き上がらせる報道ぶりにも、原因がある。

「高速増殖もんじゅ」は、建設に1985年に着手してから事故続きで、稼働したのは、わずか3カ月だけであったが、維持費は毎日約4000万円が必要になる。
原発は停止していても、維持して置くだけで管理費用がかかる。
全国の50基(福島第一原発4基は廃炉決定)が、廃炉にならないで停止中でも、膨大な維持費がかかる。
この費用が、3年間で累計するといくらに膨れ上がるのか、データを国民に判る様にして出すべきである。

また【使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す工場】は、青森県六ケ所村で1993年に着工したが、トラブル続きで2兆2千億円の建設費がかかったが、この建設を中断しても、年間で1100億円の経費がかかる。
再処理する方針を転換すれば、今までの建設費はムダに終わるが、維持するよりもはるかに損失は少なくて済む。
これも3年間は様子見をして、決断しないならば、「電力9社が共同出資した日本原燃」の維持経費はさらに増加して、それは電力会社の損失に計上される。
この損失費用は、確実に電力消費者、国民に負担が跳ね返る。

3年間は様子見をしてから、「廃炉決定、再処理路線を中止する」羽目になる「自民党の政権公約」に対し、他の政党は『可能な限り早期に方針決定』して、国民負担を最小にする、と総選挙で訴えている。
しかし、信条的な脱原発、心理的な不安を訴えるだけで、説得力は弱い。

それに付け込んで、自民党は原発を推進し、原子力の安全神話に加担した責任を言い逃れて、とにかく【原発問題は先送り姿勢】に終始している。
結局は自分たちの損失を最小にして、文句を言い様のない「電力消費者」に負担を最大にしてツケをまわす、「無責任姿勢」の利権擁護集団である。

この政党が日本では支持率がトップであることが、日本の政治レベルなのだ!

表面的なスローガンだけで争点化するメディアの愚行。

2012-12-10 | 核エネルギー・原子力問題
「TPP交渉参加」の是非を、総選挙の争点として浮かび上がらせて「各党の方針」を公開の場で説明させるのは、【浅はかなマスメディア】の愚行である。
大切な「通商交渉の外交カード」を、交渉相手の各国に明けっぴろげにして、交渉をする政府などは、聞いたこともない。
野田首相がしたたかな外交能力であったかは、10年以上も後でなければ、成果を評価することも出来ないのだ。
【メディアに登場する評論家や番組制作者】のレベルの低さが、日本の将来の国益を損なっている実例として、胸に刻んでおく必要がある。

「原発依存の政策転換」において、【脱原発の姿勢』を総選挙の争点としての扱い方も間違っていて、【浅はかなマスメディア】が選挙民を惑わせている。
原発の再稼働を容認するか否かを、総選挙で問うのは、大きな誤りである。
安全性は、「原子力規制委員会」での厳正中立な審査によって、再稼働のハードルを越えるのが必須であり、これは来年の7月以降になることは明確だ。
その段階では、原発発電コストが正確に見直された結果が出ている必要がある。
各党が主張している【原発廃炉に至る目標年限】によって、多少の費用変動はあるが、確実に(天然ガス)火力発電よりも高いレベルだろう。

各政党は、信用出来ると確信した専門組織に、この発電コストを算定する委託をして、その結果を「公約の根拠データ」として、公表すべきである。
自民党は、その作業に3年間かかるというなら、来年の7月には再稼働なし、の判断になるのは当然である。
「日本未来の党」「日本維新の会」「みんなの党」は、来年の参議院選挙の前までに、できる限り正確な【原発発電コスト】を、国民に提示すべきである。
今は、時間もデータも不足で、「原発は火力よりも高い筈である!」と主張しているだけで、説得力は不足の状態だ。

民主党はどうなのか、政府与党であるにもかかわらず、「廃炉処理費用」、「使用済み核燃料の最終処理換費用」「溜まってしまったプルトニウム処理方策」を、曖昧なままにして何も決められずに、ただ「2030年代に原発ゼロ」とお題目を唱えているだけの【決断できない状態】で、総選挙に突入してしまった。
『決断する民主党』をスローガンにしたのに、決断していないことばかりで、選挙民は「民主党を選択することも決断できない」羽目になる。

脱原発路線の中身は、外交カードではないから、すべて明確にするのが基本だ。

外交力は勇ましい口先ではなく、したたかな外交カードだ。

2012-12-09 | 経済問題
数週間前に「マスメディア」が報じていた「総選挙の争点」に、今後の経済活性化の為には、輸出産業に有利になる様に「TPP交渉参加」を実行するかどうか、を問うべきだとする論調があった。
この外交交渉を選挙の争点にする【浅はかなメディア】の論調に対して、野田首相は民主党議員に【TPP参加】を公約とする路線で、賛同しなければ「公認しない」との踏み絵を計画していると報じていた。
しかし、多くの民主党員は、TPP参加表明には議論百出状態で、総選挙の公約にはできないとして、アイマイな表現にとどめることに決断したのだ。

まさに、決断する民主党?を現わす事態だが、「TPP交渉参加」の表明が是か非かは、本来は「自由貿易への考え方を議論して決める」のが本筋だ。

しかし、経済外交の実情は論理だけで動くのではなく、駆け引きの世界である。
野田首相が【TPP参加】を前ノメリに見える姿勢で、党内を取りまとめる動きを加速する中で、長年の懸案であった「日中韓の自由貿易協定」が、正式協議に踏み出すことに決定した。
自国の利益を最優先する中国の姿勢が、「日本がTPPでアメリカよりになる」ことを、避ける方向に転じたことによる。

さらに、日中韓と東南アジア10カ国の経済連携協定の協議に、日本が提案して来た「インド、豪州、ニュージーランド」を加える案を、中国が受け入れる姿勢に転じて、一気にアジア圏の自由貿易への協調体制が進展している。
この事態を、日本の通商関係者は、「TPP効果」と呼び、中国の譲歩を引き出す為に有効な外交カードとなっている。
領土問題で、ツノ突き合わせている中国、韓国との外交面で、貿易協定の更なる緊密化を促進する通商交渉が本格化する。

この状況を見て、アメリカが「TPP交渉」の中身を一方的な国益主張を控えて、日本に譲歩をする姿勢に転じる様になるかもしれない。
野田首相は、この様な駆け引きの重要な『外交カードとして、「TPP交渉参加」の前ノメリ姿勢を演じた』とすれば、かなりのしたたかな外交手腕である。
軍事的な外交はご法度だが、経済外交においては、将来の日本の国益を見据えて、当面の駆け引きとなる外交カードを存分に活用すべきである。

外交上の機密事項は、選挙戦においては、駆け引きの成果を説明するわけにはいかない点で、野田首相にとっては、大変残念なことであろう。

外交交渉は日本の総力戦であることを再度認識する。

2012-12-08 | 国創り政治問題
総選挙の争点として外交政策が採りあげられたが、このこと自体が「日本の外交交渉力」を、大きく阻害している。
「マスメディア」の首脳のレベルの低さを現わして、そとの国に向かって、【強行ぶりをアピールする党首】の姿を採りあげるのは、害あって益なしであろう。
外交交渉は、日本の総力を結集した「武器を使わない戦争」であることを、再認識する必要がある。
自国内で、外交の目先問題を喧々諤々と争点化することは、対峙する外国から見れば、日本の弱点をさらけ出して、隙だらけの状態を見せつけるだけである。

外交戦略が4年間での成果を競う性格の課題ではないことは明白である。
対中国にたいしても、国交回復から延々と続いてきた政経分離政策も、破綻をきたす様になり、その立て直し策だけでも困難な課題である。
一内閣、一総選挙で、方針がころころ変わる様では、弱体化は当然である。
自民党の政権末期と、民主党政権の3年は、レベルの低下は歴然としている。
鳩山政権の普天間基地問題も迷走したままに放り出された。
菅政権では、尖閣諸島問題での対中国戦略もなく、その場しのぎに終始した。
野田政権の「TPP参加問題」では、前ノメリから曖昧模糊の決断に留まる。

総選挙の真っ最中では、官房長官が自分の選挙区に張り付きたいので、北朝鮮に早くミサイルと打ち込んでくれ、とばかりのホンネを放言している。
日本が前向きに取り組んできた【地球温暖化問題】の国際交渉が開かれている大事な会議に、政府代表の環境大臣は、「出席義務だけを果たす」ために駆け付けたが、本格的な会議が始まる前に日本に帰国してしまった。
この様な逃げの姿勢ばかりでは、途上国などからは「日本に期待できることは何もない!」と、落胆の批判を浴びるだけの信用失墜に終わってしまう。
温暖化問題に(国民の税金を使って)多額の援助資金を出してきた日本の実績も、これで何もしなかった状態に落ち込むだけである。

外交交渉力は、勇ましい発言を口走ることではなく、援助資金を配りまくることでもない。
長期的な視野に立って日本の将来における信用力を高め、その上で経済的安定を確立しながら、途上国への援助を継続的にかつ効果的に続けることである。

この様な長期戦略にかかわることを、総選挙の争点化すること自体が「マスメディア」を含めた、日本全体の外交交渉力の低下を招いているのだ。}

最重要な経済再生の政策を選択出来ない選挙民の不幸。

2012-12-07 | 経済問題
今回の総選挙で最も重要な経済の立て直し政策の論争は、ほとんど選挙民に見える様になっていない。
自民党の安倍氏が、デフレ経済から離脱するには、日銀が政府発行の国債を無制限に買って、市場におカネをジャブジャブ供給すればデフレは止まり、あとは『インフレ目標を2%程度に定めてコントロール』すれば良いと発言し、そのあとすぐに、日本円が安値に移行して株価があがった。
これをみて、自民党総裁は、それ見たことか、「すぐに出来ることもしないで、デフレを経済を放置した」民主党の金融政策を批判した。

ちょっと待ってもらいたい。
デフレ経済に効果的な対策が打てなかったのは「自民党政権の時代」の方が長かったのではないか。
こんな金融政策だけでデフレ対策ができるなら、どこも苦労する問題ではない。
国がマネーを潤沢に市場に供給しても、今はおカネが世界中を自由に動き回るので、弊害ばかりが大きくて、『インフレ目標』は簡単には達成出来ないのだ。
それでも日銀の役割をもっと明確にして、「物価の番人と雇用創出の責任」を負わせる必要性は間違いなく、金融政策の適正化は当然の必須条件である。

デフレ対策と経済の再生は、原因を適確に捉えて継続的に実行すべきである。

第一に、【日本の景気の悪さは単純労働力賃金の低下】に主原因がある。
価格競争がグローバル化によって加速され、生産性向上を上回るコストダウンをするために、人件費を下げ続けたことが、購買力・需要を下げてしまった。

第二に、【起業家精神を庇護し、支える仕組みが疲弊】してしまったので、「新しい価値を生み出す事業や商品を創出」する活動が停滞してしまった。
この大きな原因に、対策を打たなければ、日本経済は、高齢化とともに老衰し続けて、先進国から脱落することは間違いない。

それに対して、自民党は相変わらずの【土木工事公共事業だよりの景気対策】に留まる政策目標しか打ち出せない。
民主党は、再生可能エネルギー、環境分野の投資促進による対策を訴えるが、FIT(再生可能電力買取り制度)に続く【促進政策は皆無】の状態だ。
他の政党は、規制緩和やスローガンだけで、中身の改革案は全く見えない。
ただ一つの違いは、日本維新の会は、中央官僚の権限を制限して地域に権限と財源を与え、自立的に産業育成政策の立案と実行を競う様にする政策である。

この状況では、選挙民は経済対策に期待しても、選択巾がなさすぎて困惑する。

原発をどうするか10年も考えている合間に雇用は激減。

2012-12-06 | 快適エネルギー社会問題
これだけの大災害を引き起こした原発を、原子力ムラの言いなりに国策で増設を進めた責任には、言い逃れに終始している自民党を、国民は未だに復活を許そうとしている。
原発を可能な限り早くゼロにしたい、順次、代替電力を充実して原発に依存しない社会に転換して欲しい、と望む国民は9割にも達しているのに、原発維持を狙う【電力族,原子力ムラ】の利権集団の強力な支持を得ている自民党が復活すれば、どうなるかは想像がつく。

原発の再稼働も新設も容易にはできないで、今のママのこう着状態が続くであろう。
その間は天然ガスなど、代替エネルギーへの投資意欲が削がれることは確実だ。
天然ガス発電への転換施策のスピードは遅くなり、再生可能電力への投資リスクが増えて、参入企業の技術革新や事業拡大にはブレーキがかかる。
その一方で、原発が停止したままの維持だけの費用がかさみ、電力料金へのしわ寄せが増えて行く。

『40年寿命を超えた原発や、安全性レベルの低い原発を廃炉』に決定していれば、廃炉事業関連の新規投資も活発になり、原発立地地域への経済活性化効果が期待されているが、それも10年以上先のことに遠のく。
10年間も原発の方向を決めないで先送りをしたツケは、電力料金の値上げと地域の疲弊(原発立地地域は特に悪影響)が加速される。

日本中に経済活性化の効果が期待される再生可能エネルギー産業は、発展速度が遅くなるので、世界の技術進化や激烈な事業者間の競争からも遅れてしまう。
気がついたときには、世界の業界においては、脱落する危険性も増える。

電力関連の技術革新や新規投資を劇的に引き起こす効果のある『送電・発電の分離制度』への転換は、民主党政権の最後期に決定して、経済産業省では実行スケジュールの具体化に着手している。

しかし、「発送電分離」を政権公約から意図的に削除した「自民党政権の復活」が予測される中で、作業は中断した。
世界の常識であり、『電力料金の引き下げに確実に効果のある政策』でさえも、自民党は電力族の利権集団の意向を汲んでいる。

この自民党政権の復活を許した選挙民は、【雇用の激減】と【電力料金の値上げ】に協力した、犯罪的支援者としての責任を持つ覚悟が必要であろう。

卒原発の実現構想を政権公約に掲げる日本未来の存在価値。

2012-12-05 | 核エネルギー・原子力問題
原発の将来政策を決められない自民党は、政権についてから「官僚に依存した政策」を検討して決める為には、3年間は必要だと主張して、解決方針を先送りしている。
民主党は、2030年代にゼロにする方針を決定したが、重要な核廃棄物の課題や原発の廃炉費用など、国民負担の膨大な経費をどうするか「決断できない体質」で、実行政策の中身を先送りした。
原発の即時ゼロ、10年間でゼロ、できる限り早くゼロと主張する政党が多いが、その間における国民への負担をどの様に軽減するかの政策には触れていない。

その様な迷走状態の中で、ただ一つの「日本未来の党」は、[卒原発を基本として10年間で国民負担を最小に抑える]政策構想を提案している。
原発をなくして行く段階において発生する費用負担は、国民の税金負担と電力料金の負担に降りかかるのは、自明のことである。

ところが「マスメディア」の論調は、【原発ゼロを早めるほど、電気料金値上げの負担が大きい】との経産省と電力会社の言い分を、そのまま広めている。
廃炉費用、核廃棄物の処理費用など、必須の経費をどの様にして、国民負担の軽減をするかは議論にもならず、放置されたママ1年以上も無策状態であった。

唯一の具体的な政策を掲げる「日本未来の党」は、脱原発依存社会へ向けて、もっとも前向きに取り組んでいる政党として存在を評価されるべきである。
「日本未来の党の卒原発」政策の基本は、電気料金の値上げを最小に抑制するために、『政府が3年間の交付国債を発行』して、急激な化石燃料費の増加による電力料金の値上げを回避する。
その間に、『発電送電の分離』を実行して、送電事業部門の収益である「託送料(電力を発電所から消費者に送電する送電線利用量)」を国債の返済資金に充てることで、国民の負担、電力料金の値上げは最小に抑えることが出来る。

政策の中身には他党は異論もあるようだが、対案も出せずに、【欠点をあげつらう政党】は、無責任な野党体質を露呈している。
専門性の高い政策の中身を、一般の国民が評価し選択するのは無理であろう。

しかし、原発に対する取組を、前向きにしっかりと政策を提示する政党と、何が必要かも判らないから3年間は様子見だけしている「自民党」、方向だけは決めたが、実際に進める政策は決断できない「民主党」、脱原発依存への方針すら意思統一出来ない「日本維新の会」。
この『責任ある取組姿勢』の違いは歴然だ。

消費税を地方税化する政権公約を掲げる維新の存在価値。

2012-12-04 | 国創り政治問題
日本の最大の問題は、中央集権官僚政治による「硬直化した行政と規制」で、イノベーションが困難になっている疲弊社会である。
一部の既得権に守られた組織や企業を優遇するばかりで、新規に起業したり、新業種を立ち上げようと苦労する人たちを、【邪魔するばかりの法制度と行政】を、大転換しなければ、日本の産業の将来は危ういのだ。
ところが、総選挙では、最重要な政策の中身は、どの党も大差のない、【相変わらずの中央官僚の作文を実行する】、と異口同音に掲げているだけである。

日本社会に新風を巻き起こしそうであった「日本維新の会」は、中央政府の権限を徹底的に地域社会、地方政府に移譲することを、最大目標に掲げていた。
大阪都構想は、その部分的な先遣隊であり、国の硬直化した行政を【大阪市と大阪府で重複した非効率行政】を、いの一番に改革して、地域の自立的発想を引き出せる行政組織に大改革する狙いである。
既に、東京都は財政力もあって、都独自の事業も活発に出来るだけの実力は備えているが、石原東京都知事に言わせれば、「国が規制と権限で邪魔ばかりしてきた、もう今以上はうまく進まなくなった。」と国を邪魔ものと唾棄した。

だから、国政に打って出て大阪都と連携して、地方に財源を移して権限を強化する「地方行政体に主権を移す」為に、大改革に打って出ると決意した。
暴走老人を自称して、日本の閉塞感と停滞を打ち破るには、「官僚政治打破の大同団結、小異を捨てる」と宣言して、保守老人政治家達を引き連れて、「日本維新の会」の旗印を利用しようと【ドサクサ合流の暴走ぶり】を発揮した。
ところが、合流するやいなや、「小異を捨てる」考えなど、毛頭なかった様に、「憲法を破棄して戦力を行使だ!原発を放棄は暴論だ!」と声を張り上げる。
なんだこのザマは。
大同団結などはウソで、自分の我流を押し通すだけの、「暴走ボケ老人」の本質が露呈している。

このおかげで、せっかくの新進気鋭の「日本維新の会」は、選挙後のキャスチングポートを握れる可能性も薄れて、【野党体質】になり下がってしまった。
それでも存在価値があるのは、地域主権を目指して、『消費税の地方税化・道州制移行』を明確に掲げていることにある。
この点だけは、他の乱立する第3極政党より、実行に重きを置いた『行政の長の経験者』の識見を現わしている。

民主党も自民党も、中央集権の官僚依存政治から抜け出せる実行力はない。

総選挙前半戦は中央官僚依存派の作戦成功で維新は遠のく。

2012-12-03 | 国創り政治問題
総選挙の公示前に政党同士のスローガン争いは、脱原発論争と安全保障論争で、終始してきた。
この両方とも、論点は複雑になる様に見えるが、実は日本の目指す方向は少しも違わないのに、各論、方法論で議論が錯綜している様に見えるだけである。

この複雑に見える様な論争を、浮き彫りにしてきた「マスメディア」の責任が大きいが、この影で誰が得点をしたのか考えれば、狙いはすぐわかる。

脱原発への路線転換は国民的総意で、原発を「早くやめる」か「徐々に減らして止める」の意見が84%も占めているのだ。
「使い続ける」選択は16%いるが、3年間で原発の実態が明らかになれば、原発再稼働の実行は不可能、または、必要がないと判明する。

安全保障問題は、短期間で解決する様な問題ではなく、10年20年、いや50年単位で国家戦略を立てて、外交努力を積み上げていくしかないので、勇ましいスローガンを掲げることは無意味、いや有害でさえある。

この愚かな論争を最前面にすることで、もっとも重要な課題がボヤケテしまい、「国の将来像」は遠くの問題である様に、感覚がコントロールされてしまう。
その最重要な直近の問題は、【中央集権の官僚依存国家のママで行く】のか、地方政府に主権を移行させて、地域毎の自立的努力を誘発する、『地域主権国家に転換して行く』かである。

「日本維新の会」は、地方政府の裁量権を大幅に増やして、地域の力を存分に発揮させる「国創りの将来像」を描いて、政党を発足させてきた。
選挙前の勢いは、第3勢力として多数派を占めて、キャスチングポートを握る可能性が大きくあった。

ところが、原発問題、安全保障問題を持ち出して来た為に、脱原発で分裂傾向になり、安全保障では完全に分断された。
このおかげで、自民党の曖昧政党と民主党の決断しない党は、相対的にうき上がって「現実派政党」として、一定の支持率を確保することが出来る。
第3極勢力は、第4極、第5極と勢力を分断されるので、『キャスチングポート』を握る可能性はなくなってしまった。

この状態で一番喜ぶのは、「既得権を持った中央官僚勢力」のグループである。
自民党も民主党も中央官僚に依存して[大きい政府]を維持することが、当座の目標であるから、前半戦では成功している。
石原新党がその助けをしたのだ。

短期の再稼働問題を持ち出す意図は重要論点をぼかす為。

2012-12-02 | 国創り政治問題
総選挙の争点に『脱原発路線』が是か非か、と問う「マスメディアの風潮」が、国民の選択を惑わせる原因となっている。
自民党以外は、すべての政党が脱原発路線に転換し、その転換に懸ける期間とやり方を、スローガン的に競っているだけの論戦に留まっている。

短期的な課題としては、「安全基準を完全に満たした」上での、原発の再稼働を認めるか、どうかを問う質問が論点として浮かびあがる。
これは、来年の7月以降(原子力規制委員会の安全基準が決定出来る時期)に、判断すれば良いのに、今の時点で持ち出す意図は何か?

脱原発を最短期間で実現しようとする政党は、「原発発電コストは既に高い」と主張し、さらに『今以上の使用済み核燃料の増加はダメ』との立場にある。
「日本未来の党」「共産党」「みんなの党」「社民党」「新党大地」が相当する。

脱原発に路線転換するが、その実現には課題が多くあるので、「安全が確認された原発は再稼働する」として、天然ガスへの転換政策や「再生可能電力」の促進を図るために移行期間が必要だと、「現実的な政策運営」が前提だと反論する。
「民主党」「公明党」「日本維新の会」「国民新党」「新党改革」の主張になる。
つまり『現実的に考える』ことが出来る政党だと「論点を逃げている」のだ。

そこで、次の「再稼働容認の条件」には、「安全性」「中央政府の判断」だが、さらに重要な判断基準として「地域住民の賛成」が必要かどうか?で「最重要な論点」が見過ごさない様に、『メディアの役割』を果たすべきである。

仮安全基準に適合したとして、野田内閣は、大飯原発の再稼働を強行した。
その背景には、関西地域の広域自治体連合が【万が一の停電の危険性】に自信が持てない為に、原発の再稼働を「大飯原発2基だけ」を【夏場の期間だけ】に限定した容認姿勢に転換したので、これにすがりついての決断であった。

民主主義の基本には、地域住民の意思を汲みあげることが最も重要である。

福島県では、「福島県内の原発を即時廃炉に」と、県民全体での合意が出来ているが、民主党野田内閣は、この地域の意思すらも汲みとれずに、電力会社の都合ばかりを優先して、廃炉決定すらできない。
「再稼働容認」の条件に「地域住民の賛同」が必須であると、明確に政権公約に入れられないで、「決断しない体質」をマダマダ引きずっている。

この【決断出来ない原因】には、政権公約で『地域主権を実現する』との基本路線が、全くの絵空事の段階で、中央支配のことしか頭にないからである。