なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

穿孔性腹膜炎、S状結腸軸捻転

2019年06月10日 | Weblog

 8日土曜日の日直では、高齢男性が1名肺炎で入院しただけだった。先月の日直の時のように内科入院6名というひどい時もあるが、通常は2~3名の入院があるので、1名というのはとても楽だった。

 当直は大学病院からのバイトの外科医だった。当方は内科当番なので、そのまま病院で待機していた。のんびりとブラタモリを見て、その後医局で「抗菌薬の考え方、使い方」を読んでいた。午後10時すぎに当直医から連絡を受けた当番の外科医が来た。

 救急外来を受診した患者さんの画像を確認した。50歳男性が1時間前からの腹痛で受診していた。単純X線で大量の腹腔内遊離ガス像を認めて、消化管穿孔は明らかだった。大量のガス像からは上部消化管穿孔が疑われるが、どこが穿孔しているかよくわからなかった。

 当直医は単純CTしか撮影していないので、午後11時すぎに造影CTを追加していた。手術だともう一人の外科当番と麻酔科医(土日は外部の先生)を呼び出して、さらに手術場担当の看護師さんも呼び出してからなので大変だ。

 今日手術した外科医に訊くと、胃体部の潰瘍の穿孔だったそうで、悪性の可能性もあるという。

 

 日曜日の内科日直は常勤の別の内科の先生だった。これまで何度もS状結腸軸捻転で入院している50歳女性が受診していた。現在当院では夜間土日の消化器救急は受けられないので、地域の基幹病院に内視鏡的整復を依頼した。整復後その日のうちに戻ってきて当院に入院となった。

 これまで何度も同じ病態で入院しているので、今回は外科で手術を行うことになった。患者さんは精神発達遅滞がある方だった。腹部単純X線で著明に拡張したS状結腸を認める(coffee bean sign)。

 日曜日は「ブラッシュアップ急性腹症」第2版を読み終わった。実践的な良書。

 

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胆嚢炎ではあるか

2019年06月09日 | Weblog

 土曜日の朝に、金曜日の当直だった先生(外部の病院からのバイト)から連絡が来た。

 34歳男性が右側腹部痛で救急搬入された。尿管結石の既往があり、再発かと思って検査をしたが、尿管結石はなかったという。肝機能障害を認めるが、明らかな胆石はないので、診断に迷ったうようだ。土曜日の日直で病院に行くので、鎮痛薬を使用して外来で点滴を継続してもらうことにした。

 午前0時ごろから右季肋部痛が発症した。(右側腹部痛と表現したのは、尿管結石かと思ったからで、実際の部位は右季肋部)突発ではないが、短時間で痛みが強くなって我慢できなくなっての救急要請だった。右季肋部に圧痛があり、Murphy徴候陽性となる。

 白血球11200・CRP0.1と炎症反応は発症直後相当の値だった。AST329・ALT207・ALP234・γ-GTP329・総ビリルビン1.8・血清アミラーゼ80だった。確かに造影CTの所見では、胆嚢は壁肥厚がなく、胆嚢結石もない。総胆管拡張はなかった。

 胆嚢結石はCTで描出しにくいので、腹部エコーで確認したが、胆嚢壁肥厚はなく、胆嚢内に結石・debrisはなかった(胆嚢コレステロールポリープあり)。明らかに脂肪肝なので、ふだんから肝機能障害はあるのだろうが、ここまで上昇はしないだろう。アルコールは機会飲酒で、2週間に1回あるかないかだという(焼酎350mlを1~2缶)。昨夜は飲酒していない。

 当直医がロキソプロフェンを1回内服させていて、疼痛は軽減していたが、消失はしていない。胆嚢炎として絶食・点滴・抗菌薬で入院治療にしようと思ったが、患者さんは入院したくないという。付いてきていた両親は入院してほしかったが、本人の意見でいくことになった。外来で抗菌薬点滴静注(ABPC/SBT)と点滴をもう1本追加した。

 午後になってから症状の増悪がないので、抗菌薬(オグサワ)と鎮痛薬(ロコソプロフェン)内服として、月曜日に内科外来受診とした。ただし、帰宅後に夜間や日曜日に症状が悪化すれば、その時点で入院治療とした。

 胆嚢炎の所見が悪化すれば無石胆嚢炎?。この脂肪肝(NAFLD)がNASHだとしても、NASHの急性増悪なんてある?。

 

(後日記) 胆嚢炎ではまったくない

 土曜日の夕方に帰宅したが、日曜日は受診せず、予定通り月曜日に外来を受診した。右季肋部重苦感は残っていた。発熱はなかった。白血球5300・CRP1.4と炎症としては軽快し始めた時のような(?)値だった。

 肝機能が悪化していて、AST242・ALT929・ALP421・γ-GTP488・総ビリルビン3.6と黄疸もあった(血清アミラーゼ54と正常域)。腹部エコー再検では、胆嚢壁肥厚・胆嚢結石・debrisはなく、小胆嚢ポリープのみだった。胆道系の拡張はない。

 以前に初診の時に胆嚢の所見に乏しく、その後急激に胆嚢炎の所見を呈した症例があったが、これは全く違う。MRCPはしていないが、総胆管結石は否定的だ。すると肝炎なのか。

 結局原因がわからないので、翌日に肝臓専門医もいらっしゃる地域の基幹病院消化器内科の予約をとって紹介とした。

 

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MAC症

2019年06月08日 | Weblog

 水曜日に感染管理ナース(ICN)から、外科に入院している患者さん(80歳男性)が抗酸菌塗抹陽性です、と連絡がきた。最初事情が分からなかったが、経過を確認すると、そう慌てることもないと判断された。

 胃癌術後で外科外来でフォローされていた。脱水症や食欲不振で何度か入院している、癌の再発はないようだ。昨年から胸部X線で右下葉に陰影があった。今年の5月に呼吸器内科の外来(専門病院からのバイト)を受診して、その先生の病院に精査目的で入院した。

 気管支鏡検査で検体を採取した結果、mycobacterium aviumと診断された。結核菌は陰性だった。治療は、経過観察の方針となっていた。気管支鏡検査なので、信頼できる結果になる。

 今回は(いつもの?)食欲不振で入院していたが、発熱があって、胸部X線・CTで新たな陰影も出ていた。右上葉背側(S2)の陰影が、4日くらいの経過で新たに出現していた。経過(速度)からは通常の肺炎(誤嚥性疑い)でいいようだ。

 そういう経過なので、抗酸菌塗抹で陽性は当然だった。ただ結核菌とMACのPCRを確認する必要がある。金曜日に結果が出て、MAC陽性・結核菌陰性と出た。通常の抗菌薬投与で症状は軽快しているので、そのまま治療継続で経過をみてもらう。とりあえず個室管理にして、PCRで結核菌陽性と出たら慌てる(?)ことにしていたが、助かった。

 

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高安動脈炎でした

2019年06月07日 | Weblog

 炎症反応高値が続いて、原因不明だった71歳女性を、リウマチ膠原病科のある総合病院に紹介していた。

 簡潔な返事が来ていて、造影CTで大動脈弓とその分枝に壁肥厚を認め、高安動脈炎と診断されていた。PET-CTを別の病院で行って動脈炎の分布を確認するそうだ。まったく考え及ばなかったので、またまた紹介してよかったということになる。

 

 昨年末の12月27日に、1週間前からの両肩の痛みを訴えて、内科外来を受診した。普段はクリニックに高血圧症で通院している。蹲踞からの立ち上がりがひどく、要するに四肢の痛みで動きにくいという訴えだった。発症様式からはリウマチ性多発筋痛症(PMR)を考えた。年末年始の休みに入る前日で受診が多く、一発診断的に診断してしまっていた。

 白血球7300・CRP1.7とさほど上昇していなかったが、血沈73/97と亢進していた。前2者が低いと思ったが、外来でPMRとしてプレドニン10mg/日を開始した。年明けの1月4日に受診した時には症状が軽快消失していた。白血球9100・CRP0.7だった。その時点ではちょっと腑に落ちない点はあるが、PMRでいいだろうと思っていた。抗CCP抗体・抗核抗体は陰性だった。

 プレドニン10mg/日を4週間継続して、1月23日に外来に来てもらった。症状はまったくないという。その点はよかったが、白血球6800・CRP6.8だった。CRPの値が間違っているのかと思った。再度確認したが、症状はなかった。

 その後もプレドニン10mg/日を継続して、症状は全くないというが、白血球9000前後・CRP7~11で推移した。血沈は100/1時間が続いた。巨細胞性動脈炎が併発していて、PMRの症状だけ改善したのではないかと考えたが、頭痛も下顎跛行もなかった。

 患者さんから、もう通院しなくてもいいかと言われたが、クリニックの先生にフォローを頼むのも無理だろうと思った(クリニックの先生は外科医)。プレドニンは漸減中止していた。血液培養2セット・心エコー・血清免疫電気泳動などを追加していたが、異常はなかった。

 5月に紹介した時点でも、発熱はなく特に困る症状もなく、専門科のある病院に行かなければならないのか、と言われた。絶対何かあるので、紹介先を受診してくれるよう頼んだ。

 今考えると、ANCAの検査もしていないし、悪性リンパ腫や膿瘍を疑った造影CTもしていない。しっかり検査するか、もっと早期に紹介すべきだった。症状がないということで、血液検査のみで経過をみてしまった。

 三森先生の本によると、高安動脈炎は高齢者でもまれではないという。動脈炎・動脈狭窄による虚血症状は出ていなかった(たぶん)。それにしても受診当初の四肢痛は何だったのだろう。

 紹介状の返事に、「大変興味のある症例をご紹介いただき、ありがとうございました」、とあった。いえいえ、ご高診恐れ入りました。いつも助けていただいて感謝です。

 

 

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副腎腫瘍

2019年06月06日 | Weblog

 一昨日転院してきた91歳男性は昨夜から発熱があり、呼吸状態が悪化して意識も低下した。喀痰吸引すると黄土色の汚い喀痰が大量に吸引された。胸部X線・CTで見ても、もともとの両側肺炎の陰影がかなり残っているので、ここが禁忌病変とは読影しがたい。

 末梢静脈からの点滴も前医での点滴痕が数か所あって、血管はつぶれている。頸部・胸部からの穿刺は難しいので、とりあえず大腿静脈からCVカテーテルを挿入して点滴と抗菌薬を開始した。転院3日目の今日、血液培養2セット・喀痰培養・尿培養と提出ことになった。

 

 内科の別の先生が外来で経過をみている84歳女性が、食欲不振で予約外の受診した。紹介患者さんを診ていた内科の若い先生(地域医療研修の内科専攻医)が診察した。

 大学病院で右副腎腫瘍と診断されていて、良性とされているという。ここまで巨大化すると悪性と同じではないか。それに内分泌腫瘍の良性・悪性は病理診断として難しいはずだ。下行静脈を圧排して、両下肢(特に右下肢)の浮腫が目立つのだった。

 入院の希望はなかったようで、今日は外来で点滴をして、明日の担当医の外来(受診予定日)にまた来てもらうことにした。入院でも診ているので、悪化した時の対応などは家族と相談しているはずだ(たぶん)。

 今日は会議が3つで病棟をちゃんと診れていない。明日は週末を乗り切る指示を出しておきたい。

 

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同級生

2019年06月05日 | Weblog

 昨日地域の基幹病院呼吸器内科から91歳男性が転院してきた。認知症で精神科病院に入院していたが、重症の両側肺炎となり、そちらに転送されたという経緯だった。

 NPPVを装着して、その後に気管挿管・人工呼吸管理になった。2週間が経過して、それ以上継続するなら気管切開となるころに、抜管してNPPVに戻していた。危ない状態だったが、何とか軽快した。

 肺炎になる以前から飲み込みは悪く、喀痰吸引頻回を要するので、経口摂取はできないと判断された。経鼻胃管を挿入して、経管栄養が開始されて間がないので、注入量は1日水分量700mlと少ない。そこから胃瘻造設にすると入院日数が長くなるので、その時点での転院だった。

 まず経緯胃管を使用した経管栄養を(水分は増やして)継続することにした。診療情報提供書には、今後肺炎が発症して悪化した際には、気管挿管は行わないことになっていると記載されていた(悪化しても転院で戻さないでと)。家族(妻)に確認すると、それでいいそうだ。

 栄養を入れて頑張るという方針だが、今後療養型病床や施設にお願いするとしても、胃瘻造設が必要になる。今時施設は経鼻胃管の経管栄養をとってくれない。家族に数日経過をみて、病状が安定していれば胃瘻造設を行いたいので、考えておいて下さいと伝えた。

 

 ここまではよくある経過だが、この患者さんは医学部の同級生の父親だった。ずっと大学に勤務していたが、現在は埼玉県の病院に勤務している。転院の時には母親(患者さんの妻)や兄弟姉妹(たしか妹がいたような)に任せるのだろうと思っていたが、ちゃんと来ていた。

 大学卒業後に会ったことがあるかどうか覚えていないが、多分ない。ということは、数十年ぶりに会ったことになる。顔も体型もさほど変わらなかった(医者というより医学者の雰囲気)。

 母親も同級生であることは知っているので、当方が主治医になることを喜んでいた。ただ、経過がよければいいが、あっという間に誤嚥性肺炎が再発して、危なくなる可能性もある。

 

 

 

 

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この腫瘍は何?

2019年06月04日 | Weblog

 5月下旬に頻尿で93歳女性が泌尿器科外来を受診した。検査で貧血・低蛋白血症を認めて、消化管精査のため消化器科の外来に紹介された。上部消化管内視鏡検査は異常がなく(萎縮のみ)、CTでざっと見たところ大腸癌もなさそうだった。

 消化管は異常がないが、思いがけない病変が描出された。左肺尖部、左胸腔内の下行大動脈背側、脾門部に腫瘤を認めた。それぞれが同じ病変と思われるが、いったい何だろうか。

 腫瘍マーカーをみても参考にならなかった(可溶性IL2受容体抗体は1200と軽度上昇)。放射線科の読影レポートには造影CTを勧めるとあったが、造影しても確定はできないだろう。家族には、何らかの悪性腫瘍と推定されるので、早晩全身状態が悪化してくるだろう、と伝えたそうだ。

 そのうち発熱(37℃台)と食欲不振があり、昨日内科外来を受診して入院した。感染症らしさに乏しかった。腫瘍熱?も否定できないが、よくわからない。点滴して経過をみるしかない。

 腫瘍は腫瘍だと思うが、これは何?。一番は悪性リンパ腫?。70歳代くらいなら、検査治療目的でがんセンター紹介だが、さずがにこの年齢だと紹介はない。

 

 

 さっき、がんセンターから連絡がきた。悪性リンパ腫で化学療法をしていた70歳代男性が、衰弱して治療適応がなくなって点滴だけしているそうだ。住所が当地の患者さんなので転院を依頼したいという。がんセンターからも時々転院依頼が来るようになった。

 (その後)

 頭部CTで2か所に脳転移を認めた。左肺の腫瘤のどちらかが肺癌原発巣で脾門部の腫瘤は肺癌の左副腎転移と判断された。診断は左肺癌・脳転移・副腎転移。

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閉塞性腎盂腎炎

2019年06月03日 | Weblog

 土曜日の日直だった内科の別の先生が、左尿管結石・急性腎盂腎炎の79歳女性を入院させていた。糖尿病・高血圧症で当方の外来に通院している患者さんだった。糖尿病はインスリン強化療法で、HbA1c7.5%前後だった。

 土曜日の午前0時に左側腹部痛・背部痛が出現して、嘔気・冷汗を伴った。びっしょりと汗をかいて、下着を全部替えるくらいだった。日直の時間になって、当院の救急外来を受診していた。血圧低下はなかった。

 白血球17000・CRP1.6と炎症の初期像を示唆する炎症反応上昇と、尿混濁を認めた。CTで肺炎はなく、左尿管結石・の尿管拡張が描出された。

 入院後に38℃台の高熱が出たので、受診時に発熱がなかったのは多量の発汗の影響だったのだろう。左側腹部痛~背部痛が断続的に続いていて、病室に診察に行った時も続いていた。ショックではないが、尿管結石による閉塞性腎盂腎炎として、早急に泌尿器科にお願いする必要がある。

 血液検査と尿検査を再検してからとも思ったが、泌尿器科に相談したほうがいいと判断した。地域の基幹病院の泌尿器科医に電話すると、幸い引き受けてもらえたので、すぐに救急搬送した。(もともと両側の股関節人工関節置換術を大学病院で受けていて、ADLは良くない)

 

 土曜日に提出していた尿培養から大腸菌が検出されていた。グラム染色でグラム陰性桿菌(検出された大腸菌だろう)の貪食像がある。血液培養は提出されていなかったが、出していれば検出されたと思う。

 

 

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後腹膜脂肪織炎

2019年06月02日 | Weblog

 金曜日に夕方に消化器科医が、こんな患者さんが来た、といって画像を見せてくれた。48歳男性が腹痛(上腹部痛)で受診した。上部消化管内視鏡検査は異常がなかったが、腹部CT画像で後腹膜の脂肪織に炎症像があった。微熱があって、白血球12900・CRP0.1と病初期の炎症パターンを呈していた。

 膵臓背側から大動脈周囲の脂肪織がCTで白っぽくほんやりしている。これまで腸間膜脂肪織炎は数例あったが、後腹膜は初めてかもしれない。腹痛はアセリオ1000mg点滴静注で治まったそうだ。入院で経過をみることになった。点滴と抗菌薬だが、ステロイド投与の適応がどうなんだろうか。

 この先生は後腹膜線維症(IgG4関連疾患)の症例も診ている。この患者さんでも念のため検査してみると言っていた。

 

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潅流画像(perfusion-weighed image:PWI)

2019年06月01日 | Weblog

 昨日の午前中に医局のラウンジで神経内科医と話をしていたが、「若い先生がいるといいねえ」と言う。月曜日に脳梗塞の患者さんが紹介されてきて、内科専攻医(地域医療研修で来ている)が診察した。「diffusion perfusion ミスマッチ(DMI/PWI ミスマッチ)を認めて、血管内外科のある専門病院に転送したそうだ。

 MRIの還流画像(perfusion-weighed image:PWI)は初めて聞く用語だった。頭部画像診断を少し勉強しようと思って購入していた「画像診断から絞り込む!頭部画像診断 やさしくスッキリ教えます」山田恵編集(このタイトルはいかにも羊土社)を読んでみた。

 脳梗塞病変部には、中心部の虚血性変化を呈する梗塞部の核(コア)と、辺縁部の血流の再開通により梗塞を免れる可逆性の虚血性変化を呈する虚血ペナンブラがある。前者は拡散強調画像(DWI)で描出され、両者は潅流画像(PWI)で描出され、虚血ペナンブラは両者の虚血域の差(DWI/PWI ミスマッチ)として評価される。

 DWI/PWI ミスマッチがある症例は再開通療法の予後がいい。今回の症例はt-PAの適応はないが、血管内治療の適応があるかどうかだった。

 潅流画像PWIには、造影剤を使用しないarterial spin labeling(ASL)法とdynamic susceptibility contrast(DSC)があるが、当院で行ったのは前者だそうだ。

 MRIについて放射線技師学会で何度か発表している技師さんに聞くと、今のMRI装置になってから潅流画像PWIは緊急で撮影できるようになっていて、オーダーがあれば5分追加になるだけで撮影できます、ということだった。

 MRAでICAやMCAの閉塞があれば、拡散強調画像の描出域がわずかでも、その後に梗塞域が拡大してくるので、専門病院に搬送する。ただ患者さんが動いてしまうとMRAがきれいに撮影できないので、潅流画像が使えますという。

 MRIの潅流画像PWIを初めて知ったという話。当院は検査技師さんが優秀だが、医局が(当方が)追い付いていないということがある。

画像所見から絞り込む! 頭部画像診断やさしくスッキリ教えます

 

 

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