なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

腸閉塞・大腸癌疑い

2019年06月20日 | Weblog

 昨日は別の内科の先生が当直だった。入院は3名で、前立腺肥大・急性腎盂腎炎の78歳男性、認知症・誤嚥性肺炎の77歳男性、感染性腸炎の45歳男性(前日から出しっぱなしのチャーハンを食べた)だった。

 早朝に腹痛で受診した75歳女性は、腸閉塞・大腸癌疑いとして外科に依頼していた。肝臓弯曲部に造影される不整な壁肥厚がある。経鼻胃管を入れようとした時に、それが刺激になったか、大量の排便があり(狭窄部疑いの肛門側にも便が大量にあった)、腹痛が軽減したそうだ。直接外科入院になって、大腸検査は消化器科依頼になる。

 

 病棟で会ったので、「お疲れ様でした」と声をかけた。午前中に病棟を診て、当直明けの半日休暇はちゃんととれて帰宅した。当院の当直明けの半日休暇は取得率6割台になっている。

 

 今日の午前中は救急当番だった。ひとり暮らしの87歳女性が自宅で倒れて動けなくなっているのを、訪問した親族が発見して救急要請していた。搬入時、会話は可能だったが、血圧75/55・心拍数120台/分・体温37.2℃・呼吸数32/分・酸素飽和度92~96%とショック状態だった。

 画像検査で肺炎はなかった。両側腎臓が水腎症を呈していて、右腎盂内に結石があった。尿管の拡張・尿管結石はなさそうだが、よくわからない。点滴(乳酸リンゲル)500mlを急速に2本点滴したが、血圧は変わらなかった。急性腎盂腎炎(尿路結石も)・敗血症性ショックと判断される。血小板減少・Dダイマーの著明な上昇があり、DIC相当だった。頻脈性心房細動・脱水症による急性腎前性腎不全もある。

 地域の基幹病院救急部に連絡して搬送させてもらった。先方の先生からの指示もあり、ノルアドレナリン点滴静注も開始していた。これは大変助かりました。ご高配ありがとうございます(急性期を脱したら、引き取らせていただきます)。

 

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間質性肺炎その後

2019年06月19日 | Weblog

 約1か月前に内科クリニックから両側肺炎で紹介された84歳女性は、間質性肺炎が疑われた。当院外来からそのまま地域の基幹病院呼吸器内科へ紹介していた。

 しばらく忘れていたが、先方の呼吸器科の先生から連絡が来て、ステロイドパルス療法の後にプレドニン内服にして病状は軽快しているという。外来通院でもいいが、高齢者の一人暮らしなのでしばらく当院でリハビリ入院をお願いしたいということだった。

 昨日転院してきたが、元気そうで介護する家族がいれば自宅退院でもよさそうだった。労作時の息切れはあり、それは原疾患がそういうものだからある程度は仕方がない。約1か月程度入院でリハビリをしつつ経過をみることにした。

 診療情報提供書にはステロイドパルス療法の後にプレドニンを30mg/日にしていると記載されていたが、具体的な処方の記載はなかった。看護師さんの方にも記載がないので、家族が病院薬剤師から説明を受けた時の書類をコピーした。プレドニンは25mg/日と5mg減量していて、PPIや元々の高血圧症・糖尿病の処方もあった。来週先方の病院に感染管理の相互評価で伺うが、「処方の記載がなかったです」と言っても、「あ、ごめ~ん」で終わるのであえて言わない(とってもいい先生です)。

 2~4週おきにプレドニン5mgずつ減量と記載されているが、25mg/日に漸減したばかりの様で、しばらくその量で継続とした。順調にいけば20mg/日にして退院の見込みだ。リウマチ膠原病の検査がされていて、マーカーはいずれも陰性だった。特発性ということになる。

 入院時の胸部X線・CT

 軽快後の胸部X線・CT

 両側の広汎なスリガラス様陰影は軽減しているが、胸膜直下には残っている。不整な牽引性気管支拡張が目立つ。

 ステロイド治療前のHbA1cは6.9%だったが、すでに1か月で7.5%まで上昇している。DPP4阻害薬のみでは血糖コントロールできないので経口血糖降下薬の追加やインスリン(BOTなど)が必要になるかもしれない。第2肋間胸骨右縁に大動脈弁狭窄の心雑音が聴取されるので、心エコーも予定した。まあこういう微調整は当院にお任せくださいだ。

 当院退院後は先方の病院の呼吸器内科外来に通院するよう言われていた。息子さんは東京から来ていて、通院の時は当地まで来て連れて行くつもりだった。息子さんは土日が休みで、土曜日の受診を想定していた。「外来は月から金の平日ですよ」と伝えた。当地にいる親戚(甥夫婦)に依頼できるかもしれないそうで、来月退院する時まで考えてもらうことにした。

 

 

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抗うつ薬が効いた話

2019年06月18日 | Weblog

 今日外来(内科再来)を受診した75歳男性は、4月初めから右肩(僧帽筋部)が断続的に痛んだ。

 痛みは毎日があり、痛み出すと20~30分続いた。脂汗をかくようなかなりの痛みだという。起きている時に痛むが、横臥すると軽減する、上を向くようにすると軽減する、らしい。肩や首の動きには関係しなかった。

 整形外科クリニックを受診して治療を受けたが治らなかった。当院整形外科を受診して検査をしたが、血液検査もCTも異常なかった。整形外科を受診した翌日の4月23日に内科外来も受診した。あるとすれば狭心痛なので、心臓CTを行ったが、冠動脈に有意な異常はなかった。

 症状が出た時に試してもらうためのミオコールスプレーと抗うつ薬(サインバルタ20mg)を処方してみた。2週間後には症状が軽減して、さらに2週間後にはサインバルタを増量(40mg)した。右肩の違和感は残るというが、痛みが出た時の薬(芍薬甘草湯)は使用するほどでもないそうだ。

       

 5月26日(日)に早朝寝返りを打った時に回転性めまいが発症した69歳女性が救急外来を受診した。外来で経過をみて回転性の要素は軽減したが、嘔気と浮遊感が残って入院した。2~3日で退院になる見込みだったが、この方は別の問題があった。

 4月初めから右後頭部痛が続いていた。朝方から痛み出して夕方には軽減するという。断続的は電撃痛らしい。また同時期に左膝関節屈側の痛みもあった。膝関節の動きにはまったく関係なく、圧痛もなかった。整形外科クリニックに通院したが軽快しなかった。かえってセレコックスで全身に薬疹が出てしまった。

 当院の整形外科を受診してトラムセットの処方が出ていたが、さほど効いた気はしない。高血圧症で通院している内科クリニックで相談したところ、地域の基幹病院の内科(リウマチ膠原病科)に紹介されて、外来受診の予約をしていた(めまいで入院した日の数日後で、受診延期になった)。

 めまい(ふらふら・ふわふら)がする、嘔気がすると言って、食事摂取が進まなかった。不眠もあった睡眠薬はいらないと)。その症状で4月から自宅で寝たり起きたり(寝ている方が多い)の生活をしていた。

 表情に乏しく、印象としてはうつ状態と判断された。抗うつ薬の内服を勧めたところ、内服するという。セルトラリン(ジェイゾロフト)25mgを1週間くらい続けたところ、めまい・嘔気の訴えもなくなり、トイレまで歩行するようになった(入院後はポータブルトイレ使用していた)。表情も良くなり笑顔も見られる様になった。

 抗うつ薬の投与前に、後頭部の症状はおそらく後頭神経痛でしょうとお話した後は、病名が付いてほっとしましたと言って症状をあまり訴えなくなってはいた。その後は後頭部と膝の症状も訴えなくなり、先週末に退院して外来治療となった。

 

 先週土曜日に内科日直をしている時に39歳女性が受診した。畑仕事をしている時に、心臓がトクンとなって(本人の表現)その後呼吸が苦しくなったが、5分ほどで治まった。自宅に戻って血圧を測定すると160/100と高値だった。

 この方は精神科クリニックにパニック障害で通院していた。数年前に内科を数か所受診して、あるクリニックで精神科受診を勧められたそうだ。メンタルクリニックを受診して、セルトラリン25mgが処方されて、症状(パニック発作)が起きた時にはロラゼパム(ワイパックス)0.5mgを頓用するよう指示された。頓用の回数はしだいに減って、その日も頓用したが、1年ぶりだったという。受診した時にはロラゼパムが効いて落ち着いていた。診療としては、これまでの話を訊くだけだった。

 ところで下痢はしませんか、と訊くと軟便気味でもっとゆるくなることもあるそうだ。セルトラリンを始めてからのようで、関連があるという話をした(よけいなことだったかも)。せっかく効いているので、症状が認容可能なら継続して、今度メンタルクリニックを受診した時に相談してもらうことにした。整腸剤を下さいと希望したので、ミヤBMを5日分出して、市販のビオフェルミンでもいいですと伝えた。

 

 

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絞扼性腸閉塞

2019年06月17日 | Weblog

 日曜日の内科系日直は泌尿器科の先生(市内の開業医)だった。父親のクリニックの継承だが、地域医療に貢献したいという自ら申し出て始まった。緊急検査のできる病院で救急医療も継続していたいということなのだろう。

 救急外来からの入院は3名で、内科に入院したのは66歳男性のめまいだけだった。点滴で経過をみるだけだったので、内科当番だった若い先生(地域医療研修の内科専攻医)は病院に来なくて済んだようだ。他の2名は外科入院になっていた。

 一人は74歳男性で、先月胆嚢結石・急性胆嚢炎で手術(腹腔鏡的胆嚢摘出術)を受けていた。以前に胃全摘術(通常の開腹手術)の既往がある。腹部造影CTで一塊になっている小腸が造影不良で絞扼性腸閉塞と判断された。。

 単純CTで腹水貯留があり、造影を追加していた。やはり急性腹症では禁忌がなければ造影が必要ということがわかる。とりあえず、単純CTを行って、造影CT追加というのは時々やってしまっているが。

 外科当番の先生がまず対応したが、手術は胆嚢摘出術の時の主治医が担当していた。術後経過は順調で今日は個室から大部屋に移動していた。(単純CTで腹水貯留があり、造影を追加している。やっぱり急性腹症では禁忌がなければ造影の必要がある。)

 もう一人は、血液透析を受けている76歳男性で前日からの高熱で受診していた。胸部X線・CTで肺炎はなかった。胆嚢結石があるが、画像上は胆嚢炎の所見はない。肝機能障害もない。感染巣不明の何らかの細菌感染として抗菌薬が開始された。今日甲状腺腫瘍で外科入院予定だったため、外科入院になったものだ。

 血液培養が出されていなかった。透析患者でシャントのある上肢の血管が使用できなくて、点滴も反対側の上肢に入ってしまうと、、どこから採血するかという問題にはなる。しかし逆に透析の方はシャント感染(心内膜炎も)が疑われるので、血液培養が必須になる。

 

 

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一発診断 第8回 ボルンホルム病・モンドール病

2019年06月16日 | Weblog
 
 
CareNeTV
一発診断
第8回 激しい胸痛を訴える28歳女性
 
Script illuness15
28歳女性
現病歴:
8月某日、2日前から38.6℃の発熱・咽頭痛があり、今朝起床時に激しい胸痛を認めたため受診
検査所見:
・液検査 白血球8000/μg、CRP3.4mg/dL ほか異常なし
・胸部X線 異常なし、心電図 異常なし
身体所見:
・明らかな異常なし、胸痛は深呼吸・体動で悪化
後日 コクサッキーウイルスB群抗体値上昇
一発診断:ボルンホルム病(流行性筋痛症)
 
ボルンホルム病(流行性筋痛症)
概念:
・筋肉痛を来すウイルス感染症
・流行性筋痛症・流行性胸痛症
原因:
・コクサッキーウイルス(とくにB>A)
・エコーウイルス
潜伏期:
・2~7日
疫学:
・夏(~秋)に流行する
・小児だけでなく成人でもみられる
症状:
・発熱
・発作性・間欠性の激しい胸痛・上腹部痛→体動・深呼吸・咳嗽・笑いなどで悪化する痛みが特徴
・背部痛のこともある
幼少児の場合 痛みのため、浅い呼吸、無呼吸などの呼吸以上で見つかることが多い
所見:
・咽頭後壁のリンパ濾胞
検査:
・胸部X線 異常なし(少量の胸水を認めることあり)
・心電図 異常なし
・採血 筋由来酵素正常
・ウイルス抗体値上昇
予後:
・良好で4~6日で軽快する
・対症療法 消炎鎮痛薬
ただし
1)約1/4の症例が再発
2)改善まで数か月かかることも
一発セオリー:
夏から秋に発熱を伴う間欠性・発作性の胸痛、上腹部痛をみたら・・・
ボルンホルム病

これまで診た記憶がないが、見逃しているのかも。
 
Script illuness16
59歳男性
現病歴:
数日前からの左胸の痛みを訴えて受診 左腕を動かすと痛みが増悪
身体所見:
・左胸外側に圧痛を伴うミミズ腫様索状物
・経度の牽引痛
・周囲に発赤・腫脹なし
一発診断:
モンドール病
 
モンドール病
概念:
乳房および前胸壁~上腹部の皮下に索状の硬結を来す表在性の血栓性静脈炎
原因:
・特発性 最も多い(32.5%)
・外傷
・重荷重
・筋損傷
・医原性(生検・手術)
・ホルモン補充療法
・感染性
・血栓形成傾向
・きつい衣服による静脈の圧迫
6.3%の症例で乳がんが発見されるが、関係ははっきりしていない
疫学:
・30~60歳の女性に多い(男性3倍)
症状:
・索状の硬結に一致して・・・
圧痛・つっぱり感・皮膚の陥凹
増悪因子 上肢挙上・体のひねりなど
(無症状のことも・・・)
(発赤など皮膚の炎症を疑う所見は通常みられない)
超音波検査:
・索状物は無~低エコーの管腔構造として描出されるが、管腔がはっきりしないこともある
・血栓で計測しているため有意な血流所見を認めない
治療:
・経過観察 2~8週間で自然治癒
・痛みが強ければ
1)セレコキシブ
2)桂枝茯苓丸
ピットフォール:
・陰茎、鼠径部、腋窩、後頚部、下肢に認めることもある
・索状物に沿って発赤を認めることがある
一発セオリー:
乳房から上腹部に圧痛を伴う線状nの索状物がみられたら・・・
・・・モンドール病
 
 10年以上前に診て以来、診ていない。内科ではなく外科を受診しているのか。
 
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日直の代役

2019年06月15日 | Weblog

 今日は日直で病院に出ている。もともとは他の病院の先生がバイトで来る日だったが、都合が悪くなった。個人契約なので、代わりは来ない。

 他院の経営する施設に入所している認知症の66歳女性が急性腎盂腎炎で紹介されてきた。そちらで入院にする予定だったらしいが、頻拍(PSVTらしい)もあるのでという紹介だった。紹介してきたバイトの先生は診療情報提供書からみると循環器内科らしい。

 そこは年配の循環器内科の先生が常勤でいるが、時間外は対応していない。当院の循環器科も時間外は対応していないが、受けてから考えることにした。病院車で当院に連れてきた時は、幸いに洞調律になっていた。

 その他は36歳女性の急性腎盂腎炎、88歳女性のBPPV(何度か既往があり、頭部MRI異常なし)が入院した。

 朝方に心窩部痛で受診した31歳男性は、金曜日当直の先生(外部の病院のバイト)が造影CTや血液検査を行ったが、異常は指摘できなkなった(心電図も異常なし)。朝病院に来て診察した時には鎮痛薬で症状軽快していたので、少し外来で経過をみて、帰宅として週明けに内視鏡検査を予定することにした。

 その後、水を飲んだら痛くなった(?)という訴えもあり、治療を追加した。結局経過をみるために入院になった。点滴とPPI・鎮痛薬を継続して、月曜日に内視鏡検査を入れた。

 内科クリニックから紹介されたタール便の75歳女性は、Hb6.3g/dlと貧血が目立ち、正球性貧血でここ1週間の経過で以前のHb11g/dlから低下していた。当院では時間外の緊急内視鏡はできないので、地域の基幹病院に転送させてもらった。(小球性貧血ならば輸血を入れて、週明けまで経過をみることも考えていた)

 肺炎の88歳女性は食事摂取もできて肺炎が軽度なので、外来で抗菌薬点滴(セフトリアキソン)に通ってもらうことにした。認知症で入院すると抑制が必要になるのもあるが、こちらが疲れたのもある。

 

 今月あった高尿酸血症の講演会に行けなかったが、来月にもあるので、そちらには出ておきたい。「高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン」が出ているが、そこまで購入しなくてもいいと思う。フェブリクを販売している製薬メーカーのパンフレットでなんとかしよう。

 

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C型肝硬変+α

2019年06月14日 | Weblog

  火曜日の早朝に消化器科の外来に通院している78歳男性が救急搬入された。当直だった整形外科医が内科当番だった若い内科の先生(地域医療研修の内科専攻医)に連絡したが、まだ病院に来ていなかったので当方に連絡が来た。

 主にC型肝硬変(糖尿病も)で通院していて、処方は肝性脳症・肝不全の治療薬になっている。2月から4月まで急性胆嚢炎で入院して、手術は不可能と判断されてPTGBDでの治療が行われていた(外科で入院)。

 今回は単純CTのみだが、感染症としては右胸水・無気肺があり、肺炎・胸膜炎の可能性がある。そして胆嚢が不整に腫大して、胆嚢炎と判断される。腹水が貯留して、肝臓表面の凹凸がわかりやすくなっている。

 白血球22400・CRP12.2と上昇していた。当然肝機能障害があり、総ビリルビン5.8と上昇している。血液ガスを追加すると、pH7.152・PO2 127・PCO2 23.5・HCO3 7.9・BE -19.3だった。血圧が測定によって変動が大きいが70から110。

 これは厳しい。両肩から胸にかけて刺青があり、付いてきた女性は内縁関係らしい。悪化した時の対応についてはどうなっていたのだろうか。これまで患者さんに長年付き合ってきた消化器科医に連絡した。

 その後内科外来を診ていたが、消化器科で入院になっていた。お昼に妻との話がどうなったか聞いた。病状は相当に厳しいという話をしたところ、「これまで散々苦労してきて、もういいです」という返事だったという。DNARの方針になった。

 時間の問題といえる病状で、ぎりぎりその日はもって、日付が変わったころに亡くなって当直医が確認した。

 

 

 

 

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小脳梗塞

2019年06月13日 | Weblog

 86歳男性が月曜日早朝の起床時にめまい・嘔吐があり、救急搬入された。日曜日の当直だった外科医(大学病院からのバイト)が対応して、カルテ記載を見ると良性発作性頭位めまい(BPPV)を想定していたようだ。

 頭部MRIの結果は小脳脳幹部梗塞だった。内科クリニックに心房細動で通院しているが、抗凝固薬の処方はなかった。MRIで椎骨脳底動脈には問題(狭窄)はなかった。

 内科の若い先生地域医療研修の内科専攻医)が引きついでくれた。ちょうど当院の神経内科医(ひとりだけ)が休みだったのと、小脳脳幹部なので、急性期は専門医のそろった地域の基幹病院に送ることになった。

 当院としては1週間後にリハビリ目的で戻ってくる予定(?)だった。ベット事情が厳しいらしく、火曜日には進行しないので当院に戻したいという連絡が来て、水曜日に戻ってきた。抗凝固薬(エリキュース)が処方されていた。このまま進行せず、リハビリに移行したいものだ。

 かなり前にクリニック(今の先生の前)から循環器科の専門病院の紹介されて精査していた。大動脈弁膜症(ASR)があり、弁置換術について検討されたことがあるそうだ。ここまで無事に過ごせたのでしないで正解だったか。

 MRIの梗塞巣から見ると、これは上小脳動脈領域?。

 

 誤嚥性肺炎もあるが、実質的に老衰で亡くなった90歳代男性の奥さんが挨拶に来ていた。医学部の献体に登録していたので、家で簡易的な葬儀をしてすぐに遺体は大学に移送されていた。「この次は私が入院することになるので、その時はよろしく」と言われた。入院中、「主人は気難しい人だが、先生のことは気に入っているみだいだ」と奥さんに言われたが、もう発語もない状態だったので実際はわからない。

 

 

 

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蕁麻疹

2019年06月12日 | Weblog

 昨日は市医師会の講演会に行ってきた。講師は地域の基幹病院皮膚科の先生で、テーマは蕁麻疹。抗ヒスタミン薬のビラノア(ビラスチン)を販売する大鵬薬品の共催だった。

 蕁麻疹でそう目新しいこともないとは思ったが、皮膚科の先生の講演を聴くことはめったにないのと、来月の講演会で座長をするので雰囲気に慣れるために(?)、行ってみた。

 「蕁麻疹診療ガイドライン2018」があり、急性と慢性の境が6週間に変更になったそうだ。蕁麻疹は膨疹(紅斑を伴う限局性浮腫)が出没して短時間(24時間以内、多くは数時間以内)で軽快する。蕁麻疹は全身いずれにも出現する。呼吸困難などがあればアナフィラキシーとの鑑別が必要になる(というか、最初からそれはアナフィラキシー)。組織学的には血管拡張(紅斑)と血漿成分の漏れ(膨疹)からなる。機序はⅠ型アレルギーで、特定の抗原を同定できることは少ない。

 急性の86%は2週間以内に症状消褪するが、10%は2週間から3か月で症状消褪する。4%は3か月以上持続して1年後ということもある(もう慢性化)。4週間の状態を質問で評価するUrticaria Control Test(UCT)、1日の膨疹スコアとそう痒感スコアで評価するUrticaria Activity Score(UAC7)があるそうだが、長引けば皮膚科に紹介する一般医は使わないだろう。

 (蕁麻疹の薬物療法)

 Step 1:非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬を使用する。効果に乏しければ他剤への変更を行う。また2倍量までの増量または2種類の併用を行う。Step 2:グリチルリチン製剤(強力ミノファーゲンS)などがあるが、実際には使われない。Step 3:ステロイド<0.2mg/Kg/日の内服など。

 抗IgE抗体療法としてオマリズマブがある。成人または12歳以上の小児には1回300mgを4週ごとに皮下注する。1か月約9万円の治療。

 抗ヒスタミン薬は共催の大鵬製薬の製品だからということではなく、非鎮静性の中でもビラノアが優れているようだ。1日1回空腹時に投与だが(食後だと血中濃度の立ち上がりが遅い)、忘れて食べてしまうので、就寝前とするがいいそうだ。日本で2番目に売れているというが、一番はアレグラ?。基本的には内服薬を処方するが、どうしても軟膏がほしいと言われた時は、レスタミン軟膏を出してくださいという。

 感染性蕁麻疹という赤味の強い膨疹が全身に広範囲出現して、持続する病態がある。咽頭炎や腸炎に併発し、抗菌薬投与が必要になる。細菌感染ですか、と質問したら確定はできないようだったが、基本的に使用するようだ。

 症状が強い蕁麻疹ではステロイドを使用するが、ソル・メドロール125mgを使用して、ポララミン注も併用しているという(H2ブロッカーのガスター注も併用すると)。強力ミノファーゲンCは使用していませんと言われた。講演会の内容もあるが、懇親会で直接講師に質問するのが役に立つ。

 今日医局で昼のお弁当を食べている時に、当院の皮膚科医(同じく配達の530円弁当派)が来たので、前日の講演会の話をした。院内処方にビラノアは入っていない。ザジテンは院内に入っているが皮膚科医は自分では処方していないそうで、ビラノアに変更しようかと言っていた。ちなみにその講演会の座長を依頼されていたそうだが、講師がまだ決まっていない時点での依頼だったのでお断りしたと言っていた。講師の先輩に当るので、代わりに座長を務めた外科医の方が講師は気楽だったかも。

 

 

 

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潜在性結核感染症(LTBI)

2019年06月11日 | Weblog

 今年の1月に病院に入院していた90歳代女性が肺結核を発症していたことが判明して、結核病床を持っている病院に転院になった(転院先で亡くなった)。

 自己免疫性肝炎の増悪で地域の基幹病院消化器内科に入院した。ステロイドパルス療法を2回受けていて、その後もプレドニン高容量から減量された状態で、リハビリ目的で当院に転院してきた。年齢的に若い時の暴露されていたのが、年齢と大量のステロイド投与により発症あるいは再燃したと判断された。

 発症3か月以内の接触者健診が両方の病院で開始された。職員は1回目のT spot検査で陽性者はなく、先週2回目の検査が行われている。

 大部屋に入院していたので、いっしょにいた患者さんたちも接触者健診が行われた。入院している患者さんや通院している患者さんは病院で検査するが、退院した患者さんは保健所の扱いになるそうだ。

 昨日感染管理ナース(ICN、正確にはCNIC)から、同室だった88歳女性がT spot陽性だったと報告があった。この方は進行乳癌があり、当院外科で化学療法を受けている。

 胸部X線よりは結核病変の有無をCTで確認することにしたが、外科で乳癌の病状をみるため、5月31日にCTをすでに施行していた。結核を示唆する病変はなく、そもそも肺野自体にまったく異常はなかった。しかし肺結核以外の結核(喉頭結核・気管支結核)はあるので、喀痰検査を行う必要はある。

 結核発症者ではないと確定しても、接触者健診で陽性(最近の感染)でもあり、過去に結核感染して発症のリスクがあり免疫抑制状態にある感染者でもあるので、潜在性結核感染症(LTBI)には相当する。治療の禁忌がなければ、LTBIとして治療対象になる。明後日の呼吸器外来に来てもらっている抗酸菌感染に詳しい先生(大学病院から)に相談することにした。

 病院職員(当方も主治医だったので一番の対象者)の2回目のT spotの結果はまだ出ていないが、どうなるか。

 

 

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