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なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

低カリウム血性周期性四肢麻痺

2015年09月17日 | Weblog

 日曜日の日直の時に40歳男性が四肢麻痺(特に両下肢)で救急搬入された。この方は5年前にも同様の症状で入院していた。その時は、当直だった外科医が主治医となって、カリウム製剤の補充を行って4日で退院している。今回も血清カリウムは1.9と低下していた。

 数か月に1回くらい同様の症状が出現するが、軽度の時は自宅で様子をみるのみで受診しないそうだ。自分で頑張るというので、どうするのかと訊くと、野菜ジュースを飲むと言っていた。症状が出現し始めると自分でわかるので、自己流の対応を始めるのだった。カリウム製剤を病院からもらっておいて、症状が出始めたら内服すればと提案すると、それもそうですねとのんびりした返答だった。

 今回も自己流でやってみたが、悪化して動けなくなったので救急要請した。ベット上で下肢が少しだけ動くのみだった。上肢はテーブルまでは上がるが、それ以上は上がらないので、入院後の食事摂取も不自由だった。カリウム製剤の内服を開始して、点滴もちょっと併用した。翌日には血清カリウム2.0とわずかな上昇(誤差範囲か)だった。翌々日には2.7になって、トイレまで歩行できるようになった。2.5以上あれはいいらしい。

 仕事はしておらず、生活保護を受けていた。この年齢でよく認定されたと思うが、切られるのが心配という。症状軽快後はすぐに退院したがったので、カリウム製剤を持たせて退院にした。明日自宅に電話して、症状がなければ手持ちのカリウム製剤を中止して、無治療の状態で外来で血清カリウムを再検する予定だ。甲状腺機能と念のため原発性アルドステロン症のスクリーニングを行うことにした。

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