なんでも内科診療日誌

とりあえず何でも診ている内科の診療記録

どこの感染?

2015年09月07日 | Weblog

 昨日当直帯に入ってすぐに80歳大前半の男性が高熱と意識障害で救急搬入された。まだ病院にいたので、当直医(循環器科医)から連絡が来て病棟に診に行った。尿路感染症からの肺敗血症疑いということだった。前立腺癌で県立がんセンター泌尿器科に通院しているが、現在はフォローのみになっているらしい(家族の話)。土曜日から発熱があって、内科医院を受診して原因がわからないと言われた。その日の夜に当院の救急外来(大学病院循環器科の応援医師)を受診して、嘔気があるということから点滴をして胃腸薬を処方されていた(腹痛・下痢はない)。

 意識はもうろうとしていた。バイタルは頻脈気味で血圧はむしろ150mmHgと高めだった。胸部X線・CTで明らかな肺炎はなく、既往から前立腺炎や腎盂腎炎(排尿障害を基礎とした)が考えられたが、意外にも尿所見は感染症を示唆するものではなかった(前立腺炎だと否定はできない)。血液培養2セットと尿培養を提出して、抗菌薬と開始した。白血球数22000、CRP28と上昇していた。嫌気性菌カバーはないと考えて、ファーストシン(当院の第4世代セフェムはこれ)で開始した。今日は解熱して、会話もできるようになって調子がいいなあと思っていた。

 細菌検査室から連絡が来て、昨夜の血液培養2セットからグラム陽性球菌が検出されたという。相当菌数が多いのだろう。腸球菌だとまずいなと思ったが、臨床的には改善している。菌名がわかるまで経過をみれると判断したが、バンコマイシンを併用するべきなのかもしれない。最近の歯科治療歴はなかった。2週間前に内科外科クリニックで足趾の巻き爪の処置を受けたという。今その部位に化膿している様子はない。そこから細菌が入ったのか。明日心エコー(経胸壁)を行って、脊椎の化膿巣の検索も行うことにした。循環器科医2名を経由した心内膜炎?

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