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読書日和

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衆議院選挙1 民進党の矜持とは

2017-10-01 19:04:38 | 政治
9月28日、衆議院が解散されました。
つい最近まで「早く解散しろ!」と言っていたはずの野党が実際に解散することになったらいかにして生き残るかで右往左往しているのが見苦しいです。

今回の衆議院選挙では「希望の党」という新党が作られ、小池百合子東京都知事が代表に就任したのが話題になっています(私は豊洲市場と東京オリンピックを滅茶苦茶にして都政を混乱させたことから小池百合子知事のことを信用していないです)。
そして野党第一党の民進党がなんと事実上党を解党して希望の党に合流して助けてもらおうとしているのが印象的です。
これは民進党が国民から支持されず今のままでは衆議院選挙で負けるのが確実なため、話題性がある希望の党に助けてもらおうとしているのは誰の目にも明らかです。
この光景を見て、民進党というのは民主党時代から変わらずどうしようもない政党だなと思いました
民進党と希望の党は政策の中でも安全保障関連の考え方が次のように大きく異なっています。

憲法改正(特に九条)
希望の党:賛成
民進党:反対

安全保障法制(集団的自衛権)
希望の党:賛成
民進党:反対(白紙撤回させると主張)

考え方が真逆であり、これで希望の党に合流するのは無理があると思います。
前原誠司民進党代表は「全員で希望の党に入る」などと言っていますが、こんなに真逆の考え方なのになぜ全員で入党できると思っているのか理解不能です。
野党第一党としての矜持もなく、議席欲しさに政策が真逆な政党に取り入ろうとしている姿は情けない限りです。

また、民進党の議員で元々は憲法改正にも安全保障法制(集団的自衛権)にも反対なのに、突如「どちらにも賛成」という態度を取って希望の党に入ろうとしている人達がいます。
この光景を見て、政策をそんなに軽く扱うのかと愕然としました。
この人達にとって政策はどうでもよく、とにかく自分が衆議院選挙で生き残ることしか考えていないということだと思います。
いくら何でも国民を馬鹿にしすぎだと思います。
こんなにあっさり政策の考えを今までと真逆にするようだと、仮に衆議院選挙で当選すれば今度はまた考えを元に戻し、「憲法改正反対!」「安全保障法制(集団的自衛権)反対!」と言い出すであろうことが予想されます。
国民は民進党から希望の党に移った議員たちが衆議院選挙後に政治主張を元に戻さないかをよく見ていたほうが良いと思います。
そして国民は一度はこんな人達に政権を任せていたことを真摯に受け止めたほうが良いと思います。

民進党の場合、なぜ自分達が信用されないかを考えたほうが良いと思います。
国会では自民党の批判さえしていれば支持が得られると思っているようですが、実際には民進党の支持離れが進んでいます。
やはり批判だけしていて何の対案も出せないような政党は支持されないということだと思います。
そして民主党から民進党に名前を変えた後、国会で民主党政権の酷さを指摘された時に「民主党という政党は既に存在しないのだから我々には関係ない」といった発言をした民進党議員がいたのが印象的でした。
例えば何十年も経って世代が変わっていればそれで良いかも知れませんが、ほんの数年前の出来事で、当時の民主党の議員も多数現役の議員なのにそれはないと思いました。
あの時の酷い発言が、今の民進党の末路を暗示していたような気がします。

※「衆議院選挙2 民進党と立憲民主党」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「衆議院選挙3 民主党政権時と現在の経済の比較」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「衆議院選挙4 マスコミの立ち位置」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「衆議院選挙5 日本外交の復活」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「衆議院選挙6 憲法九条に自衛隊を明記」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。
※「衆議院選挙7 強引な立憲民主党持ち上げ報道」の記事をご覧になる方はこちらをどうぞ。

「裏切りのホワイトカード」石田衣良

2017-10-01 13:15:00 | 小説


今回ご紹介するのは「裏切りのホワイトカード」(著:石田衣良)です。

-----内容-----
フェイクだらけの時代 真実は自分で見極めろ!
嘘でもでたらめでも、話題を呼んで数を集めれば勝ち。
――そんな世界、まっぴらだ。
渡された白いカードでコンビニATMを操作するだけで、報酬は十万円。
そんな怪しいバイトに千人単位の若者を集める目的は?
池袋の仲間と、新しい命を守るため、マコトとタカシが動く!
IWGPシリーズ20周年。

-----感想-----
「池袋ウエストゲートパーク(IWGP)」シリーズの第13作目です。
今年はシリーズ20周年で、もうそんなに経ったのかと驚きました。
池袋西一番街で母親と果物屋をする真島誠は街のトラブルシューターでもあり、様々なトラブルの解決を依頼されています。

「滝野川炎上ドライバー」
季節は春の3月です。
河本(かわもと)順治という宅配便のドライバーがマコトの果物屋に宅配便を持ってきます。
ジュンジは礼儀正しく真面目で、運転が折り目正しく丁寧なことでも有名です。
ジュンジには透という小学校三年生の息子がいて、半年前に瑞恵という奥さんと別れています。
その週の土曜日の午後、ジュンジがトオルを連れてマコトの果物屋にやってきます。
マコトの母が二人のことを気にかけていて、よく二人を招いて洒落た手作り料理を御馳走しています。
二人が帰るとマコトの母がマコトに、トオルが全然笑わなくなり様子がおかしいから気にかけてくれと言います。

マコトはクラシック音楽が好きでお店でもよくかけています。
トオルが小学校の音楽の時間で聴いたシューベルトの「魔王」という曲をかけてあげます。
「魔王」では男の子が魔王に殺されてしまうのですが、トオルは「お父さんが見てるところで死ねるんだよね。誰にも見られてないより、幸せかもしれない」と言っていました。
一体何があったのかとても気になりました。

「最近の調査で池袋が吉祥寺や恵比寿や二子玉川らと並んで住みたい街のベストテンに入った」とあったのは興味深かったです。
マコトはこれを意外に思っていて、私も意外に思いました。
池袋は埼玉方面から東京に行くときの玄関口になっていて鉄道路線が発達しているので、その便利さはあると思います。
しかし吉祥寺や恵比寿や二子玉川と比べると雑然とした印象があるので住みたいにランクインするのはやはり意外です。

トオルの腕には虐待のアザがあります。
溝口智明という新しい父親が登場するのですが、この男に虐待されている可能性が高いです。
憤ったジュンジは溝口と瑞恵とトオルが暮らす家に行きますが、その翌日ネットのブログとツイッターに「宅配ドライバー、河本順治が離れて暮らす子どもに虐待を繰り返している」という記事が出て炎上します。
溝口が自分の虐待をジュンジのせいにして炎上させたのは明らかです。

マコトが溝口の犯行を確信した場面は印象的でした。
目のまえには明るい春の午後の西一番街がにぎやかに広がるだけ。うちの店の果物なんて光り輝くようである。先に腐るのはいつだって人間なのだ。
「先に腐るのはいつだって人間なのだ」という言葉が印象的でした。
マコトは溝口の虐待からトオルを救うために作戦を考えます。


「上池袋ドラッグマザー」
季節は夏です。
夏のある日、雨が上がると果物屋の店先にセーラー服の美少女が立っています。
美少女は中学生で、マコトの噂を聞いて助けを求めてきました。
美少女は木崎真唯(きざきまい)と言い、中高一貫校の開明学園の中学三年生です。
マイは瀬戸智樹という高校二年の先輩で開明学園のトラブルシューターと呼ばれる人からマコトのことを教えてもらいました。

マイの家は父親がいなく子どもの頃から母親の有香(ゆうか)と二人で暮らしてきました。
その母親が別人のようになってしまってマイは困っていました。
二ヶ月前から母親は変わっていき、ディズニー映画の悪役のような雰囲気の美人になり、食欲が乱高下し、暑いのに寒いと言ったり、かと思えば急に暑がったりするようになりました。
マコトはこれを聞いて、マイの母親は覚せい剤をやっていると考えます。

瀬戸智樹もマコトの前に現れます。
智樹はマコトのことを尊敬していて、「おれのあこがれです。握手してもらえますか」と言っていました。
智樹の言葉にマコトが喜んでいるのが面白かったです。
また今作でもマコトは27、8歳くらいのようで、一作ごとに一年年を重ねていった第一部(Ⅰ~Ⅹ)と違って、第二部は今のところ27、8歳くらいのまま変わらないようです。
マコトはキングの安藤崇に電話して、Gボーイズの力を借りて母親の有香を尾行することにします。

有香を尾行していくと、怪しげな男と会っていることが明らかになります。
マコトはタカシのほかにサルこと斉藤富士男にも男の正体を突き止めるのを頼みます。
斉藤富士男はタカシと同じくマコトの同級生で、現在は氷高組の幹部です。

タカシは母親について「もう手遅れなのでは」と言っていました。
やがて男は西川継治と言い覚せい剤の常習者と売人であることが明らかになります。

マコトが夜にベートーヴェンを聴いている時に興味深いことを言っていました。
ベートーヴェンは苦しんでいるときにきくといい。これほど励みになる音楽もない。
ベートーヴェンの音楽にそんな勇気づける力があるとは知りませんでした。
たまにはクラシック音楽を聴いてみるのも良いかも知れないなと思いました。


「東池袋スピリチュアル」
季節は秋の11月です。
マコトは東池袋のハッカー、ゼロワンから依頼を受けます。
ゼロワンは以前から「ネットの大海に混ざったゼロワンのためだけのただ一滴の魂のメッセージ」を探しています。
そして東池袋のデニーズをオフィス代わりにしていていつも朝から夜までデニーズにいます。

ゼロワンはくちばしに若葉をくわえた黒い小鳥が朝焼けの空を東の方向に飛んでいく夢を見たとのことでした。
そしてネットで黒、鳥、若葉、スピリチュアルで検索をかけ、その中から池袋の東にある案件を三つ見つけ出していました。
ゼロワンはマコトにその三ヶ所に行って、ゼロワンにどんなメッセージがあるのかを探ってきてほしいと依頼します。
マコトは三ヶ所を次の順番で調べていきます。

1.黒羽心霊研究所 台東区花川戸
2.スピリチュアルリサーチ 葉鳥 文京区小石川
3.黒い鳥は夜を飛ぶ~ワカバのひとり言 豊島区南大塚

黒羽心霊研究所では50代前半の赤いポロシャツの太った男が出てきます。
男は最初に質問事項をまとめた書類を書かせて、それを見て適当なことを言っていました。
そしてマコトの守護霊は右のひざに霊障を抱えているから男の力で霊障を取り除いてあげたほうが良い、さらには男の力を込めた水晶を買ったほうが良いと言っていました。
どちらも高額で、言葉巧みにお金を払わせようとしている様子を見て全く信じる気にならなかったです。

次にマコトはスピリチュアルリサーチ葉鳥に行きます。
このお店で応対した30代女性は一件目とは違ってまともなことを言っていました。
「自分を救うのは、自分以外にあり得ない。自分の魂をより深く見つめ、自分自身を知るのがうちのリサーチの仕事。そのためには全力を尽くす」「あなたが見た夢の意味を探すのはあなた自身で、うちのレッスンはその手助けをするだけ」と言っていました。
これは瞑想や深層心理学が関わってくると思います。
守護霊や水晶で高額なお金を請求されるよりはこちらのほうがまともだと思います。

次にマコトは「黒い鳥は夜を飛ぶ~ワカバのひとり言」というブログを書いている越川若葉という女子大生に会います。
若葉は本物の霊能力者で、今までの二人とは違って何の情報も与えていないのにマコトの好物を言い当てたりしていました。
さらに若葉にはマコトの左肩の辺りにまだ会ったこともないゼロワンの姿が見えています。

マコトは若葉からトラブルの相談を受けます。
若葉はサイキックガーデンというIT企業の田口文秋という代表から強引に勧誘されています。
田口は若葉をプロデュースして女子大生霊能者としてアイドルにしたいと言っていて、言うことを聞かないとただでは済まさないと脅迫していました。

若葉は霊能力をお金儲けに使うことには気が進まないようです。
この手の力をお金もうけのためにつかうと、あまりよくないんだ。ほんとは仕事にしたり、人気サイトにするようなものじゃないと思う。スピリチュアルも、心霊現象も、社会の影のなかにいるから、いいんだよね
本人がお金儲けをするつもりがなくても、その力を知った周りの人間がお金儲けに使おうとするのは嫌だなと思います。


「裏切りのホワイトカード」
新年1月が舞台です。
冒頭、「池袋で猛烈に人集めをしている輩がいる」とありました。
タカシからマコトに電話がかかってきて、タカシのところに人集めの話が舞い込んだことが明らかになります。
誰にでもできる簡単な仕事で、一日でギャラ10万を補償するとのことです。
タカシとしては事前に話の裏を確かめバイトの危険度を探りたいということで、マコトに調査を頼んできます。
マコトはタカシの依頼を受け怪しいバイトを調べていきます。

マコトの果物屋に遠藤瑞人というスーツ姿で武闘派な雰囲気の人がやってきます。
遠藤は日本一の製薬会社「シオミ製薬工業株式会社」を保有する潮見財団の理事補佐をしていて、ある人物に会って話を聞いてほしいとのことです。
マコトは遠藤に連れられて目白にある洒落た一軒家のレストランを訪れます。
そこでは潮見美穏(みおん)という潮見財団の理事がマコトを迎えます。

美穏には晴臣(はるおみ)という弟がいて、晴臣はネットで「ブラックボード」というグレイな情報がたくさん集まる掲示板を主宰しています。
晴臣は28歳、美穏は30歳です。
東京のあちこちで怪しいバイトの人集めをしている件についてブラックボードも関わっているようで、事件化する前に美穏たちは晴臣を取り戻したいと考えています。
晴臣を連れ戻す依頼を受けマコトは動き出します。

美穏たちは五人兄弟で、他の兄弟が父親に従順なのに比べ、晴臣だけは自由奔放なところがあり父などからは鼻つまみ者扱いされているようです。
しかし美穏は「兄弟の中で一番意志が強く未来を見とおすビジョンを持ち周囲の人間をまとめる力があるのは晴臣」と言っていました。
そして遠藤は「晴臣は日本にも大切な人」と言っていて、そんな人がなぜ闇掲示板を主宰するのか気になりました。

マコトは池袋ウエストゲートパークに向かっている時にシンジに遭遇します。
シンジは烈風隊というチームを率いていて、事情があって金策に困っているため怪しいバイトに乗り気です。
しかし誰にでもできる簡単な仕事でしかもたった一日でバイト代10万円というのは明らかに怪しいです。
マコトとシンジで怪しいバイトの主宰者に会いに行き探ることになります。

怪しいバイトの主宰者と会った場では真っ白なプラスチックカードが登場します。
主宰者はこのホワイトカードを二千枚用意し、ある情報が既に記録してあると言っていました。
さらにこのホワイトカードをどう使うか、どのタイミングで使うか、何回使うかの全ては当日の朝伝えるとのことでした。
ATMから違法にお金を引き出す「出し子」をさせようとしているのは明らかで、いよいよ危険な仕事だということが分かってきます。
ただしお金に困っているシンジは危険と分かっていてもやると言っていて、マコトはシンジをどうやって止めるか考えます。


池袋ウエストゲートパークシリーズはどの話も中編でサクサクと読み進められるのが良いと思います。
どの話でも悪い勢力が出てきてそれをマコトとタカシでやっつけるという展開が分かっていても面白く読めます。
第二部も第一部と同じく10作目くらいまで続いていってほしいと思います


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