湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

海水浴と湘南

2010-09-21 18:34:06 | 湘南ライナーで読む


周囲をすべて海に囲まれているというのに、実は日本に「海水浴」というものが根付いたのは近代に入ってからだということを知っていますか?

これまで海で泳ぐなんて当たり前のことのように思っていたが、海に浸かるようになったのはそもそも病気治療のためで、もともと水泳も川で始まり海へ出てきたらしい。その合体が「海水浴」だったのだ。

『海水浴と日本人』(畔柳昭雄著 中央公論社刊 2200円+税)は、そのあたりのことを初めてまとめた本だという。

冒頭から驚かされる。「海水浴」は「カイスイヨク」とは読まず、明治の中期まで「ウミミズユアミ」と言われていたらしい!。
そして、日本にやってきた外国人の存在や、長与専斎、松本順、後藤新平らが海水浴の定着に重要な役割を果たしたことの経緯などが、わかりやすく描かれている。
また、海水浴発祥の地といわれる大磯をはじめ県内の地もたくさん登場。町おこし(村おこし)という側面も担い、その発展の様子もうかがえる。旅館からスタートし、サナトリウムになり、またホテルへとスタイルを変え、やがて廃業という道をたどるあの「鎌倉海浜ホテル」も出てくるのも興味深い。

僕が子供の頃、夏のレジャーといえば「海水浴」だった。
でも、最近は「芋を洗うよう」なんて表現もすっかり聞かないくらい人気は落ちているようだ。
やがて、この本にその凋落のプロセスも詳しく書き加える日が来るがくるかもしれない。