湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

一人で食べる夫婦善哉

2009-12-12 23:37:59 | B食の道


この店、メニューがない。
席に着くと「お待ちください」とお茶が出される。何も頼まなくても出てくるのが「夫婦善哉」(めおとぜんざい)だ。お店の名前も『夫婦善哉』。大阪出張の帰りに、わざわざ足を伸ばして、なんばから道頓堀あたりを歩いた末に、疲れて甘いものをというわけだ。予定通りだったりして(笑)。
あの法善寺横町にある、コテコテでベタベタの有名店でんがな。たまには、ええやろ。
僕の他には、保険のおばちゃん5名とそれを束ねるおじさん2名の団体さんのみ。一人離れて「夫婦善哉」を一椀ずついただいた。
たいした量はないのに、でもそれが2杯あるというのは何だかちょっと嬉しい。途中で、添えてある塩昆布なんぞをかじりながら、ゆっくり味わうことができた。味のほうも、普通においしい。
残念だったのが、建物が新しかったこと。古い建物の中で食べたとしたら、味も150%増しだったはずだ。でも、値段は800円と観光地価格。1杯400円!地元に住んでいたら、わざわざ行かないな、きっと(笑)。

お店の謂われや詳細はこちらに。そうか、「さと」がやっているんですね。

味の店 後楽の思い出

2009-12-12 01:22:16 | B食の道


初めて『味の店 後楽』の暖簾をくぐったのは、もう17~18年前のこと。
まだ会社が水道橋駅の近く(現在この会社がある)にあったころだ。毎晩店屋物をとっていたのだが、配達してくれる店が近所に3店ほどしかなく、飽きがきていた。そこで、新規開拓をすべく白山通りを春日方面に向かって一人で歩いて行く。壱岐坂下交差点を過ぎると、なんだか懐かしい感じの大衆食堂が現れた(当時からすでに懐かしい感じって…)。これは!と思い、意を決して扉を開けたのだ。
いかにも大衆食堂といった店内の奥に、いかにも大衆食堂の白衣を着たおじさんが二人立っていた。
「出前、やってますか?」と聞くと、二人同時に「やってない」と胸の前で手をひらひらさせた。
残念。こんな店が出前リストに加わったら、飽きなんて絶対来ないのにと帰社後みんなに話したのを覚えている。

ところが、それから2年も経たないうちに、会社がその『後楽』の2軒隣のビルに引っ越すことになった。出前に来てくれないから、こっちから行ったというわけだ(笑)。

翌日から、社員食堂と化した。まあ、実によく通ったものだ。お昼だけではない。当時は夜も営業していたので、おじさんたちが一杯やっている中、「野菜炒め定食」(通称「炒めライス」)とか「焼きそば」(通称「ややき」)とか、やっぱり「オムライス+半ラーメンセット」(通称「オムセット」)をガツガツ食べた。そういえば、週1ペースのランチメニューにしかない「かつとじ」(カツ丼の具とご飯を別々にしたもの)を内緒で出してくれたこともある。
そうして食べていると夜の部は、完全に『デン助劇場』そのものだった。客も店員も入り乱れてワイワイ始まる。テレビに向かって誰かが文句を言えば、みんなで大笑い。店員が競馬新聞を広げると、お客と予想で言い合いになったり。もうそのドタバタがモロ昭和。僕たちは一緒に笑ったり、時には笑われたりしながら、仕事の合間の食事を楽しんだものだ。
ただ、これまでに何度も書いてきたように、やたら休業する。それも連休。いや、1週間ならまだいい方で、1ヶ月や半年近く休んだりするのだ。そのせいで、かえっていつまでも飽きずにいられるのかもしれないけれど。

そんな『後楽』の最大のピンチは、数年前。裏の最高裁本郷宿舎跡に買い手がついてビルが建つことになり、『後楽』の弁当工場も区画整理で少し離れた場所に移転することになったのだ。こうなると、店も閉めてしまうのではないかと噂に。ところが、例のリーマンショックに端を発した不況で、この計画自体が頓挫。『後楽』もいまだ健在というわけだ。不況も悪いことばかりじゃないな。

さて、その『後楽』の今日のランチは「フライ盛り合わせ」。こういうときは「オムセット」(850円)に限る。懐かしいオムライスはもちろん、懐かしすぎるこれぞ東京ラーメンのミニサイズがまたいい。透き通ったスープと細いストレート麺が硬め。また、メンマじゃなく支那竹(シナチク)と呼びたい硬めの歯ごたえも嬉しい。ん~、すっかり昭和の味わいを記憶にとどめるのだった。


『味の店 後楽』の過去のエントリーはこちら