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午後1時15分、僕を乗せたキハ2004は、たった1両編成で唸りをあげながら勝田駅を出発した。先週の金曜日のことだ。
ひたちなか海浜鉄道湊線である。物珍しそうに車内でキョロキョロしているのは僕だけ。大きな荷物を抱えていたのでチラリと見る人はいるものの、10人ほどいる乗客のほとんどは、そんな僕を気にも止めない。きっと毎日繰り返されているであろう平日の午後の風景が、そこにはあった。
足の裏から痺れるような振動が伝わってくる。子供のころに乗った田舎に行く列車の思い出がよみがえってくる。床を見れば、懐かしい板張りだ。こんな気動車(ディーゼルカー)が現役で、こうして町の人の生活に溶け込んでいるのがどうにも信じられない。
いま停車したけど、駅だったよね。ん?駅舎、あった?
だいたいエンジン音が大きくて車内放送がまったく聞こえない。というより、アナウンスしてるのかな?
あれ、今おばあさんが降りたけど、周りを見渡しても民家が見えないよ。大丈夫なの?
畑の中に真っ直ぐのびている線路、真っ直ぐなはずなのによく揺れる車両。思いの外スピードを感じながらも、なぜかどんどんどんどん時間を遡っていくような気がする。
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那珂湊駅に到着した。ここで行き違いをするようだ。プラットホームから階段を降りて線路を渡り隣のホームへまた上っていくスタイルも、懐かしい。
もちろん自動改札も、タッチパネルもない。ちゃんと駅員さんが切符を受け取ってくれるのだ。そして乗客が全員出ていくと、改札には次の列車の時間まで鎖が渡される。これも昔のままだ。
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『茨城交通』から『ひたちなか海浜鉄道』と、ちょっと洒落た名前になってはいるが、なかなかどうして素晴らしく昭和な鉄道ではないか。感動しながら駅前に出ると、本当に昭和の時代に迷い込んでしまうのだった。
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鉄ちゃんではないので、車両の解説等はしません。ただ、乗るのも初めての車両なのに、昔のったような懐かしい顔つきの列車ばかり。
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日本初のステンレス気動車だそうです。懐かしい顔が両面に。現在は台車がはずされ、地面にそのまま乗ってます。
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ところでここにコメントをいただいた吉田さん、ひたちなか海浜鉄道の社長さんですよね。驚きました。ありがとうございます。
第三セクターというと、つい垢抜けた方向へいきがちなところ、ちゃんとローカル色を打ち出しているようで嬉しいですね。茨城交通時代の塗装を、わざわざ国鉄カラーにペイントしなおしているなんて素敵です。今回は半日の滞在でしたが、1日フリー切符でゆっくり回ってみたいなぁ。そういえば、那珂湊駅の改札の内側に貸自転車が用意されていました。
♪たらったったたた~らら…(世界の車窓からのBGMで)
さて、明日は駅を降りて一休みしてみましょう。