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湘南ライナー日記 SHONAN LINER NOTES

会社帰りの湘南ライナーの中で書いていた日記を継続中

鉄道ひとり旅に出たきり

2011-08-28 20:29:13 | 湘南ライナーで読む


ちょっとだけ鉄道が好きで、ちょっとした旅行程度ならたくさんしてみたいと思っている僕のような人間にとって、旅番組や旅系の本はいつも気になる。

そんな中、昨年4月に創刊された『鉄道ひとり旅ふたり旅』(エイ出版 933円+税)は、いや~待ってました!というムック本だった。
だったというのは、隔月間でトントントンと5号まで出て、あぁこういう本も売れる時代になったんだなぁと感心していたら、その5号巻末の「次号は2011年2月20日発売予定」という告知を最後に見かけなくなってしまったからだ。
何の断りもなく(HP上ではあったのかな)、休刊のようです。1周年目前だったのに。
ローカルあり、懐古あり、駅弁ありで、それでいてちゃんと今を伝えていて、ぼくら昭和世代にはたまらない素晴らしい本だったのになぁ。
昨年の12月で、僕の中の鉄道と旅は止まったままになっている。


行けなかった小田原アリーナは首位に勝利!

電柱でござる

2011-08-01 22:23:46 | 湘南ライナーで読む


とっても気を引く日本家屋だったので、自転車を停めて写真を撮ったのだが、まさかこの家の屋根から電信柱がニョッキリ飛び出ていたことに、そのときは全く気づいていなかったのだ(今よく見たら前の屋根の向こうにちょっとのぞいている)。

というわけで、この家とその家主に迫った『ミドリさんとカラクリ屋敷』(鈴木遙著 集英社刊 1500円+税)という話題のノンフィクションを読んだ。

著者は高校生の時に、屋根から突き出ている電信柱が気になって自転車を停めたのだそうだ。そして、家主のミドリさん(現在97歳)の人生と、この家に隠されたカラクリを解明していく。
筆致がイマドキというか、ブログ風というか、軽快なのでサラリと読み進めることができる。そのぶん普通であればもっとドラマチックに描かれていそうな場面も、あっさり終わってしまう印象。ちょっと物足りない気がしないでもないが、それがかえってミドリさんを語るにはピッタリなのかもしれない。
電信柱の見た目のインパクトはすごいけど、実はそれは氷山の一角…というか屋根瓦の1枚に過ぎなかったこともよくわかる。
そしてこの本を読むと、誰もがミドリさんのお宅をのぞいてみたくなり、併設の「みどり荘」の住人になってみたくなるはずである。


ディープすぎる湘南

2011-07-23 13:08:25 | 湘南ライナーで読む


『散歩の達人』8月号は「藤沢 辻堂 茅ヶ崎 平塚 大磯 湘南さんぽ大観光」だ。
逗子・葉山・鎌倉あたりを除いた「湘南」の特集。
そして、平塚も入れてもらっている(笑)
しかも「横内アジアン団地」も見開きで紹介されているなど、かなりディープな取材が行なわれていて驚く。

静岡屋食堂吉香、それからCAFE・INあたりの情報もどこで拾ってきたんだろうか。
まるで縁のない人が読んで面白いんだろうかという気もする。

また、こちらは平塚ではないが、県立体育センター藤沢特飲街が1ページずつをさいて語られているのもなかなか。
まあ地元の人が読むには最高な一冊ではある。

写真は、今朝の平塚から見た富士山。




関係者以外も歓迎食堂

2011-06-04 22:19:09 | 湘南ライナーで読む


湘南海童社さん、またまたやってくださいましたね。
『神奈川 学食・市場・役所の食堂』(1048円+税)
タイトル通り、入っちゃまずそうなロケーションの食堂に、実は入れますよと。しかも素敵な空間あり、垂涎のメニューが存在することを魅力的に伝えてくれる。
個人的にはすでに“潜入”済みの領域ではあるけれど(笑)。
それでも、なかなかその食堂の名物や人気メニューまでは知る由もなかったので、これはすばらしいガイドブックになった。
この本を手に、ますますB食の道に精進することを誓います(笑)。

写真は、この本とともに。シリーズで『神奈川県内駅近! 沿線 味の庶民酒場』という本も出ている。

すでに“潜入”済みの食堂はこちら
玉屋食堂(神奈川県立体育センター)
魚市場食堂(平塚魚市場厚木支店)
食堂(平塚市役所)
8号館食堂(東海大学湘南キャンパス)
コム・スクエア(東海大学湘南キャンパス)
魚市場食堂(小田原魚市場)


おぉ、長良川ではワンツーで勝利。上位の負けや引き分けのおかげで(笑)、2位!

存在の大きな雀の記録

2011-04-21 18:45:54 | 湘南ライナーで読む


『ある小さなスズメの記録 人を慰め、愛し、叱った、誇り高きクラレンスの生涯』(クレア・キップス著 梨木香歩訳 文藝春秋刊 1429円+税)を読んだ。
第二次世界大戦中のロンドン郊外に住む女性ピアニストが、玄関先で拾い上げた生まれたばかりのスズメの一生(11年7週+4日)を綴ったものである。
生まれつきしょうがいがあったものの、彼女に愛情いっぱいに育てられたスズメはやがて“芸達者”ぶりを発揮し、戦火に怯える人々を癒す。そして…。

といっても決して叙情的ではなく淡々と語られていくので、書評で見るように感動的には伝わってこない。僕の理解力が乏しいせいもあるのだろうが、難しい言い回しも多くて、残念ながらスーッとは入ってこなかったのである。
それでも不思議なのは、彼女が語るこの主人公がとても小さなスズメであることをついつい忘れてしまうこと。
ところが、読み進めていくうちに時々出てくる写真を目にすると、その度に、そうだ、こんなにちっちゃなスズメの話だったんだ!と思い出すのだ。
それくらい何か人格のようなものを感じる存在であることに驚く。
そして、青春時代よりもむしろ晩年に、その人格が、より明確になっていくのにまた驚いてしまう。
読み終えてからも、小さなスズメが主人公だったことがどうも信じられないのだ(笑)。

書きようによってはいくらでもお涙ちょうだい的なドキュメンタリーにすることもできたはず。でも、愛すればこそなのか距離をおいて綴ったことが、かえってリアルに伝わったのではないかとも思える。
装丁もちょっとステキな本ですね。


B級丼の本はB級価格

2011-04-14 22:03:51 | 湘南ライナーで読む


スーパーの本屋で見つけた「B級グルメ丼」特集の文字。
ただし掲載されているのは、主婦向け情報誌『レタスクラブ』(もともとはダイエーの『オレンジページ』に対抗してイトーヨーカドーが出版した雑誌)だ。

「ご当地の味をふんだんに取り入れた絶品丼がおうちで気軽に楽しめるレシピをご紹介。身近な素材ですぐに作れて洗いものも少ない、いいことずくめのメニューが満載」だという。
そういえば「B級グルメ」って、特別なものではなくて、地域で古くから当たり前のように食べられてきたものが多い。そう考えれば「身近な素材」だもんね。それを丼にして提案するという切り口は、素晴らしいというか、いやいや遂にそこまできちゃったかというか。

当然、買いましたけどね(笑)。
はじめは「クダラネー」とバカにしていたんだけど、おや何かが挟まってるよ、この本。なになに?「繰り返し作りたい ホットケーキミックスで人気のおやつ&パンBOOK」というキレイでしっかりした冊子が付録になっているぞ!これは素晴らしい!最近お菓子づくりにハマッている娘も喜ぶ(笑)。
え~っと、いくらかな?と表4を見ると、な・なんとたったの310円。
特集だけでなく、雑誌の価格もB級じゃん!

まぁ、この丼を実際に作るかどうかはわからないけどね(笑)。

百年かよいたい食堂

2011-04-03 21:18:17 | 湘南ライナーで読む


すばらしいタイトルである。
『東京・横浜 百年食堂』(日本出版社刊 952円+税)は、森沢明夫著『津軽百年食堂』という物語から派生した「百年食堂顕彰會」の定義をいい意味で拡大解釈して選んだ大衆食堂が56軒掲載されている。
大衆食堂の大家遠藤哲夫氏の寄稿も気が利いていて、頷くことことしきりである。喫茶店なども含まれているが、これも「百年食堂」と呼んでも違和感のない店ばかりだ。
前から入ってみたかった店、わざわざ行ったのに休みだった店はともかく、こんなお店もあったんだと新たな発見もあった。
オレとしたことが!というのが、鎌倉駅近くの『あしなや』。実は昭和11年創業だった。この間、お昼に入ろうか迷ったんだけど店構えが新しめだったのでパスしちゃったんだよな。ん~、大衆食堂や定食屋を語るには、まだまだ嗅覚が弱いようだ。

とはいえ、けっこう経験済みのお店もあった。
洋食一新亭(浅草橋)
下総屋食堂(両国)
芳味亭(人形町)
萬福(銀座)
ニューキャッスル(銀座)
洋食松栄亭(神田)
万定フルーツパーラー(本郷)
食堂もり川(本郷)
センターグリル(野毛)
磯村屋(横浜橋)
酔来軒(横浜橋)

そういえば『絶滅食堂で逢いましょう』のその弐(徳間書店刊 1500円)も先月しっかりゲットしておきました。こちらには、三ちゃん食堂(新丸子)と観音食堂(大船)の2軒だけ。
その壱には、洋食一新亭、万定フルーツパーラー、ニューキャッスルの他に栄屋ミルクホール(神田)も掲載されていました。

A LONG BOOKCATION

2011-04-02 20:53:50 | 湘南ライナーで読む


10年ごとに発売される記念盤
そして、そのたびに音楽誌の特集も組まれる。今回も『レコード・コレクターズ』誌の増刊で「大滝詠一 Talks About Niagara」(ミュージックマガジン社刊 1619円+税)が出ている。 タイトルの通り、インタビューを中心に構成されていて、これまでとはまた違うエピソードなどが読みとれる。

昔の本を引っ張りだしていたら、『A LONG VACATION』の周年記念だけでなく、2005年の『Naiagara』30周年には『大瀧詠一 大瀧詠一と大滝詠一のナイアガラ30年史』(文芸春秋社刊)が発売され、2006年には『レコード・コレクターズ』誌で『NIAGARA TRIANGLE VOL.1』の30周年特集まで組まれていた。
こうしてみると、やっぱりもう生きているうちに“偉人”クラス。現在の音楽界に大きく影響を与えたり、30年以上たった今も高く評価されていたり、それに職人ともいえる匠の技を駆使したりで、もう人間国宝にしちゃっても決しておかしくはないと思うのだが(笑)。

こちらは、左が『All About Niagara 1973-1979』(1982年、八曜社刊 1200円)。右がこれがすっぽり収まっている『All About Niagara 1973-1979+α』(2001年、白夜書房刊 4700円)。厚さは3倍ほどになった。いずれも初版本。ただし、重版されたかどうかはわからないけど(笑)。数年前に、さらにこの増補改訂版も出たように記憶している。

海水浴と湘南

2010-09-21 18:34:06 | 湘南ライナーで読む


周囲をすべて海に囲まれているというのに、実は日本に「海水浴」というものが根付いたのは近代に入ってからだということを知っていますか?

これまで海で泳ぐなんて当たり前のことのように思っていたが、海に浸かるようになったのはそもそも病気治療のためで、もともと水泳も川で始まり海へ出てきたらしい。その合体が「海水浴」だったのだ。

『海水浴と日本人』(畔柳昭雄著 中央公論社刊 2200円+税)は、そのあたりのことを初めてまとめた本だという。

冒頭から驚かされる。「海水浴」は「カイスイヨク」とは読まず、明治の中期まで「ウミミズユアミ」と言われていたらしい!。
そして、日本にやってきた外国人の存在や、長与専斎、松本順、後藤新平らが海水浴の定着に重要な役割を果たしたことの経緯などが、わかりやすく描かれている。
また、海水浴発祥の地といわれる大磯をはじめ県内の地もたくさん登場。町おこし(村おこし)という側面も担い、その発展の様子もうかがえる。旅館からスタートし、サナトリウムになり、またホテルへとスタイルを変え、やがて廃業という道をたどるあの「鎌倉海浜ホテル」も出てくるのも興味深い。

僕が子供の頃、夏のレジャーといえば「海水浴」だった。
でも、最近は「芋を洗うよう」なんて表現もすっかり聞かないくらい人気は落ちているようだ。
やがて、この本にその凋落のプロセスも詳しく書き加える日が来るがくるかもしれない。

センチメンタル各駅停車

2010-08-14 13:29:59 | 湘南ライナーで読む


レコード(CD)の“ジャケ買い”というのがあるが、
これはもうまるっきり“タイトル買い”である。

『センチメンタル急行』(泰文堂刊 571円+税)

そのタイトルの下には「あの日に帰る、旅情短篇集」の文字が添えられている。
さらに、表紙の2/3を占める帯には雪が積もる寂れた駅の夜空に、白抜きの文字で「あなたの帰りたいあの頃はいつですか?」とある。
う~ん、ちょっとソソられるぞ。出版社の企画に完全にハマッて、中身も開かずに買ってしまったのだ。おじさんは、こういうのに弱い(笑)。

そのタイトルからイメージできる通りのせつない話が10編。現在と過去、人と人とを結ぶ役割を、鉄道が果たしている。いつか、どこかで乗ったような、そして見たような風景が車窓を走る。
それぞれよくできているのだが、ほとんどが人の死に端を発した物語で、そりゃセンチメンタルにもなるよなというのが感想。残念ながら、泣けるシーンもなかった(個人的な感想です)。
本当はどれも素敵な作品だったのかもしれない。ただ、それ以上にタイトルと装丁がうますぎて、中身の印象が薄くなってしまった、そんな一冊だった。

帯と同じ体裁で、三日月形のしおりが挟まれているニクい演出。ただ、実際にはとても使いづらい(笑)。