とっても気を引く日本家屋だったので、自転車を停めて写真を撮ったのだが、まさかこの家の屋根から電信柱がニョッキリ飛び出ていたことに、そのときは全く気づいていなかったのだ(今よく見たら前の屋根の向こうにちょっとのぞいている)。
というわけで、この家とその家主に迫った『ミドリさんとカラクリ屋敷』(鈴木遙著 集英社刊 1500円+税)という話題のノンフィクションを読んだ。
著者は高校生の時に、屋根から突き出ている電信柱が気になって自転車を停めたのだそうだ。そして、家主のミドリさん(現在97歳)の人生と、この家に隠されたカラクリを解明していく。
筆致がイマドキというか、ブログ風というか、軽快なのでサラリと読み進めることができる。そのぶん普通であればもっとドラマチックに描かれていそうな場面も、あっさり終わってしまう印象。ちょっと物足りない気がしないでもないが、それがかえってミドリさんを語るにはピッタリなのかもしれない。
電信柱の見た目のインパクトはすごいけど、実はそれは氷山の一角…というか屋根瓦の1枚に過ぎなかったこともよくわかる。
そしてこの本を読むと、誰もがミドリさんのお宅をのぞいてみたくなり、併設の「みどり荘」の住人になってみたくなるはずである。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます