あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

瀬戸内シーカヤック日記: 瓢箪島&大山祇神社、そして大漁

2010年01月11日 | 旅するシーカヤック
2010年1月10日(日) 土曜日は出勤日だったので、この週末の休みは日曜と月曜。 1月の内には一度、海の神様である『大山祇神社』に参拝しておきたいということで、久し振りに大三島を訪問することとした。
せっかくだから、前から気になっていた大三島の食事処/居酒屋もチェックする事にしよう! という訳で、今回は車中泊での一泊二日の旅。
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朝、しまなみ海道に向けてニヤックを積んだアテンザワゴンを走らせながら、『さあて、今日はどこで漕ごうかな?』
夜は大三島で車中泊することは決めているのだが、それ以外は行き当たりばったり。 いつも通り、『風の吹くまま気の向くまま』の、風来坊の旅である。

しまなみ海道を走っていても、天気はいま一つ。 気温もそれほど高くなく、なんだか長距離を漕ごうという気にならない。 『ようし、今日は瓢箪島にするか!』、という訳で生口島でICを降り、浜へと向かった。
 
瓢箪島と言う事で、片道20分程度のお散歩ツーリング。 少し風があるものの、今日は潮が小さく、この辺りを漕ぐには絶好のコンディション。
 
瓢箪島をグルリと回り、浜に上陸。
いつもの様にストームクッカーでお湯を沸かし、最近お気に入りの『金ちゃんヌードル』とおむすびで、簡単なお昼ごはん。

冬の静かな瀬戸内の海。 誰も居ない小さな無人島の浜で、独り静かに海を眺め、風を感じ、ゆったりと過ごす一時。 私には、こんな時間が必要なのだ。
 
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浜に漕ぎ戻り、シーカヤックと道具を片付けると、瀬戸田の町を散策。 まずは、歴史民俗資料館へと向かった。

三連休だと言うのに、見学しているのは私一人。 一回りして入口に戻り、受付の年配女性の方に聞いてみた。
『ハゼつぼ、というのがあるんですね。 蛸壺は知っていましたが、ハゼ壺というのは初めてです』 『そうでしょう。 みなさん、珍しいって言われますよ』
『どちらから来られました?』 『はい、呉からです』 『近いんですね』 『ええ、さっき海水浴場から出て、瓢箪島までカヌーを漕いで来たんです。 時間があるんで、久し振りにこの辺りを歩いて見ようと思って』 それからしばしお話を伺う。

『生口島は、今は観光ですけど、昔は漁業や農業の島だったんですか?』 『昔はねえ、塩田が沢山あったのよ。 この近くの沢港のあたりから東に向けて、ずーっと塩田だったそうよ』 『その頃は賑やかだったんでしょうね』 『そうよね。 塩田を経営していた人たちの家は豪邸が多いのよ。 このすぐ傍にもあるけど、土台は墓石にするような大きくて立派な石』

『すぐ隣にある高根島は、みかんの島。 気候が良いから、おいしいみかんができるのよ』 『なるほど。 海のすぐ傍にみかん畑があって、そのうえ地形が急傾斜だから、日当りも良さそうですよね。 大長みかんで有名な、大崎下島の大長もそんな地形です』

『みかん農家はどうなんですか?』 『やっぱりやる人が減っていきよるね。 昔ほど値段は高くないし、作業は大変じゃし、働きに行った方がお金になるもんねえ。 でも高根島は、農家も大きい家が多いし、おいしいみかんができるから、続けよる人が多いよ』 『みかん畑も、やめたら一年でだめになるいうていいますね』 『そう。 それにね、つくるのをやめたら、隣のみかん畑の人らが迷惑なんよ。 やめたいうて放っといたら、残ったみかんの樹に虫がくるじゃろう。 それが隣の畑にやってきて駄目になる』 『えー、そんなことがあるんですね。 確かにそうだなあ』

『いろいろ教えてもらってありがとうございました。 今から商店街を散歩してみます』 『ゆっくり回っていきんさい』

昔の風情が残る町並みを散策。
 
生口島名物の蛸。 できたての、ズラリと並んだレモンケーキ。
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しまなみ海道で、今日の宿泊予定地である大三島へ。 今回の目的、海の神様である『大山祇神社』に参拝する。
 
『今年一年、海旅の安全を見守って下さい』

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参拝の後は、港までの古い商店街を散策し、お気に入りの温泉マーレグラッシアで潮抜き。 『あー、さっぱりした!』

お風呂から上がると、ちょうど日没前。 海沿いにクルマを停め、しばし瀬戸内の夕暮れを堪能した。
 
刻一刻と移り変わる、妖しく美しい瀬戸の夕日。 これだけでも、ここまで来た甲斐があると言うものだ。
 
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駐車場にクルマを停め、荷物を片付けて車中泊の準備を終えると、今日の夜の目的である『大漁』へ。

ここは、ネットでも評判の食事処。 セルフサービスのお店だが、お昼には行列ができるほどの人気店だとか。
でもせっかくなら、ゆっくりと一杯飲りたいというのが人情だ。 と言う訳で、今日は車中泊とあいなった。
 
ガラリと引き戸を開けて店に入ると、ほぼ満席。 『ごはんものですか? 今日はもう、丼ものや寿司はできそうもないんで』 『いや、お酒が飲めればと思って来たんですが』 『そうそう。 そういう人ならちょうどいいよ』

ズラリとならぶ料理の数々。 冷蔵ケースには刺身やサラダ、漬け物、冷や奴も。 これはいいなあ。
『生ビール一つ下さい』 ビールをグビリと飲り、おいしい蛸天をガブリ。 『旨いなあ!』

『あの、今なら丼ものが少しだけできるそうですけど』 『じゃあ、海鮮丼お願いします』
 
『はい、海鮮丼。 これ、ごはんが酢飯になってますから』 小振りの丼ではあるが、たっぷりと刺身が載ってなんと380円也。 安いなあ!

ビールを飲りながら、お店の方々とお話しさせていただく。 カウンター席のすぐ後ろがレジになっているので、お店の人とお話しするにはちょうど良い場所なのだ。

『このお店はいつからですか?』 『始めたのは5年位前かね』 『夜は地元のお客さんが多いんですか?』 『そう。 昼は、観光客の人が多くて入れないから、地元の人は夜に来てくれるんですよ。 それに、昼は待ってる人が多いから、落ち着いて飲める雰囲気じゃないし』
『いやあ、そうですか。 やっぱり夜来て正解でした。 それと、このカウンターがなんだか落ち着いて良い感じです』 『そうでしょう。 席が一杯で、こっちに座ってもらったら、ここで良かったって言う人が多いんですよ』

『ところで、この近くの商店街は、昔は賑やかだったんでしょうね』 『橋ができる前は、みんな船で来てたでしょう。 そのころは、それは賑やかだったですよ。 春市の時なんか、沢山の屋台が出て、学校も休みになってました。 その頃の子供は、春市が楽しみでしたねえ』
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『すみません。 お酒、ぬる燗で』 『はーい』
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『うちはねえ、リピーターが多いんですよ。 それと、ネットの情報とか口コミで来て下さる人が多いんです』 『それは分かりますよ。 雰囲気もいいし、おいしくて安い。 俺もまた絶対来ますよ』 『来た時に私がもし顔を忘れてたら、前来た時にカウンターで飲みました、って言って下さいね。 そうすれば思い出すと思うから』

『なんだか、さっきから味噌汁を注文する人が多いですね』 『ええ、意外と人気なんですよ。 四国の今治や松山は麦味噌が多いんだけど、本州側は違うらしくて、広島から来られた人たちは珍しがって気に入って下さるんです』 『じゃあ、私も一杯いただけますか』

『お酒、無くなりました? 飲み終わったら出しましょう』 『はい、もう少しでなくなるんで、大丈夫です』

〆の味噌汁。 うーん、香ばしい匂い。 『これ、好い香りがしますね』 『そういってもらえると嬉しいです』
一口すすると、『おお、これは美味い!』

おいしい料理とビール、お店の方々との楽しいお話、そして〆は絶品味噌汁。 これはまた良い店を見つけたなあ。
大三島に通う頻度が高くなりそうだ!
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大満足で駐車場に戻り、久し振りの車中泊。 翌朝は、天気が良ければ漕ごうと思っていたが、あいにくの曇り空。
しばらくすると、ポツリポツリと雨も落ち始め、家路につくことにした。

瓢箪島へのお散歩ツーリングと年始の大山祇神社参拝、そして念願だった『大漁』での一杯と、冬のしまなみ海道をたっぷりと堪能した週末。 これからも『しまなみ』の穴場を、少しずつ発掘していきたいなあ!
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