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この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

シューテム・アップ。

2008-06-02 22:49:54 | 新作映画
 マイケル・ディヴィス監督、クライヴ・オーウェン主演、『シューテム・アップ』、6/1、ユナイテッド・シネマキャナルシティ博多にて鑑賞。2008年24本目。

 映画に、必ずしも中身は必要ないのだと気づかされたのはアン・リー監督の『グリーン・ディスティニー』を観てのことだったと思う。この場合中身とはメッセージ性や説得力のあるストーリーを指す。
 『グリーン・ディスティニー』には恐ろしいほど中身がない。
 何しろチャン・ツィイー演じるヒロインはお姫様でありながら伝説の宝剣『グリーン・ディスティニー』を狙う盗賊なのだ。さらに家庭教師(つーかばぁや)は悪名高き女盗賊だったりする。何ゆえ高貴な生まれのお姫様が女盗賊と師弟関係にあるのか、(見ているだけでは)さっぱりワケがわからない。
 さらにラストシーンではこのお姫様、なぜか唐突に断崖絶壁からダイブしてしまう。なんで?そんなに水浴びでもしたかったのか?さっぱりわからない。
 わからないことだらけの『グリーン・ディスティニー』だが、すこぶる面白い。ワンシーンワンシーンが魅力的で、戦闘は手に汗握る迫力である。
 ジェイソン・スティサム主演の『アドレナリン』にも中身がない。
 だが、自分が『アドレナリン』を観て、つまんないなと思ったのは中身がないことではなく、ワンシーンワンシーンが本当に思いつきで撮られたような感じで、作り手の熱い思いがまるっきり伝わってこなかったからだ。中身はなくても構わないが、手抜きはいただけない。
 で、『シューテム・アップ』である。この映画もまた中身がないことに関しては負けていない。とりあえずストーリーと呼べるものはあるが、それを語るのが馬鹿馬鹿しくなるぐらいにしかない。ツッコミどころも多々ある。
 例えば敵のアジトに乗り込んでやりたい放題トラップを仕掛ける主人公がなぜ自分の隠れ家には警報の一つもつけないのか?また中盤ではしっかりと防弾ジャケットを着込んでいた敵の親玉が(演じるはポール・ジアマッティ!『レディ・イン・ザ・ウォーター』の善人役よりもこっちの方がはるかにお似合い。)クライマックスではそれを身につけていないのはなぜか?さっぱりわからない。
 だがそんなツッコミどころもどーでもいい、と思えるぐらいに『シューテム・アップ』は面白かった。
 ワンシーンワンシーンから、監督であるディヴィスの「俺はこういうシーンが撮りたいんだよ!!」という叫びが伝わってくるようで、その熱い思いが込められたアクションは見ていて思わずニヤリとさせられてしまう。
 良識のある人には到底薦められないけれど、例えばピーター・ジャクソン監督の『ブレイン・デッド』のようにやりすぎ感、突き抜け感溢れる作品が好きだ、という人は必見。

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★☆(★は五つで満点、☆は★の半分)。
コメント (5)
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