この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

いつか君に。♯プロローグ

2015-07-17 22:22:59 | プロット
 ♯プロローグ:中学2年の頃の私は本当にどうしようもなく莫迦だった。

                    *

 中学2年の頃の私は本当にどうしようもなく莫迦だった。
 通知表には1と2の数字が並び、学期テストの成績は学年最下位が定位置で、授業中教師に当てられることもほとんどなく、稀にあったとしても私はそれをへらへらと笑ってやり過ごした。
 私が莫迦なのは、自分が莫迦であることを家が貧乏であるせいにしていたことだ。周りの同級生は塾に通っているのが当たり前で、家庭教師を雇っている者も珍しくなかった。だから、家が貧乏で塾に通うことが出来ない自分が莫迦なのは仕方がない、そんなふうに考えていた。
 本当に莫迦としか言いようがない。
 家が貧乏で、頭は恐ろしく悪くて、大して可愛いというわけでもなく、これといった特技もない、そんな私はイジメの対象となったとしても何ら不思議はなかったのだけれど、そうならずに済んだのは偏に「イジメなんてくだらないことをする奴は僕が許さないからな!」というオーラを発した男の子がクラスにいたからだった。
 彼の名前は武上一樹といった。
 武上君は、容姿端麗、成績優秀、運動神経は抜群、おまけに性格もよくて、私みたいな莫迦な子も他の子と同様に何ら分け隔てなく接してくれた。
 そんな武上君はクラスのリーダー的存在で、かつ学年一の人気者でもあった。
 武上君に憧れる女の子は多く、彼の周りにはいつも取り巻きの子たちが絶えなかった。私はただ遠くから眺めているだけだった。
 ある日の放課後のこと、教室の窓際の席に腰かけ一人頬杖をついている武上君を見つけた。
 私から話しかけたのか、武上君から話しかけてくれたのかは覚えていない。私にそんな勇気があるとも思えないから、きっと彼から話しかけてくれたんだろうと思う。
 彼は話も巧かった。私の言葉におだやかな笑みを浮かべ、相槌を打ってくれた。どんな話をしたのか、舞い上がっていたのでよく覚えていない。神様、ありがとう!私は生まれて初めて神様に感謝をした。この時間が永遠に続けはいいのに、そんなふうに思ったりもした。
 その言葉に深い意味はなかった。当時の私にとって口癖のようなものだったから、深く考えることもなく、その言葉を口にした。
 私って莫迦だから。
 深い意味なんてなかった。太陽が東から昇って西に沈むのと同様、私が莫迦であることは私にとって永遠の真理だった。そのことを疑ったこともなかった。
 だが、その言葉を耳にして、武上君の顔から笑みが消えた。
「あのさ」
 武上君が改まって言った。
「早宮さんのことを他の人が何て言ってるか、そんなことは知らないよ。でも、自分で自分のことを莫迦だなんて言って、それでどうするの?何か変わるの?」
 彼は椅子から立ち上がり、私の傍を離れ、教室のドアのところまで行って一度だけ振り返った。
「ろくに努力もしないくせに自分のことを莫迦だなんて言ってる人、僕は嫌いだな。早宮さんも少しは勉強したら?そしたら世界も変わるんじゃない?」
 夕暮れの教室に私は一人取り残された。

 翌日、学校に行くのが怖かった。
 あの武上君に嫌われてしまったのだ。これまでどうにか平穏無事に学校生活を過ごせたのは武上君の加護があったおかげだ。それが無くなる以上、これからは想像を絶するようなイジメに合うに違いない、そんなふうに思っていた。
 朝のホームルームの時間に、担任の教師が思いがけぬことを言った。
「このクラスの武上一樹君がお父さんの仕事の関係で今度引っ越すことになりました」
 教師に前に呼ばれ、武上君がお別れの挨拶をした。
 これまでこのクラスで過ごせて本当に楽しかったです。いつまでも僕のことを忘れないでください…。
 クラスの女の子のほとんどは泣いていたと思う。でも私は泣かなかった。泣いている場合じゃなかった。
 彼の昨日の言葉を思い出す。
 自分で自分のことを莫迦だなんて言って、それでどうするの?何か変わるの?早宮さんも少しは勉強したら?そしたら世界も変わるんじゃない?
 そのときになってようやくわかった。
 彼は私をいじめようと思ってあんな言葉を吐いたんじゃない。彼は私のために本気で腹を立ててくれたのだ。母親からは何一つ期待されず、教師は匙を投げ、私自身すべてを諦めていたというのに、彼だけが唯一、そんな私を見て歯痒く思い、腹を立ててくれた。
 彼にいじめられるかもしれない、そんなふうに思った自分を私は恥じた。

 次の日から私は勉強を始めた。
 最初の頃は何もかもがわからなかった。九九も満足に言えず、漢字は右と左のどちらが右を指し、どちらが左を指すのかすらわからなかった。
 突然勉強を始めた私はクラスメイトの嘲笑の的となった。イジメにも合った。ひどいことも言われた。
 けれどそれも当然だった。何しろ学年で最も莫迦な生徒が何を血迷ったのか、突然勉強を始めたのだから、物笑いの種になったとしても仕方がない。 
 だが私はそれを気にしなかった。
 私が莫迦だと思われたくない相手は世界で唯一人しかいなかった。
 勉強を始めたころは何もかもわからなかった。だが、やがて何がわからないのかがわかるようになった。少しずつ、ほんの少しずつ、一日ごとにわかることが増えていった。
 彼の言う通りだった。
 勉強を始めて、世界は少しずつ変わっていった。世界は驚きと喜びに満ちていた。昔の私はそのことに気づこうとしなかったのだ。
 学期テストの成績も少しずつ上がっていった。通知表に1と2が並ぶこともなくなった。授業中当てられても臆することもなくなった。
 すべては武上君のおかげだった。
 いつか彼に会えたらありがとうって感謝の気持ちを伝えたい。  



                               第一話には続きません。
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恋愛の女神様!!

2008-09-05 22:12:12 | プロット
 プロット第二弾『恋愛の女神様!!』。

 遠野宮(とおの・みや)は「恋愛の女神(様)」の異名を持つ恋愛アドバイザー。彼女に相談すればどんな恋の悩みもたちどころに解決するといわれている。歯に衣着せぬ発言が売りの彼女はその美貌もあいまって、テレビでは見ない日がないほどの売れっ子でもある。
 が、本当の彼女は極度の男性不信、かつ男性恐怖症で、男性と二人きりではまともに話すことも出来ない。もちろん処女。
 そんな彼女がテレビ番組の企画で「モテない君」をプロデュースすることになるのだが・・・。

 もし自分が月9の企画を依頼されたら、という仮定(というか妄想)の上で考えたプロットです。
 松任谷由美といえば、いうまでもなく恋愛ソングの大家(「おおや」ではないよ?)じゃないですか。でもぶっちゃけいわせてもらうと彼女に恋愛経験が豊富だとはどうしても思えないのです。極端な話、松任谷正隆とは処女で結婚したんではないかとさえ思われ、、、さすがにそれはないか。笑。
 ともかく恋愛(論)を語るのに必ずしも恋愛経験は必要ではないのではないか、という考えからこの話を思いつきました。

 このお話は男性版『マイ・フェア・レディ』でもあります。
 最初はどうしようもなくイケてなかったヲタクが宮のプロデュースによってイケメンになっていく過程は世の女性の興味を惹くんじゃないでしょうか。女性であれば誰しも自分の彼氏をもっとカッコよくしたいという願望を持っているのでは?
 もちろんその過程において宮とモテない君は恋に落ちるわけですが・・・。

 最終話はこんな感じ。

 すべての恋愛相談をマニュアルで解答することに限界を感じていた宮は、ある日とうとう自分がまったくの恋愛初心者であることを番組のコーナーで告白する。
 静まり返るスタジオ。一人のADが拍手をすると、それに連られるように拍手の波は広がっていく。
 スタジオを後にした宮にかつてモテない君で、今は新進の売れっ子俳優になった(!)上沢緑(かみさわ・りょく)が声をかける。
緑「お疲れ様」
宮「カッコ悪かったかな、わたし?」
緑「宮さんはいつでもカッコいいよ」
宮「そうかな。(照れる宮)どうしたの、今日は?」
緑「話があったんだけど、今日はいい」
宮「気になるなぁ。はっきり言いなさいよ」
緑「今度、熊村監督がハリウッドで映画を撮ることになった。一緒に行かないかって誘われている」
宮「すごいじゃん!!」
緑「でも、こんな宮さんを置いて、一人でアメリカになんて行けない」
 緑の言葉に拳を固めてグーで殴る素振りをする宮。
宮「私を誰だと思ってるの?私は『恋愛の女神様』なんだから。一年や二年一人でいたって平気なんだから」

 四年後、地方のラジオ局のパーソナリティになっていた宮の元にハリウッド大作の準主役に緑が抜擢されたという報が飛び込んでくる。懐かしく思う宮。緑がアメリカに行って以来、彼とは音信不通だった。
 仕事を終え、宮が通用口から外に出るとそこには緑がいる。
緑「ただいま」
宮「おかえり、、、え?アメリカにいるんじゃないの?映画の撮影は?」
緑「撮影はとっくに終わってるよ。今はプロモーションもあって日本に戻ってきてる」
宮「どうして今まで連絡を寄越さなかったの?心配したんだから」
緑「どうしてって、、、一人前になるまで泣きを入れるんじゃないって言ったのは宮さんじゃないか」
宮「(苦笑しながら)額面通りに受け取らないで」
緑「そうか。恋愛経験が豊富な方じゃないからわからなかったよ。それで、どうかな、ボクは一人前になれたかな?」
宮「一人前になったかどうかを人に聞いてる時点で一人前じゃない」
 宮の言葉に肩を落とす緑。
 宮は続ける。
「って、何かのマニュアルに書いてあった。定かではないけどね」
 微笑む宮。二人は手を繋いで歩き出す。

 主な登場人物。
 遠野宮・・・本編の主人公。「恋愛の女神(様)」の異名を持つ恋愛アドバイザー。しかし実はまったくの恋愛初心者。究極のマニュアル人間でもある。
 上沢緑・・・宮によってプロデュースされる「モテない君」。二次元美少女をこよなく愛するキモヲタだったが・・・。
 玉村千早・・・宮の親友。宮の本性を知る数少ない一人。恋愛経験が豊富。
 木戸幸太郎・・・宮の出演するテレビ番組の下っ端AD。彼女のことを崇拝している。ストーカー、その1。
 竹内一哉・・・宮のことをかぎまわるパパラッチ。ストーカー、その2。
 城元巧・・・宮を口説こうとするイケメンアイドル。ストーカー、その3。
 熊村慎吾・・・ドラマ監督。思いっ切り口が悪い。

 例によって、このお話とまるっきり同じ少女漫画がありましたよ、とか、このプロットってあの映画を思い出させますよね、といったコメントは不要です。よろしくお願いします。
コメント

ゾンビ侍。

2008-08-28 00:56:26 | プロット
 小説を書かなくなって随分たちます。
 小説を書かなくなった理由は、小説を書く理由がないからです。
 ん?日本語が変かな?
 ま、ともかく、理由がないと小説なんて書けるもんじゃないです。
 熱心な愛読者がいるわけじゃなし、書きたいと思う欲求があるわけじゃなし、創作活動なんてものは労多くて得るものなし、おそらくもう生涯小説なんて書かないんじゃないかな、と思います。

 とはいえ、小説のアイディアだけはぽこぽこと頭の中に沸いて出て、それをそのまま捨て置くのも勿体ないよーな気がするので、プロットという形で残していこうかと思います。
 そのプロットの記念すべき(かどーかはわからない)第一弾が『ゾンビ侍』。

 時は戦国時代。
 君主三雲成久より佐鳩村(さばとむら)の死人返りの噂の調査をするように命じられた村上誠十郎。単身佐鳩村に赴く誠十郎だったが悪辣な罠にかかり、彼自身も生き死人にされてしまう。
 だが彼の幼馴染であり、想い人である咲輝姫への思慕の情が誠十郎から人間の心を失わせないのだった・・・。

 まぁストーリーに特に捻りはないです。ゾンビものに時代劇を組み合わせたら面白いかと思った、ただそれだけ。
 ゾンビものって基本的に武器は銃じゃないですか。その銃の弾が切れたらあとは手近なものを武器にして応戦するってことが多い。
 でもどーせならゾンビを日本刀でバッサバッサとぶった切っていったら、さぞかし爽快なんじゃないか、そう思ったわけです。
 ほら、今現代劇で主人公が日本刀を振り回したら何かと問題になるじゃないですか。時代劇だってほとんど血飛沫の出ない決闘シーンがあったり、何かと制約が多い。
 でもその点相手がゾンビだったら遠慮は無用、胴体を真っ二つにしようが、頭から唐竹割りしようが、どんな残酷な殺し方、いや、倒し方をしても問題ないわけです。何しろゾンビなんだから最初から死んでいる。笑。

 このお話、特に捻りはないのであまり深くは考えてないのですが、最後のシーンだけは決めています。
 
 最後の生き死人を倒した誠十郎は刀を地面に突き刺すと手近な岩に腰を下ろす。
 彼の背後で朝日が昇る。
 朝日を眺めて感嘆する誠十郎。
「朝日とは何と美しいのだ・・・」
 それだけをつぶやくと彼の体はゆっくりと崩れていき、やがて塵と化してしまう。
 
 このラストはいいんじゃないかって自分では気に入ってます。
 誰か映画化してくれんかいな?笑。

 あと、同じようなプロットの映画はすでにあるよ~という情報や、このお話、あのゲームに似てるよねー、とかいうツッコミは別に欲していませんので、そこのところ、よろしくお願いします。
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