この世界の憂鬱と気紛れ

タイトルに深い意味はありません。スガシカオの歌に似たようなフレーズがあったかな。日々の雑事と趣味と偏見のブログです。

デス・レース。

2008-11-30 21:53:10 | 新作映画
 ポール・W・S・アンダーソン監督、ジェイソン・スティサム主演、『デス・レース』、11/30、TOHOシネマズトリアス久山にて鑑賞。2008年53本目。

 最初、『デス・レース』を観るつもりはまったくありませんでした。
 だって、あの(出来の悪い方のアンダーソンといわれる)ポール・W・S・アンダーソン監督ですよ?期待しろ、というのが無理ってもんじゃないですか。
 それなのになぜ観ることにしたかというと、この日『SAW5』を観る予定だったのですが、遠出したついでにどーせならもう一本観るか、と単純に思ったからです。
 そのもう一本にしても『デス・レース』を観るか、それとも『ディー・ウォーズ』を観るか、イマイチ決め切れませんでした。最終的にこちらを観ることにしたのはテレビブロスの映画紹介でよさげなことが書いてあったからです(三本ハシゴをするのはきつい)。
 これでもし『デス・レース』がつまらなかったら、テレビブロスに文句の一つでもいってやるところだったのですが、、、
『デス・レース』、めっちゃくちゃ面白いじゃん!!
 いやぁ、ブロスを信じてよかったです。

 ストーリーはないに等しいし(あるにはある)、重箱の隅を突付こうと思ったら突付き放題の作品ではあるんだけれど、とにかく凶悪なカスタム・カーとそのカスタム・カーが次から次へとクラッシュするレースシーンが超カッコいい!!
 今年は同じくカスタム・カーが登場する『スピード・レーサー』という映画があって、あっちはまるでノレなかったんだけど、いやぁ、こっちは燃えたね。観ていて自分の顔がニヤけてくるのがわかる。スッゲー楽しいの!!
 やっぱりクラッシュシーンはCGでやったって駄目。映画のクラッシュシーンは実際に車をクラッシュさせてナンボ、ってことが本作を観てよくわかりました。
 心に中学生を宿している人には超お薦めです。

 お気に入り度は★★★★、お薦め度は★★★(★は五つで満点、☆は★の半分)です。
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償い。

2008-11-29 20:31:34 | 読書
 矢口敦子著、『償い』、読了。市立図書館蔵書。

 う~ん、、、面白いとか、面白くないとかいう以前に、途中からあることばかりが気になって、まともに読めませんでした。
 気になったこと、それは本作が某有名漫画にプロットや人物設定が酷似してるってことです。
 ざっと書き出してみると、
1.主人公は医者である。ご丁寧なことに両作品とも脳外科医。
2.主人公は以前子供の命を救っている。当時の年齢、本作では二歳、漫画の方は十一歳。
3.成長した子供が主人公の前に現われる。再会時、本作では中学三年生、漫画の方は二十歳。
4.子供(青年)にはいわゆる善悪の観念がない。また常人にはない能力を有している。
5.子供は間接的に幾名かの人間の死に関わっている。一方青年は間接、直接を問わず多くの人間の死に関わっている。
6.子供(青年)は主人公に自らの命を奪うように仕向ける。しかし、主人公はそれを断る。
7.両作品ともテーマは贖罪である。
 どうなんですかねぇ、これって偶然なんでしょうか。
 偶然にしてはあまりに酷似しているような気がするんですけれど。
 まだ調べてはいないけれど、他にも自分と同じように思った人っていないのかなぁ?

 ちなみに、本作の第1刷発行は2001年8月10日、漫画の方は1995年8月1日です。
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不老不死。

2008-11-28 23:55:32 | 蘊蓄・雑学
 地球上には人間の常識では計れない生き物が数多く存在しています。

 例えばクマムシ
 このクマムシなる生き物は(ある条件下においては)温度は151℃の高温からほぼ絶対零度(0.0075ケルビン)の極低温まで、圧力は真空から75,000気圧の高圧まで、X線は57万レントゲン(ヒトの致死線量は500レントゲン)まで耐えられるそうです。
 75,000気圧とか、57万レントゲンとか、ちょっと想像出来ないですよね。

 またプラナリアは驚異的な再生能力を持ち、前後に3つに切断すれば、頭部からは腹部以降が、尾部側からは頭部が、中央の断片からは前の切り口から頭部、後ろの切り口から尾部が再生されるそうです。
 尻尾から頭が生えるって、ちょっと想像出来ない、、、というか想像したくないですよね。

 クマムシやプラナリアでも充分人間の常識では計れないと思いますが、最近それらを上回ってさらに常識では計れない生き物の存在を知りました。
 何しろその生物は不老不死というのですから。
 その生物とはベニクラゲ
 実は不老不死というのには些か語弊があります。実際のところベニクラゲは不老でも不死でもないので。
 ただこのベニクラゲ、老衰死しないらしいのです。
 人間に例えていえば、寿命が尽き、死にそうになると赤ん坊に戻っちゃう、ってところでしょうか。いうなれば若返り?
 つまり、上手く飼育すれば、一匹のベニクラゲを永遠に生かし続けることも可能なのです。
 まさに常識では計れない生き物といってよいでしょう。
 
 しかし、ここに挙げたクマムシ、プラナリア、ベニクラゲには常識では計れない特徴を持つこと以外にもう一つ共通点があって、それは何かというと極端に環境の変化に弱い、ということです。
 真空にも耐えられるクマムシも死ぬ時はあっさり死んでしまうらしく、それはプラナリアもベニクラゲも同じ。
 そして環境の変化をもたらすのは言うまでもなくたいていの場合人間なんですよね。
 結局地球上で一番常識では計れない生き物って人間なのかもしれません。。。

 ps.ベニクラゲの存在はこちらのブログで知りました。ほぼ毎日更新されている面白ブログです。H画像は必見!!
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20世紀の幽霊たち。

2008-11-27 22:09:11 | 読書
 ジョー・ヒル著、『20世紀の幽霊たち』、読了。購入本。

 新聞やネットでの書評でやたら評価が高かったので(朝日新聞の書評で取り上げられたためAmazon.co.jpなどでは同書の品切れが一週間も続いたそうです)、試しに読んでみました。
 実にバラエティに富んだ幻想小説の短編集でした。
 『悪魔のいけにえ』的ホラーあり、カフカ的な不条理なお話あり、マジック・リアリズムあり、ノスタルジーに充ちた短編あり、なるほどこの短編集に最大限の賛辞を送る人がいるのも頷けるものがありました。
 ただ、個人的にはそこまで気に入らなかったかな。
 イマイチ意味がわからない作品も多くて、、、思わせぶりな終わり方って自分の好みじゃないんですよね。

 それでも中にはいいな、と思える作品もあって、その一番手は『ポップ・アート』。
 二人の少年の友情物語、つまり映画でいえば『マイ・フレンド・フォーエヴァー』みたいなお話なのですが、このお話の何が奇矯かというと一方の少年が風船人間なんです(風船人間といっても馴染みがないので、自分はダッチワイフをイメージして読みました。たぶん当たらずといえども遠からずだと思います。)。風船人間なので尖ったものが突き刺さると破裂してしまうのです(なので彼らは一般的に短命という設定)。
 これは泣けますよ。いいと思います。

 その他に面白く読めたのは作者自身による自作解説である『収録作品についてのノート』でしょうか。
 これを読むことで理解が深まった作品もありましたし、また執筆時のエピソードなどは興味深く読めました。
 ここだけの話、自分にはもう創作意欲はないのですが、以前執筆した中で解説したい作品があるんですよね。読んでも意味がわからなかった!といわれることや誤読をされることがやたら多かったので。。。
 そのお話がこれ
 最後は自作の宣伝になっちゃいましたね。すみません。汗。 
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37インチ。

2008-11-26 23:23:31 | 日常
 37インチの液晶テレビが我が家にやってきました。
 シャープのアクオスです。これからは「あっくん」と呼びたいと思います。
 よろしくね、あっくん♪

 それにしてもさすがは吉永さゆりが宣伝するだけあって画像が綺麗なこと!!(吉永さゆりはあんまり関係ないやろ。。。)
 今までのテレビは画像が映し出されるのは画面でしたが、液晶テレビはスクリーンって感じです。いや、単に横文字にしたってだけじゃなく、映画館のそれに近づいたって意味で。

 ブログ仲間のshit_headさんが『インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』をDVDで鑑賞して、サイコーでした!とかレビューを書いてたので、自分は「(DVDで見て絶賛するぐらいなら)素直に劇場で観ればよかったじゃないですか」って説教しました。
 そのときは「スピルバーグもDVDで見て欲しくて『インディ4』を作ったんじゃないよ!!」とか思ってたんですけど、あっくんを見ていると、何だか映画って劇場で観なくてもいいんじゃね?って気がしてきます。

 ここまで家庭でのDVD鑑賞環境がよくなると、映画館で映画を観る、唯一のメリットってDVDに比べ半年(前後)早く鑑賞することが出来ることだけで、それ以外はデメリットばかりのような気がします。
 まず、何といっても鑑賞料金が高い。
 映画館で映画を観ようと思ったら、前売り券で1300円、正規の料金だと1800円もします。それに比べDVDだと新作レンタルでも400円程度ですしね。
 それに映画館だと鑑賞中にトイレに行きたくなっても、「ここで止めとって!」って頼むわけにはいかないですしね。
 それに人気作となるとどこぞのオッサンと肘をつき合わせて観る羽目になりかねませんし、それどころか最悪「この回の上映のチケットは売り切れとなっています」なんてことにもなりかねませんし。

 というようなデメリットばかり考えていたら映画館で観る気が失せてきました。
 元々自分はそんなに映画館で映画を観る人間ではなかったのです。
 どちらかというとビデオでだらだら~と見る方でした。
 それがなぜ年間50本以上のペースで映画を観るようになったか。
 理由は単純、ブログで記事にするネタがなかったから、それだけです。
 どうせ記事にするなら情報鮮度のよい新作映画のことを記事にした方が受けがいいんじゃないか、いいんじゃないか、そう思ったのです。

 でも、、、『ブラインドネス』のレビュー記事もそれなりに気合いを入れて書いたのに(あれで気合いを入れてんのかというツッコミは不可!)、誰からもコメントをもらえませんでしたしね。自分が新作映画についてどーたらこーたらいったところでそんなに意味があるとも思えない(お、やさぐれてるよ。笑。)。
 よーし、決めた、来年の年間鑑賞数は30本程度にしよう。本当に観たいと思える作品だけを観よう。今年みたいに目に付いた作品を片っ端から観るってことは止めよう。
 というわけで、来年はお世話になります、あっくん♪(それにツタヤもね。笑。) 
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テレビのない生活。

2008-11-25 22:36:54 | 日常
 一階の居間のテレビが壊れました。
 元々調子はよくなくて、TBSなんかはまともに映らなかったんですけれど、それでもまぁいいや、一局ぐらいと気にせずそのテレビで見てました。
 でも昨日の夜になって、電源を入れても十秒後ぐらいに勝手にプツッと切れるようになってしまって・・・。
 購入して九年になるのかな、よく働いてくれたと思います。
 昨日もお袋が毎週楽しみにしている『イノセント・ラブ』までは見れたそうです。
 まぁ最後のご奉公だったのかもしれませんね。

 おかげで今朝は『目覚ましテレビ』が見れませんでした。『目覚ましテレビ』というか、その中のお天気コーナーの愛ちゃんの笑顔が見れませんでした。
 せっかく愛ちゃんが自分のために毎朝微笑んでくれてるっていうのに・・・(おぃおぃ)。
 ゴメンよ、愛ちゃん。。。

 今週末は新しいテレビを買いに行かなくっちゃなぁ、それまではテレビのない生活だなぁ、テレビを選ぶのも何だか面倒臭そうだなぁ、なんてことを考えながら日中過ごし、帰宅した自分にお袋が一言。
「明日、新しいテレビが来るから」
 はやっっっ!!!もう購入の手続きまでしてきたんですか!!
 我が母親の行動力に息子ながらびっくりしてしまいました。
 というわけでテレビのない生活は一日で終わりそうです。
 よかったね、愛ちゃん♪
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武士道セブンティーン。

2008-11-24 21:46:40 | 読書
 誉田哲也著、『武士道セブンティーン』、読了。

 当初の読書予定では三連休は『20世紀の幽霊たち』(ジョー・ヒル著)を片付け、『償い』(矢口敦子著)を読もうと思っていたのだけれど、『ブラインドネス』を観た帰りに図書館に寄ったら、『武士道セブンティーン』を借りることが出来た。望外♪

 剣道に青春をかける二人の少女、香織と早苗。まったくタイプの異なる二人が反発し、認め合い、切磋琢磨して成長する姿を描いたのが前作『武士道シックスティーン』だった。
 前作のラストで早苗が転校し、離れ離れになった二人のその後のお話が本作『武士道セブンティーン』だ。
 前作も面白かったけれど、本作も負けず劣らず面白い。面白いってだけじゃなく、上手いんだよね。
 前作では転校した早苗が何ヶ月も香織に連絡を取らなかったというふうに書かれていて、そんなことってありえるのかなぁと思ったのだけれど、本作ではそこのところもきちっと説明されていて、なるほどなぁって納得してしまった。
 
 香織と早苗を始め、前作から引き続いて出ているキャラは相変わらずいい味を出しているし(個人的に《魔性の女》河合サンが好き。笑。)、新キャラがこれまた魅力的なのだ。
 特に最終盤になってのあるキャラの、ほとんどアクロバティックな豹変振りには読んでいて思わずニンマリしてしまった。カッコよすぎる。

 ただ、本書を読んでも武士道が何たるかはよくわからなかった。
 あるキャラの台詞を引用。
「試しにいつもの剣道を木刀でやってみればよか。メンも、ドウもコテも、どこを叩いても、まず相手は死んだりせん。その代わり、一発で、戦闘能力を奪える。頭蓋骨が割れる。手首の骨が折れる。肋骨が折れる。(以下略)」
 えーっと、お言葉を返すようですが、手首の骨や肋骨ならばともかく、頭蓋骨が割れたら、下手しなくても相手は死んじゃうと思うけどなぁ。
 まぁでも武士道を理解出来なくても、本作は充分面白いですけどね。笑。
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映画についてわからないアレコレ。

2008-11-23 23:00:51 | 新作映画
 自分でいうのもなんですが、自分は結構映画を観る方です。なので、映画の情報についてもそれなりに詳しい方だと自負しています。
 でもネットで調べても結構わからないことって多いんですよね。
 今日は自分がどーもよくわからなかった、映画についてのアレコレを書こうと思います。

 まずわからないのが『007/慰めの報酬』の公開日。
 公式サイトを見ても2009年1月公開としか書かれてない。映画館の近日公開作品の一覧を覗いてもそれは同じ(11/23現在)。
 もう十一月も下旬だよ?そろそろデパートのおせち料理の申し込みも締め切る頃だよ?サンタもプレゼントを入れた袋をそりに積み込む頃だよ?(それにはまだ早いか)
 なのに、何で一月公開の映画の公開日がはっきりしていないの?
 これじゃ、せっかく可愛い彼女から「『007/慰めの報酬』が公開されたら一緒に観に行きましょうね♪」って言われてるのにデートの日も決められないよ!
 ・・・・・。
 ゴメン、ちょっと嘘ついてました。何が嘘かは言いたくねぇ。

 まぁいいよ、『007/慰めの報酬』はとりあえず一月には間違いなく公開されるみたいだから。
 公開されるかどうか、はっきりしないのが乙一原作の『GOTH』。正確には九州で公開されるかどうか、ってことだけど。
 乙一は贔屓の作家なので、彼の原作の映画は観ることにしてるのだけれど(中にはひどいのもあるけどね)、この『GOTH』は公式サイトを見ても公開劇場の情報が一切載っていない。
 公開劇場の情報が一切載っていないってことは九州での公開は未定ってことでしょ?という人もいるかもしれない。実は自分もそう思います。
 ただ、ローソンに行くとこの映画の前売り券が売ってるんだね。しかも全国共通鑑賞券。全国で鑑賞出来るってことは全国で公開されるってことだよね?でも九州では公開未定なの?前売り券は購入してもいいの?しない方が賢明なの?
 うむむむむ、わからんなぁ。

 でも一番わかんないのが『ヘルライド』という映画。
 アメリカでは二週間で打ち切られたそうです。
 別にそういう映画があってもいいとは思うけど、でも何でそんな不人気な作品が曲がりなりにもシネコンで上映されるのかがさっぱりわからない。これを上映するぐらいならまだしも『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』の上映舘数を増やして欲しいよ。こちらは全米No.1ヒットなんだし。
 配給会社にはタランティーノに心酔している輩でもいるんだろうか?
 ほんと映画って、よくわかんないことが多いです。
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ブラインドネス。

2008-11-22 23:49:18 | 新作映画
 フェルナンド・メイレレス監督、『ブラインドネス』、Tジョイ久留米にて鑑賞。2008年52本目。

 フェルナンド・メイレレスの長編劇場デビュー作『シティ・オブ・ゴッド』は衝撃だった。残念ながらDVDでの鑑賞だったのだけれど、ブラジル版『仁義なき戦い』にはスゲーもん見たな、っていう気にさせられた。
 続く第二作『ナイロビの蜂』も、突然妻を亡くした男が彼女の足跡をたどるというストーリーそのものは好みではなかったけれど、作品的には決して悪くなかった。
 そして第三作がこの『ブラインドネス』である。
 期待するなといっても無理な話だと思う。

 世界が突然それまで存在していなかった不条理な脅威に襲われ、崩壊するというプロットだけでいえば、同様の作品はごまんと存在する。
 近作でいえば『ミスト』や『ハプニング』、『アイ・アム・レジェンド』、『28週後・・・』などそれに当たる。
 つまり、世界が崩壊するというプロット自体はありきたりであり、脅威の種類そのものが違ったとしても、それは作品の出来そのものとはさほど関係がない。
 作品の真価が問われるとすれば脅威に襲われた人々の姿がリアルに描けているかどうか、ではないだろうか。
 フランク・ダラボンの手による『ミスト』が真に恐ろしかったのは、異次元から現われた不気味な生物よりもむしろ狂信者のババァの存在によるところが大きい。あんなババァが実権を握るような世界にはいたくないなと『ミスト』を観たものならば誰しも思うに違いない。

 さて、『ブラインドネス』である。
《今回は強烈なネタバレあり!!》
 白い闇に覆われるという原因不明の伝染病に感染した患者達はかつて精神病院だった収容所に隔離される。日を追うごとに患者達は人間性を失っていき、やがて少ない配給食糧を巡って争いを始めてしまう・・・。
 重箱の隅を突付くようであるが、隔離されるにいたる過程と収監後の収容所での生活ぶりの描写がいい加減である。言い換えればリアリティがない。
 収監される際、患者達からは携帯電話が没収される。が、それよりも大きいラジオを収容所に持ち込むものもいる。厳重な持ち物検査がされた様子はないのだし、ラジオを持ち込めるなら携帯電話を持ち込む者だって一人ぐらいはいるだろう。誰も彼もが皆素直に指示に従ったというのは如何にも不自然である。
 第三病棟の男が王を名乗り、暴君と化すのだが、彼の要求が笑止である。食料を分けて欲しければ金目の物を持ってこいと他病棟の患者達に要求するのだ。
 だが、だいたいブランド物の高級時計を、それが本物かどうか、どうやって見極めるというのだろう?目が見えていたとしても目利きは非常に困難だというのに。
 作中では暴君の右腕の男が元々盲目の目利き(!)だったというふうにして、観客を納得させようとしているのだが、それは些か無理というものだろう。
 暴君は次に女を要求するのだが、これもやはり不自然に思えてしまう。そもそも病棟の振り分けは収監順のはずなのに、なぜ第三病棟に荒くれ者ばかりで、女性はいないのか?女性たちは暴君に怖れを為して他病棟に逃れたのか?携帯電話は取り上げられるのになぜ拳銃は取り上げられないのか?
 それらの疑問に対する説明がないので、収容所内の暴挙、そして惨劇にもリアリティが感じられず、結果恐怖を覚えることもない。
 映画には時間的な制約があるので、自然と説明が省かれるところもあって当然ではあるが、だが、その人間がそこに存在するというリアリティ、それは細かい描写の積み重ねによってのみ為されるものであるのであり、その演出が不自然だったり、もしくは何らかの省略をしたりするのは駄目だろうと思う。

 もう一つ駄目だな、と思ったのは、あまりに安直な、それゆえほとんど予想不可能といっていいハッピーエンドだった。
 自分はバッドエンドが嫌いだ。だから、どれほど作品としての完成度が高かろうと『ミスト』は嫌いである。
 だが、同様にあまりに安直なハッピーエンドというのも好きじゃない。それって何なの?今までのお話は何だったの?と思ってしまう。
 本作のような唐突なハッピーエンドは、ほとんど作り手の、上手いオチを思いつきませんでした、ゴメンなさい、という謝罪にも思える。そのオチは本当に最初から考えていたオチなの?もしくは、必死に考えて考えて、そして考えてひねり出したオチなの?と問いたくなる。
 まだしも絶望した主人公が自らの目を突いて終わる、というような終わり方の方が物語的には締まる、と思う。
 そして次のシーンで主人公たちが盲目になりながらも、一つの村を形成し、作物を育て、力強く生きていく、というような光景が見られたら、視覚は人間の五感の中で重要な感覚ではあるけれど、それがすべてではない、人間はどれほど過酷な環境であっても生きていけるのだ、というメッセージになるだろう。
 正直、本作のような終わり方では、この作品で作り手が何を伝えたかったか、何を訴えたかったかが、さっぱりわからない。

 後一つ文句をつけたいことがあってそれは何かというと木村佳乃の脱ぎっぷりの悪さ。
 女性たち三人が雨に打たれ、生きていることを実感するというシーンがある。それなりに重要なシーン(のような気がするの)だけれど、他の二人は惜しげもなく裸身をさらしているというのに木村佳乃、一人だけ脱がない脱がない。
 おかげでアングルもどこか不自然なものになってしまった。
 女優として決して脱がないことをポリシーにするのもいいだろう。だが、それならばヌードが重要な意味を持つ作品には出演するなといいたい。また作り手もここで脱がないような女優を起用するんじゃない。 
 もちろん映画『バベル』の菊地凛子のようにとりあえずスッポンポンになればオッケーってものでもない。

 お気に入り度は★★、お薦め度は★★(★は五つで満点、☆は★の半分)といったところです。

 次回鑑賞は『SAW5』(11/28公開)の予定です。
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『ミス・サイゴン』のチケット。

2008-11-21 23:17:06 | 日常
 お袋の誕生日には何を贈るか、毎年考えます。
 母一人、子一人ですからね、それなりのものを贈ってあげたいのです。毎日弁当を作ってもらったりして世話になってますしね。
 っていうか、ぶっちゃけ誕生日プレゼントにかこつけたご機嫌取りといってもいいかも知れません。まぁプレゼントってそもそもそういうものですよね(という考え方は現金すぎ?)。
 花を贈ればそれなりに喜ぶことはわかっているのですが、それは如何にも芸がないように思うので、出来れば趣向を凝らしたものを贈りたいのです(贈り物には趣向を凝らしたいというのは贈り物をする、誰に対してもそう思ってます)。

 去年は綾小路きみまろのライブ(込みのバス旅行)チケットを贈りました。お袋がテレビを見ていてファンだと言ったので。
 ライブから帰ってきたお袋にどうだった?と聞くと「うん、面白かった・・・」とイマイチ返事が冴えませんでした。
 後々になって聞いたところによると、綾小路きみまろ、ライブではテレビでいえないようなネタをするらしいんですよね。つまり下ネタ。それが限度を超えていたらしく、それ以来、お袋は好んではきみまろをテレビで追っ掛けなくなりました。何のためのプレゼントやら。

 今年は何にしよう、と考えていたわけではないのです。何しろお袋の誕生日は1/31なので。笑。
 いつもならば一月に入ってから考えるのですが、新聞に『ミス・サイゴン』の博多座公演の広告が掲載されていたんですよ。そしたらお袋が「観てみたいねぇ」といったので、丁度いいじゃん、来年のプレゼントはこれにしよう、と思った次第です。
 
 思ったのはいいが、チケットの取り方がわからない。何しろ自分は映画こそ頻繁に観に行きますが、コンサートやミュージカル、演劇などの見せもの(?)は観に行ったことがないのです(あまり行きたいとも思わない)。
 とりあえず、『ミス・サイゴン』のHPを見てみました。
 漠然とそのHPでチケットの購入が申し込めるものと思っていたのですが、違いました。キャストスケジュール、座席表、公演日程、観劇料まで載っているのに、なぜだか購入申し込みのコンテンツはありませんでした。それどころかどうやれば購入出来るのか、それすら書いていませんでした。
 ミュージカル、敷居が高いものだろうとは思っていましたが、チケット購入の段階で既にそうだとはさすがに思っていませんでした。一見さんお断りにも程がある。
 という程でもないですけどね、その後もうちょっと調べたらチケットぴあとかで買えることがわかりましたから。なるほど。
 でもその時点でもう一つ問題が発生していました。それは何かというと観劇料。
 高いね、ミュージカル。完全にというか、若干というか、とにかく予算オーバーだよ。

 しかーし、自分にはそういうとき強い味方がいるのです。それは誰かというと生き別れの兄スティーブン(仮)。
 早速スティーブンに電話をしました(生き別れじゃないのか・・・)。
「あー、スティーブン兄さん、今度お袋に誕生日のプレゼントで『ミス・サイゴン』のチケットを贈ろうと思っとるんやけど、よかったらチケット代、半分持ってくれん?」
「えーよー」
 即答する兄スティーブン。持つべきものは頼りになる生き別れの兄ですな。
「それでさー、チケットを購入するのに、カードとかがいるみたいっちゃんね。自分はカードの類いを持ってないけん、よかったらチケットの購入を頼めんかいな?」
 ここまでいくとさすがに図々しいとは思いました。でもカードを持っていないというのは本当で、カードを持っていないと購入が面倒というのも本当です(自分が購入方法を理解していないだけかもしれないけど)。
「あー、えーよ、、、ちょっと待った、それやったらカレン(仮)の方が詳しいけん、後で電話させるわ」
 どうやら義姉のカレンも『ミス・サイゴン』を観たかったようです。
 これまた丁度よかった、だったら一緒に観劇してもらって、その日はお袋をナビゲートしてもらおう(どこまで図々しいんだ・・・)。
 一時間後ぐらいにカレンから電話があって、無事にチケットの購入をお願いすることが出来ました。しめしめ。

 翌日、カレンから仕事中にメール。
『無事チケットの購入が完了しました、チケット代を正月に払ってください、チケット代は・・・。』
 金額を見て「え?」と思いました。だって請求金額がチケット代金全額だったので。
 急ぎメールの返信をしました。
『チケット代の件、了解しました。ただ、チケット代の半分を負担してもらう旨、兄には了解をもらっているのですが。』
 そのメールに対しての返信はありませんでした。

 帰宅後、カレンに電話しました。
「えっとー、チケット購入、ご苦労様でした。チケット代のことだけど兄貴には了解もらってるんだけど?」
「わかった」
 ソッコーで斬られました。違った、切られました。今まで聞いたことがないぐらいの冷たい声でした。
 どうやらカレンは自分たちがチケット代の半分を負担するのが気に食わないご様子(想像ですけどね)。
 でもさぁ、自分のお袋は兄貴にとってもお袋なわけで、兄弟で母親に一つのプレゼントを贈るってそんなに非常識なことではないと思うんだけどなぁ。

 で、『ミス・サイゴン』のチケットが購入出来たことをお袋に報告しました。出来れば誕生日のサプライズにしたかったけど、観劇日は早めに空けてもらわないといけないですからね。
 てっきり喜んでもらえるものと思っていたところ、お袋はお袋で気乗りしない様子。
「あんたと観に行った方が気楽でいいんだけどね・・・」
 ・・・・・。
 いつの間に嫁姑の間が(そこまで)冷え切っていたんですか!!

 ほんと、お袋の誕生日に何を贈るか、難しいです。。。
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