アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

朝鮮(北朝鮮)はなぜミサイル実験を行うのか(上)挑発者は誰?

2023年02月20日 | 日米軍事同盟と朝鮮・韓国
   

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)が18日、ICBM級のミサイル1発を日本海に発射する実験を行いました。岸田文雄首相は「国際社会全体への挑発」だと述べました。日米韓3カ国の外相は訪れていたベルリンで急きょ会談し、朝鮮を非難しました(写真中)。

 朝鮮はなぜミサイルを打つのでしょうか。

 それは米韓の合同軍事演習に対抗するためです。今回も、米韓は今月22日の図上演習に続いて来月中旬から11日間、「2023フリーダムシールド(自由の盾)」と称する合同軍事演習を行うと発表しました。「両国は演習期間中に師団級の合同上陸訓練と20余りの韓米連合野外機動訓練を実施する計画」(18日付ハンギョレ新聞日本語電子版)です。

 さらに今回は、これに米国による国連安全保障理事会(安保理)非公開会議の開催が重なりました。安保理非公開会議は16日午後、「不拡散と北朝鮮」をテーマに行われました。安保理は1月30日にも「北朝鮮の核・ミサイル問題」をめぐって非公開会議を行なったばかりです。

 これに対し朝鮮は17日、「安保理を不法非道な対朝鮮敵視政策の実行機構に転落させようとする米国の策動が、もはや容認できないレベルに達している」とする外務省談話を発表しました(同ハンギョレ新聞)。

 さらに談話は、米韓合同軍事演習についてこう指摘しています。

「米国と南朝鮮が今年中に20回余りの各種合同軍事演習を計画し、その規模と範囲を過去最大規模の野外機動戦術訓練の水準で展開しようとするのは、朝鮮半島と地域情勢が再び緊張激化の渦に陥ることを予告している」「現実は米国と南朝鮮こそ朝鮮半島と地域の平和と安定を意図的に破壊する主犯であることを明確に示している」(同ハンギョレ新聞)

 アメリカはシンガポールで行われた初の朝米首脳会談(2018年6月12日)で、「米韓演習は挑発的、中止により多額の費用を節約できる」(会談後のトランプ大統領=当時の記者会見、2018年6月13日付共同配信)として、合同演習の中止を言明しました。「米韓演習は挑発的」とまで言って。

 ところがアメリカは、この言明をそれこそ一方的に反故にして、合同軍事演習を再開しました。その後の朝鮮のミサイル発射実験はすべてその対抗措置です。

 18日夜のNHKニュースで、朝鮮のミサイル実験についてコメントした元海上自衛隊海将の伊藤俊幸氏は、「やられたらやりかえす。まるで子どものケンカだ」と揶揄しました。しかし、語るに落ちるで、まさに朝鮮は「やられた」から「やりかえす」のです。はじめに「やった」のはアメリカの方です。

 「挑発」しているのはどちらなのか。事実経過に照らせば明白です。

 ところがアメリカは19日、朝鮮のミサイル発射への「対抗」だとして、朝鮮が強く警戒するB1爆撃機を使って韓国と合同訓練を、さらに日本の自衛隊とも合同訓練を行いました(写真右)。自分で挑発しておいて、相手がやり返したらそれを口実にさらにやり返す。これがアメリカのマッチポンプ手法です。

 アメリカに追随する日本政府は一貫して「北朝鮮の挑発」と事実を偽っていますが、それと符丁を合わせて日本のメディアも「北朝鮮の挑発」と言い続けています。
 この事実に反する報道(偏向報道)は朝鮮に対する誹謗中傷であり、政府の朝鮮敵視政策への加担であり、在日朝鮮人への差別を助長するきわめて犯罪的な役割を果たしていることを、メディア関係者、そして受け手である市民は銘記すべきです。

 さらに、日本市民は朝鮮がミサイル実験・核開発を余儀なくされている根本的理由(根源)に目を向ける必要があります。(あすに続く)
この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日曜日記237・三菱重工に向け... | トップ | 朝鮮(北朝鮮)はなぜミサイ... »