アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

韓国・中国の入国制限を独断した安倍独裁政権

2020年03月07日 | 日本の政治・社会・経済と民主主義

    

 安倍首相は5日、韓国、中国からの入国者を2週間隔離(ホテルなどからの外出禁止)し、公共交通機関の使用を禁止すると一方的に決めました(形式は「要請」)。
 1週間前には「全国一斉休校」を突然打ち上げ混乱と批判を広げている最中ですが、今回も韓国には事前の相談・打診はまったくない一方的な決定です。菅義偉官房長官は6日、今回の決定は「専門家会議にかけていない」(参院予算委員会)と認めています。安倍首相の独断専行は明白です。

 安倍首相は今回の措置を新型コロナウイルスに対する「水際作戦」だと言っていますが、すでに日本は国内感染がまん延しています。「水際作戦の段階ではない」とは多くの専門家が指摘しているところです。
 そもそも、日本の国内感染者数は、韓国並みに必要な検査を行えば韓国のそれをはるかに上回ることは確実です。その国が「水際作戦」とは、素人が考えてもおかしな話です。

 韓国のハンギョレ新聞はこう報じました。

 「これまでCOVID-19(コロナウイルス)の感染拡大防止に向け、積極的な動きを見せなかった日本が同日(5日)、突然韓国と中国に対して入国制限措置を取ったのは、東京五輪開催の取り消しがささやかれるなど、危機に直面した安倍晋三首相の“苦肉の策”と見られている。

 日本では横浜に停泊したクルーズ船内におけるCOVID-19の感染拡大への消極的な対処に続き、『検査難民』という言葉がはやるほど、ウイルス検査がきちんと行われていないなど、理解し難い政府の措置に対して国内外で批判が高まったが、今回の措置で局面転換を図るのではないかという分析だ。

 特に、安倍首相が「復興五輪」を掲げ、政治的命運をかけて推進してきた東京五輪が延期または中止になるかもしれないという危機感から、十分に準備もなく性急に決定したという批判もある」(6日付ハンギョレ新聞日本語電子版)

 韓国の文在寅大統領は1日の「3・1独立運動記念式典」で、「過去を直視してこそ傷を克服することができる」と述べる一方、「日本は常に最も近い隣国だ」とし、コロナウイルス感染拡大を念頭に「共に危機を克服し未来志向の協力関係へ努力しよう」(2日付共同配信)と呼びかけました。
 今回の安倍首相の独断専行は、文大統領の協力の呼びかけに後ろ足で砂をかけるに等しいものです。
 韓国の康京和外相が6日、冨田駐韓大使に、「日本の措置は非友好的なだけでなく非科学的だ。速やかな撤回を強く求める」と抗議したのは当然でしょう。
 安倍政権は今回の独断を白紙に戻し、韓国側と協議すべきです。

 今回のことで安倍首相が民主主義をまったくわきまえない独裁者であることが改めて露呈しました。
 ところが国会では、与野党が一体になり、その首相に「非常事態宣言」を許す法改正(特措法改悪)の動きが強まっています。
 独裁者に「非常事態権限」を与えることほど危険なことはありません。絶対に認めることはできません。


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