アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

岐路に立つ「日米同盟」と天皇制の“共存共栄”

2019年07月11日 | 天皇制と日米安保・自衛隊

     

 米トランプ政権は対イラン・中東戦略に同盟国を巻き込むため、「ホルムズ海峡の防衛」を名目にした「有志連合」の結成を言い始めました。安倍首相(日本)へも参加圧力をかけてくることは必至です。
 戦争法(安保法)による集団的自衛権行使の憲法違反が公然と実行される危険が迫っています。 

 トランプ大統領はG20後の大阪での記者会見(6月29日)で、「日米安保条約は不公平」だと言って日本にいっそうの軍事分担(兵器購入含め)を求める姿勢を露わにしましたが、「有志連合」がそれと繋がっていることは明らかです。

 日米安保条約(軍事同盟)はいま、岐路に立っていると言えるでしょう。アメリカの言いなりになってさらに日米軍事一体化・運命共同体化の泥沼へ突き進むのか、それとも根本的に見直して廃棄へ向かうのか。その進路を問う根源的な議論が巻き起こってしかるべきです。

 ところが、日本の政界・政党、メディア、そして「市民」の間から日米安保条約(軍事同盟)を問い直す声は聞こえてきません。日本は依然として日米安保タブーの中です。いったいなぜでしょうか。

 理由は多岐にわたるでしょうが、大きな要因として、(象徴)天皇制の存在、日米安保と天皇制の“共存共栄”関係があると言わねばなりません。

 徳仁天皇が即位して2カ月以上がたちましたが、彼が新天皇として行った最初の”仕事“は何だったでしょうか。「即位後初の国賓」として招いたトランプ大統領と会見、夫婦そろって歓迎して親密さを示したことでした。
 これが、新天皇の国際的なお披露目の舞台となって天皇制の維持・強化に寄与すると同時に、安倍、トランプ両政権にとっては「強固な日米同盟」をアピールする場になったことは明白です。

 産経新聞は「即位祝い日米同盟の絆を」と題した社説で、その意味をあけすけに語っていました。
 「トランプ米大統領が、令和初の国賓として25日から4日間の日程で来日する。天皇陛下のご即位に祝意を示すための来日である。陛下が即位後初めて会見される外国首脳が米大統領であることは、日米両国の深い絆を内外に示すものとなる」(産経新聞6月24日付社説)

 「全土基地方式」「治外法権」を特徴とする対米従属の日米安保条約は、もともと天皇裕仁(昭和天皇)の延命(戦争責任追及回避)と「国体」=天皇制維持の強い意思によって締結されたものでした。

 「昭和天皇にとっては、戦後において天皇制を防衛する安保体制こそが新たな『国体』となった。つまりは『安保国体』の成立である。だからこそ昭和天皇は、講和条約と安保条約が調印されてから10日を経た1951年9月18日のリッジウェイ司令官との第3回会見で、『有史以来未だ嘗て見たことのない公正寛大な条約』として…安保条約の成立を絶賛したのである」(豊下楢彦著『昭和天皇の戦後日本』岩波書店)

 天皇制と日米安保のこの関係は、裕仁から明仁へ、そして徳仁へと引き継がれています。徳仁天皇の初仕事が「日米同盟の絆」を誇示するトランプとの会見であったことはまさにその“象徴”といえるでしょう。

 そして、この共存共栄関係にある天皇制と日米安保条約=日米同盟が、ともに日本(政界・社会・メディア)では一貫して「タブー」視され、存廃の議論の対象にすらなっていないことの異常さ重大さを、私たちはあらためて凝視する必要があります。

 ※天皇制に関する当ブログをまとめた『象徴天皇制を考えるⅡ』の余部があります。ご希望の方はメール(件名を「本注文」とし、ご住所、お名前、部数を)もしくはお電話でお申し込みください。1部1000円(送料込み)。Eメール:satoru-kihara@alto.ocn.ne.jp  ☎090-2900-9967


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