アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

日曜日記57・レイプドラッグ・明仁天皇82回の違憲行為・在野研究者の魂

2019年07月07日 | 日記・エッセイ・コラム

☆「レイプドラッグ」

 7月3日のNHK「クローズアップ現代+」は「レイプドラッグ」を取り上げた。
 加害者らの証言には改めて驚きと怒りがこみあげた。彼らには罪の意識がない。レイプドラッグは卑劣な犯罪のハードルを下げる”効果“がある。自分の妻にドラッグを使い、複数で暴行を続けた男の話には寒気がした。

 ドラッグ(睡眠薬)の特徴は、「もうろうとしていても普通のように振る舞うこと」だという。だから「監視カメラ」の映像を見てもレイプと断定しがたく、警察も逮捕しづらいという。

 その話を聞いて、伊藤詩織さんの『ブラックボックス』がすぐ頭に浮かんだ。安倍首相に近い山口敬之元TBS記者を告発した本だ。番組が強調したドラッグの特徴は、伊藤さんが書いている自身の被害経過そのままだ。番組は伊藤さんが被害を受けた事件については一言も触れなかったが、客観的に、伊藤さんの証言・告発の正しさを証明するものだった。

 コメンテーターとして出席した大藪順子さん(フォトジャーナリスト、自身も被害者)の、「被害に遭うまでは、私には関係ないことだと思っていた。その無関心がいかに加害者を野放しにする社会をつくっているか。それに気づいたとき、私も加害者の側にいたのだと反省した」という言葉が、重く心を揺さぶった。

☆「明仁天皇」82回の違憲行為

 宮内庁が6月28日、明仁上皇の天皇時代30年間の活動をまとめて発表した。
 内閣の書類への署名・押印=3万2千件超、地方訪問=375件、被災地訪問=61件、誕生日・新年のベランダ立ち=265回、同参賀者=約293万人、文化勲章など勲章授与者=999人、宮中祭祀=888件、だそうだ(6月29日付中国新聞=共同)。

 中でも目を引いたのは、「国会開会式出席=82回」だ。天皇の国会開会式出席は、憲法に規定されている「国事行為」にないのはもちろん、天皇が「国権の最高機関」であるはずの国会の上に君臨し、国会議員たちを見下ろす儀式で、主権在民の憲法原則に反する明白な違憲行為だ。

 その違憲行為を明仁天皇は82回繰り返してきたわけだ。それに対し、2016年1月4日の開会式から出席しはじめた日本共産党を含め、すべての政党が従順に従ってきた。この異常現象こそ「天皇明仁の30年」、そして「象徴天皇制」を”象徴”するものだ。

☆在野研究者の魂

 北宏一朗さんに初めてお会いしたのは、約10年前、帝国日本軍の毒ガス兵器問題の学習会だった。いただいた名刺に肩書はなかった。文字通り手弁当で、調査・取材を続け、毒ガス兵器問題を追及してきた。

 今年1月の「ノーモア化学兵器」集会でも講演し、日本の毒ガス兵器が今なお中国の人々に被害を与えているだけでなく、日本においてもまさに今日的問題であることを、寒川(神奈川県)、神栖(茨城県)などの事例をあげて力説された(「遺棄毒ガス中国人被害者を支援する会ニュース」)。

 日本の毒ガス兵器は主に広島県の大久野島でつくられた。私の父はその工場で働いていた。生活のためとはいえ、毒ガス兵器製造の加害者の1人であることは否定できない。毒ガス兵器問題は、息子である私が本来追及しなければならないことだ。それを北さんがやってくれていた。うしろめたさも含め、北さんには畏敬の念を抱いていた。

 「支援する会」の最新ニュースレターで、6月10日、北さんが亡くなられたことを知った。享年74。

 肩書も代償も名誉もなく、ただ正義感と人間愛で歴史の真実を追求し、国家権力の不正を暴く。北さんから学んだそんな在野研究者の魂を、生涯胸に刻もうと思う。


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