アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
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翁長知事はなぜ戦争法案に反対しないのか

2015年06月27日 | 沖縄・翁長知事

         

 6月24、25両日、沖縄県議会で各党の代表質問が行われました。そこでは社民党や日本共産党の議員から、県政だけでなく国政の重要問題について翁長知事の「政治姿勢」を問う質問が相次ぎました。中でも最も注目されたのは、目下の最大焦点、戦争法案に対する質疑です。

 ところが、翁長知事は、自分の「政治姿勢」が質問されているにもかかわらず、一連の重要問題について、みずから答弁することを避け、町田優知事公室長に答えさせました(写真は翁長氏と町田氏=県議会HPより)。しかもその内容は、戦争法案に反対しないどころか、事実上容認するにきわめて重大なものです。

 戦争法案だけではありません。先の憲法審査会で長谷部恭男氏や小林節氏ら(写真)が法案を憲法違反と断じたことについての見解、県政関係では高江のヘリパッド建設、宮古・石垣の自衛隊増強など、いずれも重要問題について、翁長氏は答弁を避け、町田氏に答えさせました。
 その内容を、県議会HPの中継録画から転記します。

戦争法案について

 「安全保障関連法案については、集団的自衛権の行使を含む具体的な議論が国会で行われており、さまざまな意見があるものと承知しております。在日米軍専用施設面積の約74%が集中し過重な基地負担を抱えている沖縄県として、我が国の安全保障政策の変更には重大な関心を持っており、政府は国政の場などにおいて十分議論したうえで、その影響などについて国民に丁寧に説明を行うべきであります」(24、25日)

憲法審査会での3人の憲法学者の違憲見解について

 「それぞれの憲法学者がそれぞれの立場で発言しているものであると承知しております」(25日)

高江ヘリパッド建設について

 「6カ所のヘリ着陸帯の移設については、当該地域の自然環境、地域住民の生活への影響をめぐって、さまざまな意見があるものと承知しており、今後地元の意見をうかがいつつ検討してまいりたいと考えております」(25日)

宮古・石垣への自衛隊配備強化について

 「自衛隊の配備については、地元の理解と協力が得られるよう、政府は丁寧に説明を行うべきであると考えております」(24日)

 翁長氏はなぜ、こうした重要問題について自分で答弁しないのでしょうか。それが「県民の圧倒的支持」で当選した知事の態度でしょうか。
 知事に質問したにもかかわらず答弁を回避された社民党や共産党の議員はそれでいいのですか?いくら「翁長与党」でも、見過ごしてならないことははっきり異議を唱えるべきではありませんか?

 自ら答えない以上、町田室長の答弁が翁長氏の見解であると理解せざるをえません。その内容を見れば、翁長氏が戦争法案(わざわざ「安全保障関連法案」と言い換えていますが)については、「丁寧な説明を」(自民党でも言っています)というだけで、反対していないことは明らかです。憲法学者の「違憲見解」に賛意を示さないのもそのためでしょう。
 高江のヘリパッド建設にも反対していません。宮古・石垣への自衛隊配備強化は、「理解と協力」が得られるよう「丁寧な説明」をせよとむしろ後押ししていると言えるでしょう。

 沖縄が直面し、知事が県内外に見解を明らかにしなければならない重要課題は「辺野古」だけではありません。
 戦後の重大な岐路に立っているいま、非戦・平和の先頭にたつべき沖縄の知事であれば、みずからの言葉で、戦争法案反対を明言すべきです。


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