俳優・北島角子(すみこ)さん(82)の「ひとり芝居」は沖縄では有名です。一度は見たいと思っていましたが、9日そのチャンスに恵まれました。沖縄大学55周年特別企画の一環として同学内で催されたのです。期待にたがわぬ感動でした。
北島さんは小中学校などでも精力的に公演を続け、この日が1216回目。演目は「赤いブクブクー」。ブクブクーとはお茶のことらしく、戦争のことには口をとざしていた母親が娘に請われ、お茶を飲みながら、慶良間諸島・座間味島で起きた集団強制死(集団自決)を語るという設定です。北島さんが実際の体験者から聞いて作ったものです。親が子を手にかけ家族で殺し合わねばならなかった皇民化教育の悲劇と怒りが生なましく伝わってきます。
第2部では北島さんが「憲法9条を分かりやすくした」という”北島版9条”をウチナーグチで披露。それを沖大生が日本語で述べるという企画がありました。若者と一緒に憲法9条を守りたいという北島さんの熱い思いが伝わってきました。
北島さんは八重山の生まれで、幼いときに家族で南洋へ移り、終戦の翌年に引き揚げ。沖縄芝居に不可欠なウチナーグチを苦労して習得しました。父親は沖縄芝居の重鎮・上間昌成氏。当時としては珍しく「女の子でも自分の思いははっきり示しなさい」と育てられました。それが今日の北島さんを作ったと述懐します。
トークの中で北島さんが強調しました。「家庭から平和を考えよう。親の話をしっかり聞こう。そうすれば親への尊敬が生まれる」「平和を伝えることが私のすくぶん。年齢を重ねてもこれからやることがいっぱいある。みなさんもそれぞれのすくぶんを果たしましょう」。
「すくぶん」とはウチナーグチで「職分」「責務」の意味。北島さんのひとり芝居のように、これからの生涯をかけて取り組むべき自分の「すくぶん」は何だろうか。あらためて考えさせられました。
<今日の注目記事>(11日付琉球新報1面から。沖縄タイムスも3面)
☆<橋下氏訪問を拒絶 サンフランシスコ市 「慰安婦」発言で通告>
「旧日本軍の『従軍慰安婦』発言をめぐり、日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が訪問予定だった米サンフランシスコ市が5月、『公式訪問としては扱わない。表敬訪問も受けない』と拒絶する内容の文書を大阪市に送っていたことが10日、大阪市関係者への取材で分かった。直前まで橋下氏は訪米に意欲を示しており、訪問先当局の厳しい姿勢が断念を促した形だ。文書を送ったのは、訪問計画の交渉窓口となっていたサンフランシスコ市幹部。大阪市は5月22日に受け取り、翻訳を同日中に橋下氏に示したが、公表していない」
大阪市の担当部署が翻訳したという「サンフランシスコ市文書全文」が掲載されていますが、その「結論」はこうなっています。「サンフランシスコ市民は現在橋下市長の訪米を歓迎していない。訪問を決行すれば大阪市のイメージダウンは避けがたい。警備面と大阪の経済発展の見地からみて訪問が延期されることを望む」。日本人はサンフランシスコ市・市民のこの断固とした態度を見習うべきでしょう。とくに大阪市議会で抗議決議に賛成しなかった公明党は。