アリの一言 

天皇制、朝鮮半島、沖縄の現実と歴史などから、
  人権・平和・民主主義・生き方を考える。
   

「橋本暴言」と「沖縄差別」と全国紙の報道

2013年06月04日 | 日記・エッセイ・コラム

HasimotosyakumeiHasimotosyasetu 橋下徹・日本維新の会共同代表委の「従軍慰安婦は必要」「風俗奨励」発言とその後の釈明に対し、「納得できた」41・0%、「納得できない」53・9%。3日の沖縄タイムスが1面トップで報じた共同通信世論調査の結果です。同紙は「53・9%『納得できない』」に注目して見出しにとりました。しかし、私は「41・0%」の方に注目せざるを得ません。あの橋下氏の一連の「釈明」、態度に4割以上の人が「納得」するとは・・・。日本人は怒りを忘れてしまったのでしょうか!
 「橋本暴言」をめぐる多くの論評の中で、特に注目したのが1日付琉球新報「佐藤優のウチナー評論-橋下発言と『かの地』 乏しい沖縄差別の論点」です。佐藤氏は、「日本の陸上面積の0・6%を占めるにすぎない沖縄県に在日米軍基地の74%が所在しているという現状に手をつけず、地元で米兵の性処理を行うことで問題を封じ込めようとする発想が差別であることを橋下氏は理解していない」としてこう続けます。「橋下氏だけではない。全国紙の報道では、橋下氏の発言が沖縄に対して差別的であるという論点にほとんど触れられていない。橋下事件を通じて、沖縄と『かの地』(沖縄以外の日本)の距離が一層遠くなった」
 暴言直後の朝日新聞と毎日新聞の社説を見ました(「読売」「産経」は見るまでもないでしょう)。「朝日」は「これが政治家の発言か」として発言の国際的問題性や女性蔑視性を論じていますが、沖縄との関わりには一言も触れていません。「毎日」も「国際的に通用しない」というタイトルで「国のイメージ」が国際的に損なわれるとしながら沖縄問題との関係はまったくありません。「朝日」はその後きのう(3日)までに橋下発言関連の社説を2回掲載していますが、5月21日付では「意に反して米軍基地の重荷を負わされている沖縄。その中にあって、さまざまな事情から風俗で働く女性たちを『活用しろ』という無神経さに、多くの人はあきれたのだ」と、問題を「無神経さ」に矮小化しています。6月1日付に至っては「風俗の利用を促したことは撤回し、米国民に謝罪した」として是認し、それで問題は終わったかのように以後まったく触れていません。
 残念ながら佐藤氏の指摘は当たっているようです。橋下氏の「風俗」発言は、沖縄の女性を今日的な性奴隷とし、沖縄に米軍基地を固定化させるところに本質があるのです。それこそが「沖縄差別」なのです。そのことにはまったく触れない全国紙の社説。それが”怒らぬ国民”を作り出していることは間違いありません。

 <今日の注目記事>(4日付沖縄タイムス1面トップ)

 ☆<平和教育 悩む教師 33%「方法分からない」 「指導時間ない」も26%>
 「沖縄市はこのほど、中長期の平和事業アクションプランの策定に向け、教員、児童・生徒を中心に市民約1万人を対象にした平和意識調査を初めて実施した。教員へのアンケートでは61%が、学校全体で平和教育や学習カリキュラムを実施しているとした一方、33%が『指導方法が分からない』と答え、戦後68年がたち、沖縄戦継承に苦慮する教育現場の実態があらためて浮き彫りになった」
 学校全体で平和教育を実施しているのが6割にすぎないこと自体問題でしょう。沖縄の若者たちは想像以上に沖縄の歴史を知りません。沖縄における平和教育はほんとうに重大な岐路に立っていると思います。


  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする